2017年03月02日

抗IL-31レセプターAモノクローナル抗体nemolizumab(CIM331)
第II相国際共同治験の成績がThe New England Journal of Medicine
電子版に掲載

中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、アトピー性皮膚炎を予定適応症として開発中の抗IL-31レセプターAヒト化モノクローナル抗体nemolizumabに関し、第II相国際共同治験(XCIMA試験)の成績が、2017年3月2日付(現地時間)でThe New England Journal of Medicine(NEJM)電子版に掲載されましたので、お知らせいたします。本試験は、中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者さん264名を対象に、nemolizumabの有効性と安全性を確認した試験であり、12週時における有効性および忍容性が確認されました。
“Anti-Interleukin-31 Receptor A Antibody for Atopic Dermatitis,” Thomas Ruzicka, M.D., et al
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1606490

なお、本試験に継続して行われた1年間の安全性、有効性評価の成績は、3月4日に行われる米国皮膚科学会年次総会のLate-Breaking Research Forumsにて発表予定です。

上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「アトピー性皮膚炎の患者さんにとって、かゆみを抑えることは大きな課題であり、患者さんのQOLに直結する問題です」と述べるとともに、「このたびNEJMに掲載された臨床成績は、アトピー性皮膚炎におけるIL-31制御の重要性を示すものであり、nemolizumabは有力な治療選択肢となることが期待されます。nemolizumabを患者さんのもとにいち早くお届けするため、パートナーであるガルデルマ社およびマルホ社と連携してまいります」と語っています。

本論文の第一著者であるLudwig-Maximilian University MunichのThomas Ruzicka教授は、次のように述べています。「Nemolizumabはそう痒をターゲットにした初めての薬剤です。月1回の皮下投与は利便性が高く、また、IL-31は多くのそう痒を伴う皮膚疾患に関与していることから、この革新的な薬剤は皮膚科領域において大きな可能性を秘めています」

Nemolizumabの開発および販売については、日本、台湾を除く全世界における開発・販売の独占的実施権をガルデルマ社へ、また日本での皮膚科領域における開発・販売権をマルホ社へそれぞれ許諾しています。
ガルデルマ社とのライセンス契約について:
http://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20160721083000_170.html
マルホ社とのライセンス契約について:
http://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20160928150000_159.html

【試験概要】
264人の患者さんが、4つのnemolizumab群(0.1, 0.5, 2.0 mg/kg 4週間ごと、2.0 mg/kg 8週ごと)又はプラセボ群(4週間ごと)に1:1:1:1:1の比でランダムに登録されました。主要評価項目である12週時のそう痒VAS変化率は、nemolizumab投与群(0.1,0.5 mg/kg及び2.0 mg/kg、4週ごと)において-43.7%、-59.8%、-63.1%となり、プラセボ群の-20.9%に対し有意な改善が認められました(いずれもp<0.01)。副次的評価項目である12週時のEASI変化率は、プラセボ群の-26.6%に対し、nemolizumab投与群(同)で-23.0%、-42.3%、及び-40.9%であり、sIGAの2ポイント以上の改善が認められた患者さんの割合は、プラセボ群の10.5%に対し、nemolizumab投与群(同)では13.8%、37.5%、25.1%でした。
頻度の高かった有害事象はアトピー性皮膚炎の悪化、鼻咽頭炎、上気道感染症、末梢性浮腫、およびCPK上昇でした。有害事象のため治験中止に至った症例はnemolizumab群で15例であり、主なものはアトピー性皮膚炎に関連した事象(アトピー性皮膚炎の悪化、剥脱性皮膚炎)10例でした。

Nemolizumab(CIM331)について
インターロイキン-31レセプターA(IL-31RA)を標的とした、抗IL-31レセプターAヒト化モノクローナル抗体です。IL-31は、そう痒誘発性サイトカインであり、アトピー性皮膚炎および透析患者さんにおけるそう痒の発生に関与していることが報告されています。nemolizumabは、IL-31とそのレセプターの結合を競合的に阻害することにより、IL-31の生物学的作用を抑制し薬効を発揮します。

そう痒VASについて
そう痒視覚アナログ尺度の略で、そう痒の程度を10cmのスケール(0:かゆみなし、10:想像されうる最悪のかゆみ)上に線を引き、そう痒の程度を判定する評価指標です。

EASIについて
Eczema Area and Severity Index の略で、0-72のスコアの範囲をとり、アトピー性皮膚炎の重症度を表します。

sIGAについて
static Investigator’s Global Assessmentの略で、0-5(0 : なし、5: 最重症)の6段階のスコアで皮膚炎の総合的な重症度を評価する尺度です。

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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