
教育系YouTuber葉一さんが答える!
入院や通院で休んだ授業の内容、
どうカバーする?
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中学や高校に進むと、勉強のスピードや難易度が増していきます。そんななか、通院や入院、療養のために、学校を休まなければならず、放課後の学習もなかなかできない…ということに悩む人も多いはず。授業を休んだ分をどうカバーし、勉強を進めていけばよいのでしょうか? 大人気YouTubeコンテンツ「とある男が授業をしてみた」を手掛ける、教育系YouTuberの葉一(はいち)さんに、病気を抱えながら勉強と上手に向き合うヒントを教えていただきました。
大丈夫。授業の抜けは自分で埋められる!
授業を飛び飛びに休むと、ひとつの教科でもあちこちの知識が抜け、1ヵ月間学校を休んだら、数学ならだいたいひとつの単元が抜けることになります。でも、そういう状況に「もう無理」とあきらめる必要はまったくありません。抜けている部分を、自分のペースで埋めていけばいいんです。

「大丈夫」と言うには、理由があります。普段は学校に行かず、定期テストだけ受けに行く不登校の子どもたちの多くが、僕の動画チャンネルを利用しています。そのなかには、平均点以上を取ってくる子たちがたくさんいるんです。全教科80点以上を取れた子もいます。もちろん、病気で授業を休まざるを得ない子と、不登校の子とは境遇は違うのですが、授業に出られない分をカバーできる点では参考になるはず。基礎学力を定着させることは、きちんとした勉強法さえできていれば、思ったよりもハードルは高くありません。
授業に出席できていなかったけど、結果がしっかり出せるなんて、かっこよくないですか? 病気を抱えながら勉強と上手に向き合うヒントをこれから紹介しますので、ぜひ、トライしてみてください。
効果的に勉強するための「自分の取扱説明書」をつくろう
勉強の成果が出ている人は、「このくらいやれば、このぐらいの単語数が頭に入る」など、自分がどうすれば効率よく、効果的に勉強できるかをよく知っています。これからいくつか、授業の抜けを効率よく埋め、勉強を進めるヒントを挙げていきます。実際に試しながら自分に合うようにアレンジして、「自分の取扱説明書」をつくっていきましょう。
<ヒント1>まずは、知識の穴がどこにあるかを把握すること
自分がわからないところがどの単元のどの内容なのか、把握することからスタート。特に数学と英語のような、知識を積み重ねていくタイプの教科は、以前の内容が身についていないとそれ以降の学習もあやふやになるので、この作業は必須です。どこからつまずいているのかわからない場合は、学校の先生などに相談してみましょう。
<ヒント2>計画を立てるときは、「3割カット」がちょうどいい
勉強の計画は、やる気に満ちあふれたときに立てがちです。でも、そのテンションをずっと持続するのはなかなか難しいもの。実際に取りかかると計画通りにいかず、「できない」「自分はダメだ」と自信を失ってしまうことも。だから、計画を立てるときは、やろうと思った量の3割カットで。それでまだ余力があるなら増やす形で調整しましょう。自信につなげるためにも、予定通りこなせることを優先的に考えることがポイントです。
<ヒント3>「時間」ではなく「量」で勉強しよう
勉強の計画を立てるときは、「時間の長さ」ではなく、「量」を設定すること。漠然と「1時間がんばる」ではなく、「数学ワーク4ページをやる」などと量を決め、その後にどのくらいの時間をかけるか考えることを基本にしましょう。

<ヒント4>学校の授業は全集中!ただ板書するだけの時間にしない
出席できる学校の授業は有効に。先生の発言に集中して、テストに出そうな部分を予想したり、自分の知識が抜けていると感じた部分をメモしたり、自分なりの工夫をしてみましょう。
<ヒント5>わかった気になりやすい動画コンテンツは、反復を忘れずに
短時間にスピーディーに学べるのが、動画コンテンツの強み。でも、注意してほしいのは、動画は見ただけでわかった気になりやすいことです。1回見ただけでは、気持ちよく忘れてしまうはず(笑)。動画は反復学習しやすいツールなので、わからなかったところは必ず繰り返し見ることが大切。逆にわかっているところは飛ばしてもOK。上手に活用しましょう。
<ヒント6>勉強法を試すときは、1ヵ月は続けよう
今の時代、動画や紙の参考書、スマホのアプリなど、勉強ツールの選択肢が増えた一方、目移りしやすいというデメリットが。今日の明日ですぐに効果が出るツールなんて、存在しません! 勉強ツールをひとつ決めたら、少なくとも1ヵ月はやり続けて、自分との相性を試してみましょう。

病気を抱える中高生たち、保護者の方たちに今、伝えたいこと
病気を抱える子たちに伝えたいのは、現状の中には変えられることと変えられないことがあるということです。学校を休まなければならない現状は個人の努力では変えられませんが、自分の時間をどう使うかは自分自身で変えられます。体調のせいで、やるはずだった勉強ができない日があってもいい。できるときを大切にしてください。机の前に座れなくても、診察の待ち時間に、昨日覚えたはずの単語を頭の中で思い出すだけでも「勉強」です。
保護者の方には、お子さんが日々の過程の中で、着実に前に進んでいることを実感できるように、フォローをお願いしたいです。子どもたちは、勉強のモチベーションがテストの点数に依存しがちになります。ただ、平均点以下だったものが急に平均点が取れたりはしないわけです。それでも、前回よりも5点、10点と上がっていたり、力を入れた単元だけでもよくできていたりすれば、間違いなく成長しています。
「今の状況では、勉強なんてもう無理!」と言うお子さんもいるかもしれませんね。僕もそういう相談をよく受けます。でも、「無理」と伝えているということは、裏を返せば、勉強を投げ出してはいないはず。本当にもういいやと思っていたら、とっくに手放しているんです。無理だと言いつつ「助けてよ」と踏ん張っている状況だと思います。
もしお子さんがこういう状況に陥ったら、「無理」の原因をひも解いてあげてください。スケジュールなのか、成果が出ないからなのか、「無理」にも種類があります。どんな状況に置かれていても思い描く姿に近づくことはできるので、まずできることからひとつ、始めてほしいですね。

そして、少しでも成長を感じたときは、お子さんをほめてあげてください。ただし、「すごいね」などの曖昧なほめ言葉を使って伝わるのは、小学校低学年までです。思春期の子は、何がすごいと思ったかの「何が」の部分を具体的に言わないと、ほめられている実感が湧きません。
たとえば、こんな方法はどうでしょうか。前日にお子さんが勉強した箇所を把握して、翌朝、その中のひとつを質問してみましょう。お子さんが答えられたら、それは昨日よりも確実に成長している証し。「勉強していたところ、できているね。すごい!」と言ってあげてください。これで、お子さんに「何がすごいのか」伝わるはずです。僕が塾講師時代にやっていた方法ですが、これが親子関係でできると、さらに子どもの心が安定します。思春期で難しい面もあるとは思いますが、具体的な声がけを心がけてみてください。
