統計解析担当者として、臨床試験をデザインする。
入社後、尾崎は臨床開発本部のバイオメトリクス部に配属となり、臨床試験の統計解析を主に担当することになった。「臨床試験は、薬剤の候補を人に投与して有効性や安全性を評価する重要な開発プロセスです。その薬剤候補の有効性や安全性を明らかにするためには、どのくらいの期間で候補薬剤を投与し、どのような被験者を対象に、どのようなデータの取得を目指して試験を実施すべきか、そして適切な統計手法は何かを検討し、臨床試験をデザインしていきます。さらに試験結果を解析し、臨床試験の報告書作成にあたって統計的な解釈を適切に与えていくとともに、当局への申請対応もしていく。まさに臨床開発の最初から最後まで、私たち統計解析担当者は一貫して関わっていきます。」
信念を持って、開発中止も主張できるように。
「試験の結果が好ましくないとき、統計解析の専門家として『この薬剤候補には患者さんの治療につながるエビデンスはない』と自信を持って訴えられるようになりたいと思っています。そのためには、試験を正確にデザインし,評価に必要なデータを収集する必要があります。デザインの方向性がずれ、不要なデータばかりを取得して解析するような事態になれば、薬の本来のポテンシャルを見誤ってしまいますし、臨床試験に協力してくださった被験者の方々にも申し訳ない。何より、患者さんのために注ぐべきリソースが無駄になってしまう。そのことを強く意識しながら、私はこの仕事に取り組んでいます。」
会社の外で、知的刺激を得られる機会も豊富。
その団体の活動として開催されたシンポジウムは、医薬品開発上のデータサイエンスにおいて昨今のホットワードである「因果推論」をテーマに開催され、尾崎はそこで発表の機会を得るとともに、その発表資料がその団体のホームページ上で公開されている。「業界団体での活動に携わって自分の世界が大きく広がりましたし、また、そこで他の製薬企業の専門家と交流することができ、たいへん刺激になっています。」
中外製薬は、自分のような人間にとっては、知的好奇心を大いに満足させてくれる場だと語る尾崎。これからさらに統計解析に関する知識とスキルを高めて、必要とされるプロフェッショナルを目指していきたいと考えている。
※本記事の内容は取材当時のものです。