中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2021年08月06日

エブリスディ(リスジプラム)がI型脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳児の生存率と運動機能のマイルストーンの改善を示した成績がNew England Journal of Medicineに掲載

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が7月29日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2021-07-29.htmをご覧ください。

 ロシュ社は7月29日、症候性のI型脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)の乳児(1~7カ月)を対象に、エブリスディ®(リスジプラム)の有効性と安全性を評価したピボタルな国際共同試験であるFIREFISH試験のパート2のデータがNew England Journal of Medicine(NEJM)に掲載されたことを発表しました。本試験では、12カ月時点で乳児の29%(12/41名)が最低5秒間支えなしで座位が保持可能であり*、主要評価項目を達成しました。この所見は本疾患の自然経過では見られません。FIREFISH試験のパート2におけるエブリスディの安全性は、これまでに認められている安全性プロファイルと同様でした。

 解析時点の治療期間は15.2カ月(中央値)、年齢は20.7カ月(中央値)でした。12カ月時点で、乳児の93%(38/41名)が生存し、85%(35/41名)が永続的な人工呼吸を必要とすることなく生存していました。未治療の自然歴コホートでは、死亡または永続的人工呼吸器を必要とした乳児の年齢は13.5カ月(中央値)でした。乳児の90%(37/41名)でCHOP-INTEND**スコアが少なくとも4ポイント以上改善し、56%(23/41名)で40ポイント以上まで改善しました。中央値は20ポイントの改善でした。

 また、乳児の78%(32/41)がHINE-2***達成例と判定され、副次評価項目の1つを達成しました。HINE-2は、定頸、坐位保持、自発的な把握動作、足蹴り動作、寝返り、ずり這い、立位保持、歩行の項目から運動機能を評価するものです。運動マイルストンの改善項目が悪化より多い場合、HINE-2達成例と判定しています。

 FIREFISH試験のパート2におけるエブリスディの安全性は、これまでに認められている安全性プロファイルと同様でした。主な有害事象は、上気道感染(68%)、肺炎(39%)、発熱(39%)、便秘(20%)、下痢(10%)、斑状発疹(10%)でした。主な重篤な有害事象は、肺炎(32%)、気管支炎(5%)、低身長症(5%)、呼吸不全(5%)でした。3名の乳児が治療3カ月の時点で致死的な合併症を経験しました。治験責任医師はエブリスディとの関係は認められないと判断しています。

 2021年2月に、FIREFISH試験の用量設定パート(パート1)における12カ月時点のデータがNEJM誌に掲載されています。

*BSID-III(Bayley Scales of Infant and Toddler Development - Third Edition)粗大運動スケールによる評価
**Children’s Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders
***Hammersmith Infant Neurological Examination 2


【参考情報】
エブリスディ、脊髄性筋萎縮症に対し承認を取得(2021年6月23日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210623170000_1118.html

FIREFISH試験について
FIREFISH試験は、I型SMAの乳児を対象とした2パートからなる非盲検のピボタル試験です。パート1(21名)は乳児におけるリスジプラムの安全性プロファイルを評価し、パート2における用量の決定を主な目的とした、用量漸増試験です。パート2(41名)は、リスジプラムを2年間投与した後、非盲検下継続投与期間に移行する、ピボタルな単群試験です。パート2の登録は2018年11月に完了しました。パート2では、BSID-III(Bayley Scales of Infant and Toddler Development - Third Edition)の粗大運動スケールで評価した、投与開始12カ月時点における、最低5秒間、支えなしで座位が保持可能な乳児の割合を指標として、有効性の評価を行いました。
ロシュ社は、SMA財団およびPTCセラピューティクス社の協力のもと、リスジプラムの臨床開発を進めています。

エブリスディについて
エブリスディは、SMN(survival motor neuron)タンパクの欠損につながる5番染色体の変異によって引き起こされる、SMAを治療するためにデザインされたSMN2スプライシング修飾剤です。SMNタンパクレベルを増加させ、維持することでSMAを治療するよう設計されています。SMNタンパクは全身に見られ、運動神経と運動機能の維持に重要です。2020年8月に米国で、2021年3月に欧州で承認を取得しています。

脊髄性筋萎縮症(SMA)について
SMAは、遺伝性の神経筋疾患であり、脊髄の運動神経細胞の変性によって筋萎縮や筋力低下を示します1。乳幼児では最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患です2。乳児期から小児期に発症するSMAの患者数は10万人あたり1~2人です3。SMAの原因遺伝子はSMN遺伝子で、SMN1遺伝子の機能不全に加え、SMN2遺伝子のみでは十分量の機能性のSMNタンパクが産生されないため発症する疾患です4。

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:
1 Farrar MA and Kiernan MC. The genetics of spinal muscular atrophy: progress and challenges. Neurotherapeutics. 2015;12:290-302.
2 Cure SMA. About SMA. 2018. Available from: http://www.curesma.org/sma/about-sma/. Accessed August 2021.
3 難病情報センター. Available from: https://www.nanbyou.or.jp/. Accessed August 2021.
4 Kolb SJ and Kissel JT. Spinal muscular atrophy. Neurol Clin. 2015;33:831-46.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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