
病気のこと、友だちにどう伝える?
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中高生になると学校生活、課外活動、友だちとの関係など、環境がそれまでとは大きく変わります。特に思春期の友だち関係は複雑ですよね。あなたが病気であることを友だちに伝えるべきか否か、思い悩む場面も増えてくるでしょう。そこで、心理の専門家としてたくさんの子どもたちの相談に応えてきた、心理学者の山脇由貴子さんが、病気について友だちに話すときの伝え方や、友だちとのコミュニケーションおいて大切なことなどをアドバイスします。
いっしょにいる友だちには、必要なことだけを早めに伝えておこう
中高校生になると、親同士の関わりが薄くなるため、あなた自身が病気のことをまわりに伝える場面が増えてきます。そのなかで、病気のことを友だちに話すべきか、話すとしたら「誰に」「どこまで」話すのかは、大問題ですよね。
結論から言えば、必要に応じて友だちにも病気のことを話しておくべきでしょう。例えば、お弁当を一緒に食べる相手、お薬を飲んだり自分で注射をするなどの処置を目にする相手、一緒に行動するときに食べてはいけないものや、してはいけないことを知っておいてほしい相手など。新学期が始まって新しい友だちとの関係ができ、その関係が続きそうだと思った時点で、早めに伝えておくとよいでしょう。
部活や学校行事、習い事などは、配慮により参加できるのであれば、積極的にチャレンジしてほしいです。その場合にもクラスメートやチームメートなどが「特別扱い」に違和感を抱かないように、「なぜ配慮されているのか」「みんなに知っておいてほしいことは何か」を話しておく必要があります。特にアレルギーなど命にかかわる可能性のある病気は、全員へ知っておいてもらうことが大切です。
病気のこと、どんなふうに伝える? NGな行為は?
病気のことを話すと「嫌われるかも」「仲間外れにされたらどうしよう」と不安に思うのは当然です。でも、黙っていることで、いざというとき必要以上に相手を驚かせたり、迷惑をかけたり、かえって関係をこじらせてしまう可能性も。「話すタイミングを逃してしまった」場合でも、「いまさらだけど、ごめんね」「ちょっと言いそびれていたけど…」とさらっと、でもがんばって伝えてみましょう。
病気のことを打ち明けられて、最初は友だちが「めんどうだな」「不安だな」と感じたとしても、そのうち慣れてくれるものです。そう思えば、少しは気負わずに伝えることができるのではないでしょうか。
友だちとのコミュニケーションで心がけたいのは、「うそをつかない」ことです。例えば、病気のことを知らない相手にお薬を飲む様子を見られたときに、とっさに「これ、ダイエットサプリだから」などとうそをついてしまうと、必ずどこかでほころびが出ます。そして、調子が悪い時も「平気」だというふりをしたり、行ってはいけない場所だと言わずについて行ってしまったり。うそをつきだすと収拾がつかなくなり、結果的に友だち関係が壊れてしまう恐れもあります。
「誰に話すか」「どこまで話すか」についてはあらかじめ家族と相談して決めておくと安心です。必要以上に相手を不安にさせないよう、「病気が進むとこうなるかも」など万が一の事態までは話さなくてよいと思います。一緒に過ごすなかで相手が目にすること――例えば、お薬や制限・禁止事項などを伝えて、「~でも全然心配は要らないから」という感じで話せると良いですね。
病気のことを「誰に・どこまで・どう話すか」は、大人になって社会に出てからも考え、対応していく必要があります。いまは練習期間と割り切って、たとえ失敗しても経験値が得られたと前向きに捉えることが大切です。

思春期における友だちとは? 信頼できる相手を見極める期間
あなたにとって友だちとはどういう存在でしょうか。よく、「嫌われたくないから本音やぐちが言えない」、「悩みなんてとてもじゃないけど打ち明けられない」という人がいます。でも、その相手は、本当に友だちと言えるでしょうか?
病気について打ち明けたとき、びっくりして、どう反応したらいいかわからず、絶句してしまう人もいるかもしれません。でも、そのまま距離を置かれたり、態度ががらりと変わったりするような相手なら、言っても言わなくても、きっと関係は長く続かなかったはず。
どういう人なら信頼できるか、どういう人を大事にしたいか、どういう人なら自分が大切にされるか――思春期は、親以外の「大切な人」を作るために、そうした人を見極めるための重要な期間です。見方を変えれば、うまく付き合えない相手についても学べるということ。友だち関係のトラブルがあっても落ち込まずに、その過程を通じて自分自身を知っていくことが大切です。
友だち関係で悩んだときには、親や先生、スクールカウンセラーに加え、親以外の第三者である『ナイショ話のできる大人』の存在が役に立ちます。さらに“視点を変える”という意味でおすすめなのが、異性の兄弟姉妹や親戚などに相談することです。行動・思考パターンが自分とは異なる人からのアドバイスから、意外とすんなり解決策が見つかるかもしれません。
