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2022年11月09日

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バビースモ、網膜静脈閉塞症(RVO)を対象とした第III相臨床試験において主要評価項目を達成

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が10月27日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。

原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2022-10-27をご覧ください。

  • 網膜静脈閉塞症(RVO)を対象としたBALATON試験およびCOMINO試験において、バビースモのアフリベルセプトに対する非劣性が検証され、主要評価項目を達成
  • バビースモの忍容性はおおむね良好であり、安全性プロファイルは過去の試験と同様
  • バビースモは、視力を脅かす多くの網膜疾患に関連するAng-2とVEGF-Aの2つの疾患経路を標的として阻害する、最初で唯一の治療薬
  • 詳細な結果は今後の国際学会で発表され、各国の規制当局に提出予定

 ロシュ社は10月27日、眼科領域における最初で唯一のバイスペシフィック抗体であるバビースモ®(ファリシマブ)について、網膜静脈分枝閉塞症または網膜中心静脈閉塞症による黄斑浮腫に対する2つの第III相グローバル臨床試験(BALATON試験およびCOMINO試験)の良好なトップライン結果を発表しました1,2,3。網膜静脈閉塞症(RVO)は、世界で2,800万人に影響を及ぼす視力を脅かす疾患です4

 両試験は、いずれも主要評価項目を達成しました。網膜静脈分枝閉塞症または網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫を有する試験参加者において、バビースモを24週時点まで4週間隔で投与した群は、アフリベルセプトを4週間隔で投与した群に比較し、視力改善*において非劣性を示しました。

 *訳注:主要評価項目である24週時点での最高矯正視力のベースラインからの変化量

 バビースモ群の中心領域網膜厚(CST)の減少を測定したところ、ベースラインから24週時点まで継続的に網膜液の急速なドライ化が示されました。

 両試験とも、バビースモの忍容性はおおむね良好でした。安全性プロファイルは過去の試験と同様でした。

 詳細な結果は今後の国際学会で発表され、各国の規制当局に提出されます。

 バビースモは、アンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)を中和し血管の安定性を回復させることにより、視力を脅かす多くの網膜疾患に関連する2つの疾患経路を標的として阻害するよう独自に設計されています3,5。Ang-2の値はRVOにおいて上昇し、 Ang-2の発現増加が疾患の進行を促すと考えられています6,7

 バビースモは現在までに、新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)の治療薬として、米国、日本、英国、EUを含む世界40カ国以上で承認されています8,9,10,11,12。nAMDとDMEにおけるバビースモの長期的な有効性および安全性は、3,000例を超える治験参加者を対象とした4つの大規模なグローバル試験から得られた2年間のデータにより実証されています3,5,13,14。バビースモは、nAMDおよびDMEに対し、最長4カ月の治療間隔が第III相臨床試験で確認されたことに基づき承認された唯一の眼内注射薬です12。これらの疾患の治療薬として、これまでに世界全体で165,000本以上のバビースモが流通しています8。RVO、nAMDおよびDMEの患者数は全世界で約7,000万人であり、視力喪失の主要な原因の一つとされています4,7,15,16,17

網膜静脈閉塞症(RVO)について

 RVOは、網膜血管疾患による視力喪失の2番目に多い原因であるとされています4。世界で2,800万人(主に60歳以上)が罹患していると推定され、重度かつ急性の視力喪失に至る可能性があります4,18。アンジオポエチン‐2(Ang‐2)の値はRVOにおいて上昇し、 Ang‐2の発現増加が疾患の進行を促すと考えられています6,7。RVOでは、静脈が閉塞して網膜の正常な血流が制限され、黄斑浮腫と呼ばれる虚血、出血、体液の漏出、網膜の腫れが生じ、通常、患部の眼に急性の無痛性の視力障害が生じます18,19,20。通常、RVOに伴う黄斑浮腫の治療は、抗血管内皮増殖因子製剤の硝子体内注射を繰り返し行います20。RVOには主に2種類あります。このうち網膜静脈分枝閉塞症は、世界で2,300万人以上が罹患し、網膜静脈の4つの小さな 「分枝」 のいずれかが閉塞すると発症します20。網膜中心静脈閉塞症は、世界で400万人以上が罹患しており、眼の網膜中心静脈が閉塞すると発症します4,20

BALATON試験およびCOMINO試験について1,2

 BALATON(NCT04740905)試験およびCOMINO(NCT04740931)試験は、無作為化、多施設共同、二重遮蔽、第III相グローバル臨床試験であり、バビースモ(ファリシマブ)の有効性および安全性をアフリベルセプトと比較し評価しました。最初の20週間は、治験参加者を1:1の割合でバビースモ(6.0 mg)またはアフリベルセプト(2.0 mg)の月1回注射を6回受ける群に無作為に割り付けました。24~72週に、treat-and-extend法を用いて個別の投与間隔レジメンに従い、すべての治験参加者にバビースモ(6.0 mg)を最長4カ月間隔で投与しました。

 BALATON試験は、網膜静脈分枝閉塞症患者553例を対象として実施しました。COMINO試験は、網膜中心静脈閉塞症または半側網膜静脈閉塞症の患者729例を対象に実施しました。

 各試験の主要評価項目は、24週時点での最高矯正視力のベースラインからの変化量です。副次評価項目は、中心領域網膜厚(CST)と網膜液のドライ化における24週目までのベースラインからの変化量です。

バビースモ(ファリシマブ)について

 バビースモは眼科領域において承認された初のバイスペシフィック抗体です9,11。アンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)を中和することにより、視力を脅かす多くの網膜疾患の原因である2つの経路を標的とし、阻害します。Ang-2とVEGF-Aは、血管構造の不安定化により、漏出を引き起こす血管を新たに形成し、炎症を起こすことで視力低下を引き起こすとされています3,5。バビースモはAng-2とVEGF-Aが関与する経路を遮断することで、血管を安定させるよう設計されています。バビースモは、新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)の治療薬として、米国、日本、英国、EUを含む世界40カ国以上で承認されています。その他の規制当局による審査は継続中です8,9,10,11,12

【出典】

  1. Clinical Trials.gov. A study to evaluate the efficacy and safety of faricimab in participants with macular edema secondary to branch retinal vein occlusion (BALATON) [Internet; cited October 2022]. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04740905.
  2. Clinical Trials.gov. A study to evaluate the efficacy and safety of faricimab in participants with macular edema secondary to central retinal or hemiretinal vein occlusion (COMINO) [Internet; cited October 2022]. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04740931.
  3. Heier JS, et al. Efficacy, durability, and safety of intravitreal faricimab up to every 16 weeks for neovascular age-related macular degeneration (nAMD) (TENAYA and LUCERNE): two randomised, double-masked, phase III, non-inferiority trials. The Lancet. 2022; 399:729-740.
  4. Song P, et al. Global epidemiology of retinal vein occlusion (RVO): a systematic review and meta-analysis of prevalence, incidence and risk factors. J Glob Health. 2019;9:010427.
  5. Wykoff C, et al. Efficacy, durability and safety of intravitreal faricimab with extended dosing up to every 16 weeks in patients with diabetic macular edema (DME) (YOSEMITE and RHINE): two randomised, double-masked, phase III trials. The Lancet. 2022; 399:741-755.
  6. Regula JT, et al. Targeting key angiogenic pathways with a bispecific CrossMab optimised for neovascular eye diseases. EMBO Molecular Medicine. 2016;8:1265–88.
  7. Joussen AM, et al. Angiopoietin/Tie2 signalling and its role in retinal and choroidal vascular diseases: a review of preclinical data. Eye. 2021;35:1305-1316.
  8. Roche data on file.
  9. United States Food and Drug Administration (U.S. FDA). Highlights of prescribing information, Vabysmo. 2022 [Internet; cited October 2022]. Available from: https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2022/761235s000lbl.pdf.
  10. Chugai Pharmaceutical Co. Ltd. Chugai obtains regulatory approval for Vabysmo, the first bispecific antibody in ophthalmology, for nAMD and DME [Internet; cited October 2022]. Available from: https://www.chugai-pharm.co.jp/english/news/detail/20220328160002_909.html.
  11. Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA). MHRA approves faricimab through international work-sharing initiative [Internet; cited October 2022]. Available from: https://www.gov.uk/government/news/mhra-approves-faricimab-through-international-work-sharing-initiative.
  12. European Medicines Agency. Summary of Product Characteristics, Vabysmo, 2022 [Internet; cited October 2022]. Available from: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/vabysmo-epar-product-information_en.pdf.
  13. Wells JA, et al. Faricimab in DME: two-year results from the phase III YOSEMITE and RHINE trials. Presented at: Angiogenesis, Exudation and Degeneration 2022; 11-12 February 2022; virtual.
  14. Khanani A, et al. Faricimab in nAMD: year 2 efficacy, safety and durability results from the phase III TENAYA and LUCERNE trials. Presented at: 2022 American Society of Retina Specialists Annual Scientific Meeting; 13-16 July 2022; New York City, NY, USA.
  15. Yau JWY, et al. Global prevalence and major risk factors of diabetic retinopathy. Diabetes Care. 2012;35:556–64.
  16. Connolly E, et al. Prevalence of age-related macular degeneration associated genetic risk factors and four-year progression data in the Irish population. Br J Ophthalmol. 2018;102:1691-95.
  17. Bright Focus Foundation. Age-related macular degeneration: facts and figures [Internet; cited October 2022]. Available from: https://www.brightfocus.org/macular/article/age-related-macular-facts-figures.
  18. Moorfields Eye Hospital, United Kingdom National Health Service Foundation Trust. RVO [Internet; cited October 2022]. Available from: https://www.moorfields.nhs.uk/condition/retinal-vein-occlusion.
  19. Schmidt-Erfurth U, et al. Guidelines for the Management of Retinal Vein Occlusion by the European Society of Retina Specialists (EURETINA). Ophthalmologica. 2019;242:123-162.
  20. Campochiaro P. Molecular pathogenesis of retinal and choroidal vascular diseases. Prog Retin Eye Res. 2015;49:67-81.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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