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2026年01月28日
- 医薬品
- 研究開発
抗CTLA-4スイッチ抗体ROSE12、非臨床研究の成果がJournal for ImmunoTherapy of Cancerに掲載
- 中外製薬独自の抗体エンジニアリング技術Switch-Igを適用した抗CTLA-4スイッチ抗体であるROSE12の非臨床研究の成果を、がん免疫療法分野における著名な学術誌が採択
- ROSE12がアデノシン3リン酸(ATP)依存的にCTLA-4(Cytotoxic T-Lymphocyte Antigen-4)に結合して腫瘍中で制御性T細胞(Treg)を除去し、腫瘍選択的な免疫応答を高める可能性を示唆
- 現在、固形がんを対象に第I相臨床試験を実施中
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社が創製し、現在固形がんを対象として第I相臨床試験を実施中の抗CTLA-4スイッチ抗体ROSE12の非臨床研究の成果が、Journal for ImmunoTherapy of Cancerに掲載されたことをお知らせいたします。同誌は、米国がん免疫療法学会(Society for Immunotherapy of Cancer:SITC)から出版されている、がん免疫療法の分野における著名な学術誌です。
“ROSE12, a novel anti-CTLA-4 FcγRs binding-enhanced antibody activated by extracellular adenosine triphosphate, shows tumor selective regulatory T-cell depletion and antitumor efficacy without systemic immune activation”
https://jitc.bmj.com/content/14/1/e013397
本研究では、以下の点が示されました。
- 固形がん組織中に高濃度に存在するとされるATPに依存してCTLA-4に結合し、腫瘍選択的にTregを除去する抗CTLA-4抗体ROSE12を創製したこと
- ROSE12がATP存在下においてはCTLA-4に結合し、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を発揮しTregを除去する。一方、ATP非存在下においてはCTLA-4に結合せず活性を示さないこと(in vitro実験)
- 既存の免疫チェックポイント阻害剤に耐性を持つがん細胞株を含む、複数のがん細胞株をそれぞれ移植したマウスモデルにおいて、ROSE12が抗腫瘍効果を示したこと(マウス実験)
- 正常組織におけるTreg除去反応などの機序を介した全身性の免疫反応が、ROSE12では低減したこと(マウス実験)
- サルを用いた毒性試験において、ROSE12に忍容性が確認されたこと
ROSE12について
ROSE12は、中外製薬独自の抗体エンジニアリング技術Switch-Igを適用した抗CTLA-4スイッチ抗体です。腫瘍組織で高濃度に存在するとされているアデノシン3リン酸(ATP)をスイッチ分子として認識して活性化し、CTLA-4が高発現している制御性T細胞(Treg)を選択的に除去するように設計されています。腫瘍選択的に作用することで、全身性の免疫関連有害事象を回避しながら抗腫瘍効果を発揮することを実証するため、現在、固形がんを対象とした第I相臨床試験を実施しています。
ROSE12は、Treg研究の第一人者である大阪大学特別栄誉教授・免疫学フロンティア研究センター(IFReC)特任教授の坂口志文氏との共同研究を起点に、当社創薬技術を用いて創製されました。
Switch-Igについて
Switch-Igは、抗体の疾患部位選択性を高める技術です。従来の抗体は疾患部位だけでなく、正常組織でも標的抗原に結合してしまい、副作用が生じる等の問題が起こり得ます。Switch-Igは疾患部位で選択的に高濃度になる分子(スイッチ分子)の存在下で標的抗原に結合するようにデザインされた抗体であり、スイッチ分子の濃度が低い正常組織では標的抗原に反応しにくくなります。この技術を用いることで、抗体を疾患部位で選択的に反応させることができ、正常組織に結合することで生じる毒性の問題の低減に繋がることが期待されます。
制御性T細胞(Treg)について
Tregは免疫抑制の中心的役割を担い、がん免疫療法における重要な標的細胞の一つです。Tregの主な役割は、他の免疫細胞の活動を調整することです。例えば、体内で過剰な免疫反応が起きそうになった時、Tregはそれを抑制します。しかし、Tregの機能が低下すると、免疫システムのバランスが崩れ、IPEX症候群*をはじめとして関節リウマチや1型糖尿病、多発性硬化症などの自己免疫疾患を引き起こす可能性があります。一方で、Tregが過剰に働くと、がん細胞に対する免疫反応を抑制してしまい、がんの増悪につながる可能性があります1。
- *IPEX症候群とは:FOXP3遺伝子の異常が原因で免疫異常を呈する症候群で、IPEXはimmune dysregulation、polyendocrinopathy、enteropathy、X-linkedの頭文字。重症のアレルギー、自己免疫性の甲状腺異常や1型糖尿病、炎症性腸疾患を呈する。
上記本文中に記載されたSwitch-Igは、法律により保護されています。
出典
- Wadell, C.M. et al.:Harnessing the biology of regulatory T cells to treat disease. Nat Rev Drug Discov., 24(2), 93-111 (2025)
以上
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