中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2019年06月27日

FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル、ロズリートレクのコンパニオン診断としての承認を取得

  • がん種を問わない次世代シークエンサーによるコンパニオン診断として、日本で初
  • NTRK融合遺伝子を検出することにより、ロズリートレクの適応判定が可能に
  • NTRK融合遺伝子の発現は非常に稀で、成人や小児の様々な固形がんや肉腫で確認されている

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:小坂 達朗)は、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイル」に関し、ROS1/TRK阻害剤「ロズリートレク®」(一般名:エヌトレクチニブ)のNTRK融合遺伝子陽性の固形癌に対するコンパニオン診断としての使用目的の追加について、6月26日に厚生労働省より承認を取得しましたのでお知らせいたします。FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルは、NTRK融合遺伝子(NTRK1NTRK2NTRK3遺伝子と他の遺伝子の融合遺伝子)を検出することにより、ロズリートレクの適応判定補助を行います。ロズリートレクは、成人および小児のNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌に対する治療薬として本年6月18日に承認を取得しています。

 執行役員ファウンデーションメディシンユニット長の渡邉 稔は、「従来、がん治療は臓器ごとに考えられてきましたが、がん種を問わず背景にある遺伝子変異に着目するTumor agnostic(がん種横断的)と呼ばれるアプローチが登場し、大きく変化しつつあります。本プログラムが、この新たな治療のひとつであるロズリートレクのコンパニオン診断として承認を取得できたことを嬉しく思います」と述べるとともに、「NTRK融合遺伝子のように様々ながんに低頻度で発現する遺伝子変異は、がん遺伝子パネル検査による包括的がんゲノムプロファイリングが最も貢献できる領域です。本プログラムが個々の患者さんの治療方針の迅速かつより的確な決定に役立てられ、患者さん中心の医療の実現に貢献できるものとなるよう、サービスの提供を行っていきます」と語っています。

 本プログラムは、米国のファウンデーション・メディシン社により開発された、次世代シークエンサーを用いた包括的ながん関連遺伝子解析システムです。患者さんの固形がん組織から得られたDNAを用いて、324の遺伝子における置換、挿入、欠失、コピー数異常および再編成などの変異等の検出および解析、ならびにバイオマーカーとして、マイクロサテライト不安定性(Microsatellite Instability: MSI)の判定や腫瘍の遺伝子変異量(Tumor Mutational Burden: TMB)の算出を行います。また、国内既承認の複数の分子標的薬のコンパニオン診断として、適応判定の補助に用いることが可能です。

 オンコロジー領域のリーディング企業である中外製薬は、包括的ゲノムプロファイリングの普及を通じ、がん領域におけるより高度な個別化医療を実現し、患者さんおよび医療関係者に貢献できるよう取り組んでまいります。

【ご参考】
抗悪性腫瘍剤「ロズリートレク」、「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌」に対する製造販売承認の取得について(2019年6月18日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20190618150000_859.html

製品情報 下線部分が追加されました。

製品名 FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイル
一般的名称
  • 遺伝子変異解析プログラム(がんゲノムプロファイリング検査用)
  • 体細胞遺伝子変異解析プログラム(抗悪性腫瘍薬適応判定用)
使用目的又は効果
  • 本品は、固形がん患者を対象とした腫瘍組織の包括的なゲノムプロファイルを取得する。
  • 本品は、下表の医薬品の適応判定の補助を目的とし、対応する遺伝子変異等を検出する。
遺伝子変異等 がん種 関連する医薬品
EGFRエクソン19欠失変異及びエクソン21 L858R変異 非小細胞肺癌 アファチニブマレイン酸塩、エルロチニブ塩酸塩、ゲフィチニブ、オシメルチニブメシル酸塩
EGFRエクソン20 T790M変異 オシメルチニブメシル酸塩
ALK融合遺伝子 アレクチニブ塩酸塩、クリゾチニブ、セリチニブ
BRAF V600E及びV600K変異 悪性黒色腫 ダブラフェニブメシル酸塩、トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物、ベムラフェニブ
ERBB2コピー数異常(HER2遺伝子増幅陽性) 乳癌 トラスツズマブ(遺伝子組換え)
KRAS/NRAS野生型 直腸・結腸癌 セツキシマブ(遺伝子組換え)、パニツムマブ(遺伝子組換え)
NTRK1/2/3融合遺伝子 固形癌 エヌトレクチニブ
承認条件
  1. がんゲノム医療に関連する十分な知識及び経験を有する医師が、関連学会の最新のガイドライン等に基づく検査の対象及び時期を遵守した上で、がんゲノム医療中核拠点病院等の整備に関する指針に従い、がんゲノムプロファイリング検査に基づく診療体制が整った医療機関で本品を用いるよう、必要な措置を講ずること。
  2. 送付された腫瘍組織検体及びこれから得られた情報について、個人情報保護に対する適切な手続き及び管理を行うとともに、不正なアクセスを防止するため最新のセキュリティ及びプライバシー保護に係る対策を講ずること。
  3. 入力データの品質管理については、別添申請書の備考欄に記載したとおり行うこと。別添申請書の備考欄に記載した入力データの品質管理を変更しようとする場合(法第23条の2の5第11項の厚生労働省令で定める軽微な変更である場合を除く。)は、法第23条の2の5第11項の規定に基づき、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。なお、当該承認については、法第23条の2の5第13項、第23条の2の6及び第23条の2の7の規定が準用されることに留意されたい。

ロズリートレクについて
 ロズリートレクは、ROS1(c-rosがん遺伝子1)およびTRK(神経栄養因子受容体)ファミリーを強力かつ選択的に阻害する経口投与可能なチロシンキナーゼ阻害剤です。ロズリートレクは、ROS1およびTRKキナーゼ活性を阻害することにより、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制します。ロズリートレクは、前治療後に病勢進行した、または許容可能な標準治療がないNTRK融合遺伝子陽性の局所進行または遠隔転移を有する成人および小児の固形がんに対し、米国食品医薬品局(FDA)より画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に、欧州医薬品庁(EMA)よりPRIME(PRIority MEdicines)に指定されています。なお、FDAはNTRK融合遺伝子陽性の固形がん、およびROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんへのロズリートレクの投与を、優先審査に指定しています。また、国内では2019年3月にROS1融合遺伝子陽性の局所進行又は転移性非小細胞肺癌を対象とした承認申請を行っています。

NTRK融合遺伝子陽性がんについて
 NTRK融合遺伝子とは、NTRK遺伝子(NTRK1NTRK2NTRK3、それぞれTRKA、TRKB、TRKCタンパク質をコードする)と他の遺伝子(ETV6LMNATPM3など)とが染色体転座の結果、融合してできる異常な遺伝子です1-3)NTRK融合遺伝子から作られる融合TRKにより、がん細胞の増殖が促進されると考えられています。NTRK融合遺伝子の発生は非常に稀ではありますが、成人や小児の様々な固形がんや肉腫等[乳児型線維肉腫、神経膠腫、神経膠芽腫、びまん性橋グリオーマ、先天性中胚葉性腎腫、悪性黒色腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)、子宮肉腫、その他軟部腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、乳腺分泌がん、唾液腺分泌がん、原発不明がん、肺がん、大腸がん、虫垂がん、乳がん、胃がん、卵巣がん、甲状腺がん、胆管がん、膵臓がん、頭頸部がん、等]で確認されています。

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典

  1. Martin-Zanca D, Hughes SH, Barbacid M. A human oncogene formed by the fusion of truncated tropomyosin and protein tyrosine kinase sequences. Nature 1986; 319(6056): 743-8.
  2. Martin-Zanca D, Oskam R, Mitra G, Copeland T, Barbacid M. Molecular and iochemical Characterization of the Human trk Proto-Oncogene. Molecular and Cellular Biology 1989; 9(1): 24-33.
  3. Lange AM, Lo HW. Inhibiting TRK Proteins in Clinical Cancer Therapy. Cancers 2018; 10: 105.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
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