中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2024年11月22日

  • 医薬品
  • 研究開発

抗CD20モノクローナル抗体「リツキサン®」小児の慢性特発性血小板減少性紫斑病に対する承認取得について

全薬工業株式会社
中外製薬株式会社

 全薬工業株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:橋本 弘一、以下「全薬工業」)および中外製薬株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 CEO:奥田 修、以下「中外製薬」)は、両社で共同販売を行っている抗CD20モノクローナル抗体「リツキサン®点滴静注100 mg、同500 mg」[一般名:リツキシマブ(遺伝子組換え)](以下「リツキサン」)について、本日、製造販売業者である全薬工業が「小児の慢性特発性血小板減少性紫斑病*1」(特発性血小板減少性紫斑病:ITP)に対する用法及び用量追加の承認*2 *3を厚生労働省より取得したことをお知らせいたします。

 慢性ITPは、これまで成人でのみ用法及び用量が規定され使用が認められており、小児に対する使用は認められていませんでした。一般社団法人 日本小児血液・がん学会から、「小児の慢性ITP」に対するリツキサンの用法及び用量の追加について要望があり、2024年3月22日に開催されました第58回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議にて、公知申請に該当すると評価され、同年4月26日に開催されました薬事審議会医薬品第一部会において、公知申請を行って差し支えないと正式に決定されました。これを受け、全薬工業は同年5月24日に用法及び用量の追加について公知申請を行い、今回の承認取得に至りました。

 ITPは、血小板膜蛋白に対する自己抗体が発現し、血小板の破壊と産生障害によって血小板減少をきたす自己免疫性疾患であり1)2)3)、国の指定難病(指定難病63)として認定されています。ITPの病因は不明であり、自己抗体の産生機序は明らかにされていません。
 新規に診断された小児のITP患者さんの多くは、しばしば高度な血小板減少症が見られますが、頭蓋内出血など重篤な出血はまれであり4)5)6)、自然寛解することも多く、治療を要するのは30~56%とされています7)8)9)。一方で、副腎皮質ステロイド薬や免疫グロブリン静注療法等による一次治療に対して抵抗性を示す場合もあり10)、国内外の診療ガイドライン10)11)12)では、そのような小児のITP患者さんに対する治療選択肢の一つとして、リツキサンが推奨されています。

 リツキサンは、造血幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質であるCD20抗原に特異的に結合する抗CD20モノクローナル抗体であり、標的となるB細胞をヒトの体内に備わった免疫系を用いて攻撃し、細胞を傷害します。現在までに、ITPの病因としてB細胞の影響も示唆されており13)14)15)、リツキサンによりB細胞を除去することで、一次治療に抵抗性を示す慢性ITPに対して治療効果が期待されます。

 全薬工業および中外製薬は、成人に加え小児の慢性ITPに対する治療にリツキサンが貢献できるよう、より一層の協力体制で取り組んでまいります。

 上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

以上

  1. *1 特発性血小板減少性紫斑病は、血小板に対する自己免疫疾患であると考えられるため、近年では「免疫性血小板減少症」という名称で呼ばれることもあります。
  2. *2 承認された用法及び用量
    〇 慢性特発性血小板減少性紫斑病
    通常、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量 375 mg/m2を1週間間隔で4回点滴静注する。
  3. *3 リツキサンの慢性ITPに対する適応は、2017年6月に成人を対象として承認を取得し、今回、小児に対する承認を追加で取得しました。

出典:

  1. Cooper N, Bussel J. The pathogenesis of immune thrombocytopenic purpura. Br J Haematol 2006; 133(4): 364-374.
  2. Berchtold P, McMillan R, Tani P, Sommerville-Nielsen P, Blanchette VS. Autoantibodies against platelet membrane glycoproteins in children with acute and chronic immune thrombocytopenic purpura. Blood 1989; 74(5): 1600-1602.
  3. Taub JW, Warrier I, Holtkamp C, Beardsley DS, Lusher JM. Characterization of autoantibodies against the platelet glycoprotein antigens IIb/IIIa in childhood idiopathic thrombocytopenia purpura. Am J Hematol 1995; 48(2): 104-107.
  4. Neunert CE, Buchanan GR, Imbach P, et al. Severe hemorrhage in children with newly diagnosed immune thrombocytopenic purpura. Blood 2008; 112(10): 4003-4008.
  5. Neunert CE, Buchanan GR, Imbach P, et al. Bleeding manifestations and management of children with persistent and chronic immune thrombocytopenia: data from the Intercontinental Cooperative ITP Study Group (ICIS). Blood 2013; 121(22): 4457-4462.
  6. Provan D, Arnold DM, Bussel JB, et al. Updated international consensus report on the investigation and management of primary immune thrombocytopenia. Blood Adv 2019; 3(22): 3780-3817.
  7. Grimaldi-Bensouda L, Nordon C, Leblanc T, et al. Childhood immune thrombocytopenia: A nationwide cohort study on condition management and outcomes. Pediatr Blood Cancer 2017; 64(7). doi: 10.1002/pbc.26389.
  8. Grainger JD, Rees JL, Reeves M, Bolton-Maggs PHB. Changing trends in the UK management of childhood ITP. Arch Dis Child 2012; 97(1): 8-11.
  9. Bennett CM, Neunert C, Grace RF, et al. Predictors of remission in children with newly diagnosed immune thrombocytopenia: Data from the Intercontinental Cooperative ITP Study Group Registry II participants. Pediatr Blood Cancer 2018; 65(1). doi: 10.1002/pbc.26736.
  10. 日本小児血液・がん学会2022年小児免疫性血小板減少症診療ガイドライン.日本小児血液・がん学会雑誌 2022; 59(1): 50-57.
  11. Provan D, Arnold DM, Bussel JB, et al. Updated international consensus report on the investigation and management of primary immune thrombocytopenia. Blood Adv 2019; 3(22): 3780-3817.
  12. Neunert C, Terrell DR, Arnold DM, et al. American Society of Hematology 2019 guidelines for immune thrombocytopenia. Blood Adv 2019; 3(23): 3829-3866.
  13. Kuwana M, Kaburaki J, Ikeda Y. Autoreactive T cells to platelet GPIIb-IIIa in immune thrombocytopenic purpura: role in production of antiplatelet autoantibody. J Clin Invest 1998; 102(7): 1393-1402.
  14. Chang M, Nakagawa PA, Shirley A, et al. Immune thrombocytopenic purpura (ITP) plasma and purified ITP monoclonal autoantibodies inhibit megakaryocytopoiesis in vitro. Blood 2003; 102(3): 887-895.
  15. Li X, Zhong H, Bao W, et al. Defective regulatory B-cell compartment in patients with immune thrombocytopenia. Blood 2012; 120(16): 3318-3325.

本件に関するお問い合わせ先

  • 全薬ホールディングス株式会社
  • グループ総務部 広報課
  • Tel:03-3946-1123
  • 中外製薬株式会社 広報IR部
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • Mail:pr@chugai-pharm.co.jp
  • インベスターリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0554
  • Mail:ir@chugai-pharm.co.jp
  • Facebookのシェア(別ウィンドウで開く)
  • ポストする(別ウィンドウで開く)
  • Lineで送る(別ウィンドウで開く)
  • メールする(メールソフトを起動します)
トップに戻る