2021年05月31日

中外製薬、国内製薬企業で初めてクライオ電子顕微鏡装置を導入

  • 国内製薬企業で初めてクライオ電子顕微鏡装置を導入。立体構造解析に基づく化合物デザインの精緻化を強化し、成功確率の上昇を目指す
  • 中分子医薬品をはじめ、低分子や抗体など幅広い創薬研究の加速を目指す

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、創薬研究のさらなる加速に向け、国内製薬企業で初めてクライオ電子顕微鏡装置を導入したことをお知らせいたします。

 クライオ電子顕微鏡装置は、2017年にその基幹技術にノーベル化学賞が授与され、革新的な技術として注目を集めています。今般の同装置の導入は、創薬研究において必須のプロセスである、標的タンパク質と結合した新薬候補化合物分子の立体構造解析を目的とするものです。

 中外製薬は、創薬研究において立体構造に基づく化合物デザイン(Structure Based Drug Design)を重視し、精緻なデザインの追求による質の高い新薬候補化合物の創製を目指しています。これまで立体構造の取得に当社が主に用いてきたX線結晶構造解析は、標的分子となる細胞内タンパク質を結晶化するプロセスを必要とします。中外製薬が注力する中分子医薬品の標的タンパク質は、結晶化が難しいものが多く、化合物デザインの精緻化における課題となっていました。

 クライオ電子顕微鏡装置を用いた解析は、結晶化のプロセスを必要とせず、解析の大幅な効率化とともに、結晶化の難しい細胞内タンパク質を含む、より広い対象への立体構造解析が実現します。これにより、Structure Based Drug Designが強化され、化合物デザインの成功確率の向上が期待されます。本装置は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社より導入され、中外製薬の鎌倉研究所で、中分子医薬品を含むさまざまな新薬候補化合物の立体構造解析に使用されます。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「クライオ電子顕微鏡法の導入は、中外製薬の創薬プロセスに大きな変革をもたらします。Structure Based Drug Designの質とスピードがさらに強化され、第3のモダリティとして確立を目指す中分子医薬品の創薬も加速します」と述べるとともに、「中外製薬の創薬は、独自のサイエンス力と技術力に支えられています。引き続き、先進的技術を貪欲に取り入れ、アンメットメディカルニーズの解決に資するイノベーションの実現を目指していきます」と語っています。

クライオ電子顕微鏡法について
 クライオ電子顕微鏡法は、生体高分子複合体を近原子分解能で構造解析できる強力な手法です。技術的進展により、タンパク質複合体等の生体分子の高分解能での構造解析事例が飛躍的に増加しています。特に、従来の構造解析手法であるX線結晶構造解析法やNMR法では解析困難であった高難度の生体高分子複合体にも適用されています。

 クライオ電子顕微鏡法は近年、世界の先端的な製薬企業において導入が進み始めており、受容体と薬剤候補リガンド間の結合様式を正確かつ迅速に明らかにできることから、構造情報に基づいた創薬ターゲットの探索および薬剤設計に貢献します。

 

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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