2017年12月07日

血友病Aにおけるエミシズマブの4週1回投与
第III相国際共同治験で良好な中間解析結果を示す

―インヒビター保有/非保有のいずれにおいても出血抑制を確認―

中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、血液凝固第VIII因子に対するインヒビター保有/非保有の12歳以上の血友病A患者さんを対象に、エミシズマブ(ACE910)を4週に1回皮下投与した第III相国際共同治験 HAVEN 4試験(NCT03020160)において、良好な中間解析結果が示されたことをお知らせいたします。本試験では、4週1回のエミシズマブ定期投与による有効性、安全性および薬物動態を検討しています。投与期間中央値17週間後に実施した中間解析から、本剤定期投与により、臨床的に意味のある出血抑制が確認されました。

HAVEN 4試験で得られた成績は、インヒビター保有の血友病A患者さんを対象に週1回のエミシズマブ定期投与による出血抑制効果を検討した成人および青年期対象のHAVEN 1試験(NCT02622321)、小児対象のHAVEN 2試験(NCT02795767)ならびにインヒビター非保有の12歳以上の血友病A患者さんを対象に週1回および2週に1回のエミシズマブ定期投与による出血抑制効果を検討したHAVEN 3試験(NCT02847637)で得られたものと同様でした。なお、最も多く見られた有害事象は注射部位反応であり、新たなものは認められませんでした。また、本試験では、血栓性微小血管症や血栓塞栓関連事象は認められませんでした。本試験の詳細な結果は、今後開催される医学会で発表されるとともに、承認申請のため各国の規制当局へ提出される予定です。

上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「4週に1回のエミシズマブによる定期投与が、インヒビターの有無に係らず広く血友病Aの患者さんに出血抑制の効果を示すことは、本剤の投与間隔拡大への可能性を後押しするものです」と述べるとともに「本中間解析結果は、患者さんやそのご家族の日常生活において、治療に伴う負担を緩和できる可能性を示しており、エミシズマブの医療上の価値を高めるものです」と語っています。

エミシズマブは、当社独自の抗体改変技術を用いて創製されたバイスペシフィック抗体です。本剤は活性型第IX因子と第X因子に結合し、血友病Aで欠損または機能異常を来している第VIII因子の補因子機能を代替します1, 2)。また本剤は、「血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する成人および小児の血友病A(先天性第VIII因子欠乏症)患者さんに対する週1回の皮下投与による予防投与療法」として、本年11月に米国食品医薬品局より承認を取得しています(米国製品名:HEMLIBRA®、承認申請者:ジェネンテック社)。欧州においては、インヒビター保有の血友病A患者さんを対象として欧州医薬品庁へ承認申請済みであり、迅速審査(Accelerated Assessment)の指定を受けています。日本では、2016年8月に「インヒビターを保有する先天性血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を対象に、厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定されており、本年7月に製造販売承認申請を行っています。

【HAVEN 4試験(NCT03020160)の概要】
HAVEN 4試験は、エミシズマブを4週に1回の頻度で定期的に皮下投与した際の有効性、安全性および薬物動態を評価する単群オープンラベル多施設共同国際第III相臨床試験です。本試験は、試験開始前に第VIII因子製剤もしくはバイパス止血製剤による出血時止血療法または定期投与を受けていた、血液凝固第VIII因子に対するインヒビター保有/非保有の12歳以上の血友病A患者さん48名を対象に行われました。主要評価項目は、エミシズマブ定期投与による出血頻度であり、副次的評価項目には、関節出血頻度、標的関節出血頻度、健康に関連する生活の質(HRQoL)スコア/健康状態、安全性等が含まれています。

<試験デザイン>
試験開始前に第VIII因子製剤もしくはバイパス製剤による出血時止血療法または定期投与を受けていたインヒビター保有/非保有の患者を2つのコホートに分け、以下の通り段階的に実施。

患者種別目的投与レジメン
薬物動態評価コホート
(n=7)
薬物動態評価 エミシズマブを4週に1回、6mg/kgで定期投与
拡大コホート
(n=41)
有効性および安全性評価 エミシズマブを週1回、3mg/kgで4週間定期投与し、その後4週に1回の頻度で6mg/kgを定期投与

薬物動態評価コホートの評価は、7例すべてを少なくとも6週間追跡した時点で実施し、その後、拡大コホートのエミシズマブ定期投与を開始。なお、本試験実施中に突発的出血が発生した場合、第VIII因子製剤または、バイパス製剤による止血療法が許容されています。

【参考文献】
1) Kitazawa, et al. Nature Medicine 2012; 18(10): 1570
2) Sampei, et al. PLoS ONE 2013; 8: e57479

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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