2017年11月08日

ALK阻害剤「アレセンサ®
ALK陽性非小細胞肺癌患者さんに対する一次治療薬として米国で承認

中外製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、ロシュ・グループのジェネンテック社(本社:米国カリフォルニア州、CEO:ビル・アンダーソン)がアレセンサ®について、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)より「ALK陽性の転移性非小細胞肺癌(NSCLC)」を効能・効果とした承認を取得したことをお知らせいたします。
アレセンサは、2015年12月にFDAより「クリゾチニブ投与後に病勢進行が認められたALK陽性のNSCLC(二次治療)」として迅速承認を得ていましたが、今回の一次治療での承認と合わせて、二次治療についても本承認へと切り替わりました。

上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「アレセンサは、2014年7月に世界で初めての承認を日本で取得しました。世界中の一人でも多くの患者さんに貢献することを目標に、各国でスピード感を持って開発が進められました」と述べるとともに、「国内外の第III相臨床試験成績からも、アレセンサはこれまでのALK陽性NSCLCの治療を変える薬剤であることが示されました」と語っています。

アレセンサは、ALK阻害剤による治療を受けていない成人の進行ALK陽性NSCLC患者さんへの治療に対し、2016年9月にFDAよりBreakthrough Therapy(画期的治療薬)指定を受けました。画期的治療薬指定は、重篤または致命的な疾患や症状を治療する薬の開発および審査を促進し、患者さんができるだけ早く薬剤での治療が受けられるようにすることを目的としています。なお、画期的治療薬指定は、日本で先行して実施された第III相臨床試験であるJ-ALEX試験の成績に基づいて行われました。

今回の承認は、第III相国際共同治験であるALEX試験の成績に基づいています。
ALEX試験は、一次治療におけるアレセンサとクリゾチニブの有効性および安全性を比較した第III相臨床試験です。有効性については、独立評価委員会判定で、クリゾチニブ投与群に対しアレセンサ投与群では、病勢進行または死亡リスクが47%低下しました(HR=0.53、95%CI: 0.38-0.73、層別log-rank検定、p<0.0001)。無増悪生存期間中央値は、アレセンサ投与群では25.7カ月(95%CI: 19.9-未到達)、クリゾチニブ投与群では10.4カ月(95%CI: 7.7-14.6)でした。安全性については両群とも、これまでの報告と同様であり、新たな所見は認められませんでした。
また、中枢神経への転移および中枢神経病変の増悪は、クリゾチニブ投与群に対しアレセンサ投与群で84%低下しました(HR=0.16、95%CI: 0.10-0.28、層別log-rank検定、p<0.0001)。これは、中枢神経病変の病勢進行までの期間の解析に基づいています。中枢神経系で最初の病勢進行が認められた患者さんは、アレセンサ投与群で12%、クリゾチニブ投与群では45%でした。

アレセンサについて
アレセンサは、中外製薬が創製したALK選択性の高い経口ALK阻害剤です。非小細胞肺癌の約5%でALK融合遺伝子の発現が報告されています1)。この融合遺伝子が発現している細胞は恒常的にALKチロシンキナーゼ活性が上昇しており細胞増殖が制御されず、細胞が腫瘍化していると考えられています2, 3)。アレセンサは、このチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害することにより腫瘍細胞の増殖を阻害し、細胞死を誘導することで抗腫瘍効果を発揮します4)。さらに、アレセンサは、薬剤を脳から能動的に排出するポンプである血液脳関門で認識されません。このため、アレセンサは中枢神経系においても活性があり、脳転移に対しても有効性が確認されています。

現在、アレセンサは米国、欧州、クウェート、イスラエル、香港、カナダ、韓国、スイス、インド、オーストラリア、シンガポール、台湾、リヒテンシュタイン、タイ、アルゼンチンおよびトルコにて、「クリゾチニブに不応または不耐容のALK陽性の転移性(進行)非小細胞肺癌」を効能・効果とした承認を取得しています。国内での効能・効果は「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」であり、販売名「アレセンサ®カプセル150mg」として、中外製薬が販売しています。なお、日本国内の用法・用量は、「通常、成人にはアレクチニブとして1回300mgを1日2回経口投与する」です。

1) 日本肺癌学会バイオマーカー委員会. 肺癌患者におけるALK遺伝子検査の手引き
2) Soda et al., Nature. 448: 561-566 (2007)
3) Takeuchi et al., Clin Cancer Res. 15: 3143-3149 (2009)
4) Sakamoto et al., Cancer Cell. 19: 679-690 (2011)

注:ALEX試験は、アレクチニブとして1回600mgを1日2回経口投与で行われており、国内用法・用量とは異なっております。

上記本文中に記載された製品名はすべて、商標権により保護されています。

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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