中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2022年05月12日

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エブリスディ(リスジプラム)、I型脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳児における3年間の新たな成績で生存および運動機能の長期改善を示す

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が4月29日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2022-04-29をご覧ください。

 ロシュ社は4月29日、症候性I型脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)の乳児を対象としたエブリスディ®(リスジプラム)の長期有効性および安全性を補完する非盲検継続投与期間における1年間の成績を含む、FIREFISH試験での3年間の新たな成績を発表しました。エブリスディを投与した乳児のうち推定91%(58名)が3年後に生存していました。エブリスディは、嚥下能力、支えなしで座位が保持できること、補助により立つことができること、伝い歩きできることを含め、投与開始2年目から3年目の間、継続して運動マイルストンの維持または改善を示しました。また、本試験における重篤な有害事象および入院の頻度の経時的な低下が継続して認められました。

 FIREFISH試験は、I型SMAの乳児(登録時点で月齢1~7カ月)を対象にエブリスディの有効性と安全性を評価しました。本試験は2パートからなり、パート1は用量設定を、パート2はパート1で選択された用量での有効性と安全性を評価します。プールされた母集団には承認用量を3年以上投与した乳児が含まれています。今回の長期成績は、4月28日~5月2日に開催の第14回欧州小児神経学会(European Paediatric Neurology Society Congress)で発表されています。

 エブリスディを投与した乳児は、24カ月目から36カ月目の間、支えなしで座る能力の維持または継続した改善を示しました。BSID-III(Bayley Scales of Infant and Toddler Development - Third Edition)の粗大運動スケールの評価では、エブリスディを投与した評価可能な乳児48名のうち32名は、24カ月目以降、支えなしで座位を少なくとも5秒間保持する能力を乳児が維持し、4名が新たに獲得しました。また、支えなしで座位を少なくとも30秒間保持する能力を20名の乳児が維持し、15名が新たに獲得しました。支えなしで座位を保持する能力を獲得した乳児は、3年間のエブリスディ投与後も、その能力を消失することはありませんでした。エブリスディを投与した乳児のほとんどが、36カ月目まで経口摂取と嚥下の能力を維持していました。

 エブリスディを投与したほとんどの乳児は、24カ月目から36カ月目の間、HINE-2(Hammersmith Infant Neurological Examination Module 2)よる運動機能の評価を継続して改善又は維持しました。この評価には、頭部を直立させることができる(維持:36名、獲得:3名、24カ月以降に消失:0名)、座ったまま回転できる(維持:15名、獲得:11名、24カ月以降に消失:0名)、補助により立位を維持できる(維持:6名、獲得:5名、消失:1名)、および伝い歩きできる(維持:1名、獲得:2名、消失:0名)などが含まれます。

 主な有害事象は、発熱(60%)、上気道感染(57%)、肺炎(43%)、便秘(26%)、鼻咽頭炎(24%)、下痢(21%)、鼻炎(19%)、嘔吐(19%)および咳嗽(17%)でした。主な重篤な有害事象は、肺炎(36%)、呼吸窮迫(10%)、ウイルス性肺炎(9%)、急性呼吸不全(5%)および呼吸不全(5%)でした。肺炎を含む有害事象の発現は経時的に低下しました。重篤な有害事象の発現も同様に低下し、12カ月の投与期間毎に約50%ずつ減少し、投与開始1年目から3年目の間に78%減少しました。全体として、有害事象および重篤な有害事象は基礎疾患を反映したものであり、休薬や投与中止に至った薬剤関連の有害事象は認められませんでした。入院頻度は、投与開始12カ月間で患者あたり年間1.24回から、36カ月間で患者あたり年間0.70回まで減少しました。FIREFISH試験の主要解析以降、本解析のデータカットオフ時点(2021年11月23日)までに新たな死亡は認められていません。

【参考情報】
エブリスディ、脊髄性筋萎縮症に対し承認を取得(2021年6月23日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210623170000_1118.html

FIREFISH試験について
 FIREFISH試験は、I型SMAの乳児を対象とした2パートからなる非盲検のピボタル試験です。パート1(21名)は乳児におけるリスジプラムの安全性プロファイルを評価し、パート2における用量の決定を主な目的とした、用量漸増試験です。パート2(41名)は、リスジプラムを2年間投与した後、非盲検下継続投与期間に移行する、ピボタルな単群試験です。パート2の登録は2018年11月に完了しました。パート2では、BSID-III(Bayley Scales of Infant and Toddler Development - Third Edition)の粗大運動スケールで評価した、投与開始12カ月時点における、最低5秒間、支えなしで座位が保持可能な乳児の割合を指標として、有効性の評価を行いました。
 ロシュ社は、SMA財団およびPTCセラピューティクス社と協力し、リスジプラムの臨床開発を進めています。

エブリスディについて
 エブリスディは、SMN(survival motor neuron)タンパクの欠損につながる5番染色体の変異によって引き起こされる、SMAを治療するためにデザインされたSMN2スプライシング修飾剤です。SMNタンパクレベルを増加させ、維持することでSMAを治療するよう設計されています。SMNタンパクは全身に見られ、運動神経と運動機能の維持に重要です。2020年8月に米国、2021年3月に欧州で、6月に日本で承認を取得しています。

脊髄性筋萎縮症(SMA)について1
 SMAは、遺伝性の神経筋疾患であり、脊髄の運動神経細胞の変性によって筋萎縮や筋力低下を示します2。乳幼児では最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患です3。乳児期から小児期に発症するSMAの患者数は10万人あたり1~2人です4。SMAの原因遺伝子はSMN遺伝子で、SMN1遺伝子の機能不全に加え、SMN2遺伝子のみでは十分量の機能性のSMNタンパクが産生されないため発症する疾患です5

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. With your SMA. 脊髄性筋萎縮症(SMA)にかかわるすべての人と歩む. Available from: https://with-your-sma.jp/. Accessed May 2022.
  2. Farrar MA and Kiernan MC. The genetics of spinal muscular atrophy: progress and challenges. Neurotherapeutics. 2015;12:290-302.
  3. Cure SMA. About SMA. 2018. Available from: https://www.curesma.org/about-sma/. Accessed May 2022.
  4. 難病情報センター. Available from: https://www.nanbyou.or.jp/. Accessed May 2022.
  5. Kolb SJ and Kissel JT. Spinal muscular atrophy. Neurol Clin. 2015;33:831-46.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
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