中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2023年11月22日

  • 医薬品
  • 研究開発

HER2陽性の乳がんおよび大腸がん治療薬「フェスゴ配合皮下注」国内発売のお知らせ

  • ペルツズマブおよびトラスツズマブ(パージェタおよびハーセプチンに含まれるモノクローナル抗体)の配合皮下注製剤「フェスゴ」をHER2陽性の乳がんおよび大腸がんの治療薬として発売
  • 従来の静脈注射剤では60~150分かけて投与するのに対し、フェスゴでは5~8分以上で投与可能
  • HER2陽性大腸がんに対する皮下注製剤としては世界初
  • パージェタおよびハーセプチンはHER2陽性乳がんに対する標準治療薬

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、本年9月25日に製造販売承認を取得した抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体・ヒアルロン酸分解酵素配合剤「フェスゴ®配合皮下注 MA、同IN」[一般名:ペルツズマブ(遺伝子組換え)・トラスツズマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)注](以下、フェスゴ)について、「HER2陽性の乳癌」および「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を効能又は効果として、本日、薬価収載され、販売を開始したことをお知らせいたします。

 中外製薬 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「HER2陽性乳がんの標準治療薬として使用されているパージェタ®およびハーセプチン®の配合皮下注製剤であるフェスゴを日本においても発売できることを心より嬉しく思います。フェスゴは、従来の静脈注射よりも短時間で治療が可能となる薬剤です。人々の生活様式や社会環境が多様化する中、投与時間が短縮されることで、患者さんの日常生活の改善に繋がることが期待されます。加えて、調製不要な固定用量の皮下注製剤であるため、医療資源の効率化への寄与が期待される薬剤です。フェスゴを新たな治療選択肢として、様々な状況の中でがん治療を受けられている患者さんやご家族、医療関係者の皆さまにこれまでにない価値をお届けできるよう、適正使用の推進に努めてまいります」と語っています。

 フェスゴは、パージェタおよびハーセプチンに含まれるモノクローナル抗体とボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の溶液が1本のバイアルに含まれ、調製不要の固定用量による投与が可能な配合皮下注製剤です。薬剤投与時間(経過観察等を除く)は、パージェタとハーセプチンの静注製剤を続けて投与する場合、初回は約150分、2回目以降は60~150分*に対して1,2,3、フェスゴの投与時間は、初回は8分以上、2回目以降は5分以上です。

  • *初回投与の忍容性が良好な場合、両剤とも30分まで短縮可能

 今回の承認は、HER2陽性乳がんを対象にフェスゴの薬物動態、有効性および安全性を評価した日本を含む国際共同第III相臨床試験(FeDeriCa試験)、同じくHER2陽性乳がんを対象に、フェスゴの患者選好度および皮下投与の満足度を評価した海外第II相臨床試験(PHranceSCa試験)等の成績に基づいています。

電子化された添付文書情報

販売名:フェスゴ®配合皮下注 MA、同IN

一般名:ペルツズマブ(遺伝子組換え)・トラスツズマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)注

効能又は効果:

  • HER2陽性の乳癌
  • がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

用法及び用量:
〈HER2陽性の乳癌〉
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1200mg、600mg及び30000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg、600mg及び20000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与する。ただし、術前・術後薬物療法の場合には、投与期間は12カ月までとする。
〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉
通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1200mg、600mg及び30000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg、600mg及び20000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与する。

承認日:2023年9月25日

薬価基準収載日:2023年11月22日

発売開始日:2023年11月22日

薬価:フェスゴ®配合皮下注 MA 268,695円/1瓶、同IN 471,565円/1瓶

【参考情報】
パージェタとハーセプチンの固定用量による配合皮下注製剤フェスゴ、HER2陽性の乳がんおよび大腸がんに対し製造販売承認を取得(2023年9月25日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20230925150001_1323.html

フェスゴ(ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ)について
 フェスゴはパージェタおよびハーセプチンに含まれるモノクローナル抗体とボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の溶液が1本のバイアルに含まれ、固定用量による投与が可能な配合皮下注製剤です。ハロザイム セラピューティクス社のEnhanze®薬物送達技術を用いて、ヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼにより、抗体の浸透・吸収を促進すると考えられます4。フェスゴに含まれるモノクローナル抗体は、パージェタおよびハーセプチンに含まれる抗体と同一です。パージェタおよびハーセプチンは、HER2受容体の異なる位置に結合し、相互に補完する機序と考えられています5,6。パージェタとハーセプチンの併用療法は、HERシグナル伝達経路をより包括的に二重に遮断すると考えられています5,6

FeDeriCa試験について7
 FeDeriCa試験は、HER2陽性早期乳がんの患者さん500例を対象に、術前および術後薬物療法として化学療法と併用したフェスゴ投与時の薬物動態、有効性および安全性を、化学療法と併用したパージェタとハーセプチンの静注製剤と比較検討した、多施設非盲検オープンラベルランダム化2群比較の国際共同第III相臨床試験です。本試験の主要評価項目は、反復投与時のパージェタの最低血中濃度です。副次的評価項目は安全性、反復投与時のハーセプチンの最低血中濃度、乳房および腋窩での病理学的完全奏効率等です。

PHranceSCa試験について8
 PHranceSCa試験は、HER2陽性早期乳がんの患者さん160例を対象に、フェスゴに対する患者選好度および皮下投与の満足度を評価した海外第II相ランダム化臨床試験です。主要評価項目は、患者選好質問票(PPQ:Patient Preference Questionnaire)の回答に基づく、本剤に対する患者さんの選好度です。副次的評価項目は、本剤と、パージェタおよびハーセプチンの静注製剤に対する患者さんの満足度(TASQ:Therapy Administration Satisfaction Questionnaire)、治療継続期間における患者さんの本剤選択率等です。

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典

  1. European Medicines Agency. Summary of Product Characteristics for Herceptin. Available from: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/herceptin-epar-product-information_en.pdf (2023年11月確認)
  2. European Medicines Agency. Summary of Product Characteristics for Perjeta. Available from: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/perjeta-epar-product-information_en.pdf (2023年11月確認)
  3. US Food and Drug Administration. Prescribing Information for Herceptin. Available from: https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2018/103792s5345lbl.pdf (2023年11月確認)
  4. Halozyme. Enhanze® Drug Delivery Technology. Available from: https://halozyme.com/drug-delivery-technologies/enhanze/ (2023年11月確認)
  5. Iqbal N, Iqbal N. Human Epidermal Growth Factor Receptor 2 (HER2) in Cancers: Overexpression and Therapeutic Implications. Mol Biol Int. 2014;2014:852748.
  6. Baselga J, Swain SM. Novel anticancer targets: revisiting ERBB2 and discovering ERBB3. Nat Rev Cancer 2009;9:463-75.
  7. The Lancet Oncology. Fixed-dose combination of pertuzumab and trastuzumab for subcutaneous injection plus chemotherapy in HER2-positive early breast cancer (FeDeriCa): a randomised, open-label, multicentre, non-inferiority, phase 3 study. Available from: https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(20)30536-2/fulltext (2023年11月確認)
  8. European Journal of Cancer. Preference for the fixed-dose combination of pertuzumab and trastuzumab for subcutaneous injection in patients with HER2-positive early breast cancer (PHranceSCa): A randomised, open-label phase II study. Available from: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959804921002148?via%3Dihub (2023年11月確認)

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
  • 投資家の皆様
  • インベスターリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
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