2017年11月20日

エミシズマブ
インヒビター非保有の血友病Aに対する第III相国際共同治験で
主要評価項目を達成

中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治)(以下、中外製薬)は、血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有しない12歳以上の血友病A患者さんを対象に、出血抑制を目的にエミシズマブ(ACE910)を週1回または2週に1回皮下投与した第III相国際共同治験 HAVEN 3試験(NCT02847637)において、主要評価項目を達成したことをお知らせいたします。主要評価項目は、本剤定期投与群での非投与群に対する出血頻度の抑制であり、エミシズマブの定期投与により出血頻度の統計学的に有意な減少が確認されました。また、副次的評価項目である第VIII因子製剤の予防投与から本剤の定期投与に切り替えた群での患者内比較において、切り替え後の統計学的に有意な出血回数の減少も示されました。本試験で最も多く確認された副作用は注射部位反応で、これまでの試験と同様です。また、本試験において血栓塞栓関連の事象は確認されませんでした。HAVEN 3試験の詳細な結果は、今後開催される医学会にて発表される予定です。

上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「第VIII因子製剤による定期予防療法は、インヒビター非保有の血友病A患者さんの標準治療として定着していますが、日常的な静脈内投与が困難な患者さんや介護者もいらっしゃいます」と述べるとともに「本試験成績は、既に発表されたインヒビター保有患者さんでのデータに続き、静脈内投与より簡便な皮下投与によるエミシズマブの治療が、インヒビター非保有患者さんでも効果を示す可能性を裏付けるものです。本剤が幅広い患者さんにベネフィットをもたらすことを期待しています」と語っています。

エミシズマブは、当社独自の抗体改変技術を用いて創製されたバイスペシフィック抗体です。本剤は活性型第IX因子と第X因子に結合し、血友病Aで欠損または機能異常を来している第VIII因子の補因子機能を代替します1, 2)。また本剤は、「血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する成人および小児の血友病A(先天性第VIII因子欠乏症)患者さんに対する週1回の皮下投与による予防投与療法」として、本年11月に米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得しています(米国製品名: HEMLIBRA®、承認申請者: ジェネンテック社)。欧州でもインヒビター保有の血友病A患者さんを対象として欧州医薬品庁へ承認申請済みであり、迅速審査(Accelerated Assessment)の指定を受けています。日本では、2016年8月に「インヒビターを保有する先天性血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を対象に、厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定されており、本年7月に厚生労働省への承認申請を行っています。

【HAVEN 3試験(NCT 02847637)の概要】
HAVEN 3試験は、エミシズマブを週1回または2週に1回定期的に皮下投与した際の有効性、安全性および薬物動態を評価するランダム化オープンラベル多施設共同国際第III相臨床試験です。本試験は、試験開始前に第VIII因子製剤による予防療法もしくは出血時止血療法を受けていた、血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有しない12歳以上の血友病A患者さん152名を対象に行われました。主要評価項目は、エミシズマブ定期投与群(A群およびB群)の非投与群(C群)に対する出血頻度の抑制です。副次的評価項目には、関節出血頻度、標的関節出血頻度、健康に関連する生活の質(HRQoL)スコア/健康状態、第VIII因子製剤の予防投与から本剤の定期投与に切り替えた群(D群)における切り替え前に対する出血頻度および安全性等が含まれています。

<試験デザイン>

  • 試験開始前に第VIII因子製剤による出血時止血療法を受けていた患者群
    以下のいずれかの群に2:2:1でランダム化
    A群
    (n=34)
    エミシズマブを週1回、3mg/kgで4週間定期投与し、その後1.5mg/kgへ用量を変更し週1回の頻度で定期投与
    B群
    (n=34)
    エミシズマブを週1回、3mg/kgで4週間定期投与し、その後2週間に1回の頻度で3mg/kgを定期投与
    C群
    (n=17)
    エミシズマブ非投与群
  • 試験開始前に、第VIII因子製剤による予防投与療法を受けていた患者群
    D群
    (n=40-60)
    エミシズマブを週1回、3mg/kgで4週間定期投与し、その後1.5mg/kgへ用量を変更し週1回の頻度で定期投与

なお、試験実施中に突発的出血が発生した場合、すべての群において第VIII因子製剤による止血療法が許容されます。

【エミシズマブの血友病Aに対する開発状況】
現在、ロシュ社およびジェネンテック社と共同で、HAVEN 1、HAVEN 2、HAVEN 3のほかインヒビター保有/非保有の血友病A患者さんを対象とした、エミシズマブの4週に1回の皮下投与による予防投与療法を評価する第III相国際共同治験であるHAVEN 4試験(NCT03020160)を行っています。

【参考文献】
1) Kitazawa, et al. Nature Medicine 2012; 18(10): 1570
2) Sampei, et al. PLoS ONE 2013; 8: e57479

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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