中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2018年12月19日

抗IL-6受容体リサイクリング抗体「サトラリズマブ」 視神経脊髄炎及び視神経脊髄炎関連疾患に対してFDAが画期的治療薬に指定

-中外製薬創製品に対し7回目の指定-

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:小坂 達朗)は、ヒト化抗IL-6受容体リサイクリング抗体サトラリズマブ(開発コード:SA237)について、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)より視神経脊髄炎(NMO: Neuromyelitis Optica)及び視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD: Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)に対して画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に指定されましたので、お知らせいたします。

 上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康は「サトラリズマブは、中外製薬独自の抗体改変技術を用いて創製された革新的なリサイクリング抗体で、中外で実施した第III相国際共同試験データに基づきBreakthrough Therapy指定が与えられたことを嬉しく思います」と述べるとともに、「サトラリズマブは、NMO/NMOSDの発症に関わるとされる炎症性サイトカインIL-6の働きを抑制するようデザインされています。承認薬のないNMO/NMOSDに対し、サトラリズマブを新たな治療選択肢としてお届けできるよう、一日も早い承認申請の実現に向け引き続き努力いたします」と語っています。

 今回の指定は、NMO/NMOSDの方々を対象とした、サトラリズマブをベースライン治療に上乗せ投与した多施設共同第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験(SAkuraSky試験)で得られたデータに基づいています。中外製薬創製の医薬品に対するBreakthrough Therapy指定としては、4品目・7回目の指定となります。

【参考情報】
サトラリズマブの視神経脊髄炎関連疾患に対する第III相国際共同治験の成績を欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS)2018で発表(2018年10月15日発表ニュースリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20181015120001_772.html

Breakthrough Therapy(画期的治療薬)について
2012年7月に施行されたFDA Safety and Innovation Act(FDASIA)により導入された制度で、重篤または致命的な疾患や症状を治療する薬の開発および審査を促進することを目的としています。Breakthrough Therapyに指定されるためには、一つ以上の臨床的に重要な評価項目において、既存治療を上回る改善を示唆する予備的な臨床上のエビデンスが必要とされています。Breakthrough Therapy指定は、医薬品の開発および審査を促進する他のFDAの制度とは異なるものの、Fast Track指定の利点を全て享受できる制度です。

視神経脊髄炎(NMO)及び視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)について
視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD: Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)は、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、生涯にわたって衰弱を引き起こします。NMOSDの患者は、症状の繰り返す再発経過をたどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積されます。症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下などが現れます。症状の発生が致死的な結果となる場合もあります。NMOSDは、アクアポリン4(AQP4)に対するIgG型自己抗体が中枢神経系に侵入することで発症すると考えられていますが、NMOSDの患者さんのうち、3分の1には抗AQP4抗体の発生が認められません1)-4)。炎症性サイトカインであるIL-6は、NMOSDの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります。2006年に視神経炎および脊髄炎を伴う視神経脊髄炎(NMO)の診断基準、2007年に視神経炎や脊髄炎のみの症例に対するNMOSDの診断基準が提唱されました。2015年に両疾患を整理・統合し、広義の疾患群として新たにNMOSDの概念が提唱され、現在広く用いられています5)

出典

  1. Jarius S, Ruprecht K, Wildemann B et al. Contrasting disease patterns in seropositive and seronegative neuromyelitis optica: A multicentre study of 175 patients. J Neuroinflammation 2012;9:14.
  2. Lennon VA, Wingerchuk DM, Kryzer TJ et al. A serum autoantibody marker of neuromyelitis optica: distinction from multiple sclerosis. Lancet 2004;364:2106-12.
  3. Marignier R, Bernard-Valnet R, Giraudon P et al. Aquaporin-4 antibody-negative neuromyelitis optica: Distinct assay sensitivity-dependent entity. Neurology 2013;80:2194-200.
  4. Takahashi T, Fujihara K, Nakashima I et al. Anti-aquaporin-4 antibody is involved in the pathogenesis of NMO: a study on antibody titre. Brain 2007;130:1235-43.
  5. Wingerchuk DM, Banwell B, Bennett JL et al. International consensus diagnostic criteria for neuromyelitis optica spectrum disorders. Neurology 2015;85:177-89.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
  • 投資家の皆様
  • インベスターリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
  • Facebookのシェア(別ウィンドウで開く)
  • ポストする(別ウィンドウで開く)
  • Lineで送る(別ウィンドウで開く)
  • メールする(メールソフトを起動します)
トップに戻る