
どう進める? 誰に相談する?
あきらめない就活のススメ
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新卒での就職活動(就活)に、迷いはつきものです。病気を抱えていると、治療と仕事の両立という大きな課題も加わってきます。病気を経験した、ありのままの自分を受け入れてくれるような志望先から内定を得るために、もしくは、純粋にやりたいと思う仕事をするために、どのように就活を進めていけばいいのでしょうか。国家資格キャリアコンサルタント/産業カウンセラーとして、病気を抱える方の就職支援・就労支援に深く携わる、岡田 晃さん(一般社団法人 仕事と治療の両立支援ネット-ブリッジ所属)に伺いました。
就活の基本的な流れを押さえて計画を立てよう
大学生の就活では、一般的には大学3年次の3月に企業の広報活動が解禁となり会社説明会などがスタートします。そして、6月から面接や選考がはじまります。病気を抱える学生さんの場合、体調不良や通院、治療などのために就活自体が思うようにならず、就活の流れに乗り遅れてしまう例も少なくありません。ですが、可能な限り大学新卒の就活の一般的な流れはしっかり押さえておいてほしいと思います。
大学での就活相談を通じて実感しているのは、就活の早期化とインターンシップの重要性です。インターンシップとは、企業が実施する学生向けの職業体験の場。学生側にとっては、実際の業務や雰囲気を知ることができ、企業への理解を深められるというメリットがあります。
企業側にとっても、自社に合う人材に早期からアプローチできるといった利点があるため、インターンシップはさらに活発化しています。逆に、「インターンシップに参加できなかった場合、その後の選考にたどり着けなかった」という声を学生たちからよく耳にします。
インターンシップの主な対象は大学3年生で、夏休みを使った夏期インターンシップがタイミング的にはピークですが、秋や冬にも実施される場合もあります。最近では1〜2年生が参加するケースも増えており、早くから就職に関する情報を集めたり、応募のための準備をしたりする意識や行動が、自分にとって有利に就活を進めていく上でのカギとなります。
インターンシップは、対面で一定期間行う場合だけでなく、1日開催型など形式もさまざま。コロナ禍でオンライン化も進んでいます。志望する企業の情報をチェックして、計画を立てましょう。
患者の就活に詳しい専門の相談先を見つけて活用しよう
大学生であれば、大学のキャリアセンターやゼミの教授などに相談し、就活の情報を得る場合が多いでしょう。しかし、そういった一般的な相談の場で、病気を抱える学生が適切なアドバイスを得ることはなかなか難しいと言えます。そのため治療と仕事の両立の実態をよく知る相談先で、適切な支援者を見つけることが大切になってきます。
ぜひ知っておいてほしいのが、多くの大規模病院では院内で就職に関する相談ができること。まずは、主治医や看護師に相談してみてください。きっと、院内の相談支援センターで、ソーシャルワーカーなどに相談できる体制を作ってくれるはずです。
ソーシャルワーカーの中には、患者の治療と仕事の両立を支援する「両立支援コーディネーター」の資格を持っている人もいます。
通院先にこういった体制がない場合は、患者会に相談するのもよいでしょう。
公的な相談窓口としては、難病患者の就職相談ができるハローワークが挙げられます。どのハローワークにも専門の窓口があるわけではありませんが、一部のハローワークでは「難病患者就職サポーター」を配置し、難病相談支援センターなどと連携しながら就労支援を行っています。
厚生労働省のWebサイト「治療と仕事の両立支援ナビ(別ウィンドウで開く)」では、実施しているハローワークをはじめ、その他にも相談できる支援機関が紹介されているので、身近な相談窓口をチェックしてみましょう。
また、がん患者をはじめ長期にわたる治療を受けながら就職を希望される方への就職支援を行っている窓口もあります。厚労省のホームページ(別ウィンドウで開く)にリストが公開されているのでチェックしてみてください。あわせて、就職支援ナビゲーターが出張相談を行う連携先拠点病院も掲載されています。
病気を抱える自分を生かせる仕事をどう探す?
「病気のこともあるし、自分が何をしたいかわからない」という声をよく聞きます。でも、仕事を見つけるヒントはさまざまなところにあるものです。
まず、得意なことや自分がのめり込めることから探してみましょう。たとえば、「SNSに詳しい」「療養中にゲームをいっぱいやったから瞬間的な判断は 人一倍早い」などでもよいでしょう。
身近な世界から仕事を探してみるのもおすすめです。たとえば、病気を抱える学生たちの中には、「次は、病院でお世話になった恩返しをする番」だと、医師や看護師、医療事務、栄養士などの医療関係の仕事を志す人が一定数います。治療を通して実際に働く人に接した経験は得難いものですし、仕事についての具体的なイメージも湧くのではないでしょうか。

目先を変えて、働きやすい環境を積極的につくる業界を調べてみるのも手です。医療関係、福祉や保育の分野が、比較的働きやすい環境づくりへの取り組みが進んでいます。
そして、ハローワークの求人も要チェックです。数は多くありませんが、長期療養者の受け入れも想定している「長期療養両立求人」があります。また、「マザーズ求人」と呼ばれている求人案件も注目に値します。こちらは、文字面では「子を持つ母親」がイメージされますが、実際には「子を持つ母親」だけしか応募できないというものではなく、男女ともに応募できます。配慮を得たい方々にとって働きやすい環境を整えている求人と考えてよいでしょう。ぜひ、ハローワークのインターネットサービス(別ウィンドウで開く)で「長期療養両立求人」や「マザーズ求人」といったキーワードで検索してみてください。
あなたの就活を応援できる支援者がいることをどうか忘れないでください。一緒に自分の可能性を探っていきましょう。
