中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2020年09月10日

エンスプリング、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)に対する再発リスクと再発重症度に関する新たなデータを発表

  • エンスプリングは、第III相試験であるSAkura試験群(SAkuraSky試験、SAkuraStar試験)において、二重盲検期間中の再発重症度を低下
  • SAkura試験群の非盲検継続投与期間のデータから、エンスプリングが再発リスクを低下させる持続的な効果を確認
  • 現在実施中のデータから、エンスプリングの良好な安全性プロファイルを確認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)は、当社創製のpH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体エンスプリング®[一般名:サトラリズマブ(遺伝子組換え)]について、希少な中枢神経系疾患である視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)に対する再発重症度の低下に関する新たなデータを発表することをお知らせいたします。NMOSDの再発リスク低下に関するエンスプリングの持続的な効果やベネフィットリスクプロファイルに関する長期の有効性と安全性データと合わせて、第8回米国多発性硬化症学会(ACTRIMS)- 欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS)合同会議、MS Virtual 2020で発表されます。

 代表取締役社長 COOの奥田 修は「NMOSDにおいて、患者さんの障がい度は再発ごとに段階的に悪化することが知られており、長期間にわたり再発の重症度と頻度の両方を抑えることが重要です」と述べるとともに、「今般、NMOSDの主な原因であるIL-6のシグナル阻害による新規作用機序を有するエンスプリングが、長期にわたり再発のリスクと重症化を抑える可能性を示しました。これらの有効性データは、エンスプリングを用いた治療をする上で臨床上有用な知見となります」と語っています。

 事後解析の結果、SAkura試験群(SAkuraSky試験、SAkuraStar試験)の二重盲検期間において、エンスプリング投与群はプラセボと比較して重度の再発リスクを79%減少させました[27例中5例(19%)対34例中12例(35%)]。神経の障がいや損傷を不可逆的に蓄積させる重度の再発を抑制することは、NMOSD治療において目指すべき目標です。また、エンスプリングで治療された患者さんは、プラセボと比較して、再発に対するレスキュー治療を必要としませんでした(オッズ比:0.46、95%信頼区間:0.25~0.86)。再発は、Expanded Disability Status Scaleで2ポイント以上の変化があった場合に重度と分類しました。

 別のプール解析の結果、二重盲検期間と非盲検継続投与期間を統合して評価した場合、エンスプリング投与群は試験開始当初のプラセボ群と比較して再発リスクを51%減少させました(ハザード比:0.49、95%信頼区間:0.31~0.79)。この効果は、より重度な病状をたどる傾向にある抗アクアポリン4抗体(AQP4-IgG)陽性の患者さんでは、プラセボ群と比較して再発リスクが66%減少しました(ハザード比:0.34、95%信頼区間:0.19~0.62)。二重盲検期間におけるエンスプリング投与群、プラセボ投与群の投与期間の中央値(範囲)はそれぞれ96.1週(8~224週)、54.6週(7~219週)、非盲検継続投与期間まで含めたエンスプリング投与群の中央値(範囲)は、131.9週(13~276週)でした。

 二重盲検期間において感染症の発現率は、SAkuraStar試験では、エンスプリング投与群、プラセボ群でそれぞれ99.8/100患者年、162.6件/100患者年でした。SAkuraSky試験では群間で感染症の発現率に差は認められませんでした。重篤な感染症の発現率は両群間(エンスプリング投与群対プラセボ群)で同程度でした(SAkuraSky試験:2.6対5.0件/100患者年、SAkuraStar試験:5.2対9.9件/100患者年)。非盲検継続投与期間まで含めた投与期間を通じ、エンスプリング投与群の感染症および重篤な感染症の発現率は、有害事象の性質および発現率の点で二重盲検期間と一致しており、時間の経過とともに増加しませんでした。

エンスプリングについて

 エンスプリングは中外製薬が創製した、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体で、当社独自のリサイクリング抗体技術を適用した初めての薬剤です。視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)の主な原因であるサイトカインのIL-6のシグナルを阻害することで、NMOSDの再発の抑制が期待されます。視神経脊髄炎(NMO:Neuromyelitis Optica)およびNMOSDの患者さんを対象とした2つの第III相国際共同治験において、免疫抑制剤によるベースライン治療との併用投与および単剤投与でそれぞれ主要評価項目を達成しました。これらの2試験は希少疾患であるNMOSDに対して行われた最も大規模な臨床試験の一つです。エンスプリングはこれまでに日本、米国、カナダ、スイスにて承認されています。欧州では、2019年に欧州医薬品庁(EMA)より承認申請が受理されています。

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)について1

 NMOSDは、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、永続的な神経障害により、生涯にわたって著しい生活の質の低下が生じます。NMOSDの患者さんは、症状を繰り返す再発経過をたどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積されます。症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下を伴う疼痛などが現れます。症状の発生が致死的な結果となる場合もあります。NMOSDの70~80%の患者さんでは、病原性の抗体である抗アクアポリン4抗体が検出されており、抗アクアポリン4抗体はアストロサイトと呼ばれる中枢神経に存在する細胞を標的とし、視神経や脊髄、脳の炎症性脱髄病変に繋がることが知られています2-5。炎症性サイトカインであるIL-6は、NMOSDの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります6-10。2006年に視神経炎および脊髄炎を伴う視神経脊髄炎の診断基準、2007年に視神経炎や脊髄炎のみの症例に対するNMOSDの基準が提唱されました。2015年に両疾患を整理・統合し、広義の疾患群として新たにNMOSDの概念が提唱され、現在ではNMOSDという疾患名が認められています11

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典

  1. 視神経脊髄炎(NMOSD)Online. https://nmosd-online.jp/ Accessed Sep 2020.
  2. Jarius S, Ruprecht K, Wildemann B et al. Contrasting disease patterns in seropositive and seronegative neuromyelitis optica: A multicentre study of 175 patients. J Neuroinflammation 2012;9:14.
  3. Lennon VA, Wingerchuk DM, Kryzer TJ et al. A serum autoantibody marker of neuromyelitis optica: distinction from multiple sclerosis. Lancet 2004;364:2106-12.
  4. Marignier R, Bernard-Valnet R, Giraudon P et al. Aquaporin-4 antibody-negative neuromyelitis optica: Distinct assay sensitivity-dependent entity. Neurology 2013;80:2194-200.
  5. Takahashi T, Fujihara K, Nakashima I et al. Anti-aquaporin-4 antibody is involved in the pathogenesis of NMO: a study on antibody titre. Brain 2007;130:1235-43.
  6. Chihara N, Aranami T, Sato W et al. Interleukin 6 signaling promotes anti-aquaporin 4 autoantibody production from plasmablasts in neuromyelitis optica. Proc Natl Acad Sci USA 2011;108:3701-6.
  7. Kimura A, Kishimoto T. IL-6: regulator of Treg/Th17 balance. Eur J Immunol 2010;40:1830-5.
  8. Lin J, Li X, Xia J. Th17 cells in neuromyelitis optica spectrum disorder: a review. Int J Neurosci2016;126:1051-60.
  9. Takeshita Y, Obermeier B, Cotleur AC, et al. Effects of neuromyelitis optica-IgG at the blood-brain barrier in vitro. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2016;4(1):e311.
  10. Obermeier B, Daneman R, Ransohoff RM. Development, maintenance and disruption of the blood-brain barrier. Nat Med 2013;19:1584-96.
  11. Wingerchuk DM, Banwell B, Bennett JL et al. International consensus diagnostic criteria for neuromyelitis optica spectrum disorders. Neurology 2015;85:177-89.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
  • 投資家の皆様
  • インベスターリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
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