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2021年10月14日

エンスプリング、新たな4年データにおいて視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の再発抑制を維持

  • NMOSDの再発予防に対するエンスプリングの持続的な長期有効性を示す新たなデータ
  • エンスプリング投与患者の70%以上は、SAkuraStar試験(73%)およびSakuraSky試験(71%)において、非盲検継続投与4年後も再発なく、長期の安全性プロファイルを確認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社創製のpH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体エンスプリング®[一般名:サトラリズマブ(遺伝子組換え)]について、新たな長期有効性と安全性のデータを発表することをお知らせいたします。希少な中枢神経系疾患である視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:neuromyelitis optica spectrum disorder)で抗アクアポリン4抗体(AQP4-IgG)陽性患者において、エンスプリングは良好なリスク・ベネフィットプロファイルを有し、4年にわたる投与においても再発抑制効果が示されました。SAkuraStar試験およびSAkuraSky試験の非盲検継続投与期間(OLE)の有効性および安全性のデータは、第37回欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS)で発表されます。同じく、AQP4-IgG陽性NMOSD[未治療例またはリツキシマブ(またはそのバイオシミラー)治療に対する効果不十分例]に対する新たな試験SAkuraBONSAI試験のデザインについても発表の予定です。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「今回発表されたデータにより、IL-6のシグナルを阻害するエンスプリングの有効性と安全性が、長期にわたり持続することが示されました。NMOSDは生涯にわたり進行するため、再発予防が重要な疾患であり、その治療は数年におよぶことも珍しくありません。本データは、患者さんおよび医療関係者の方々に、より安心してエンスプリングによる治療を継続していただくうえで、重要なエビデンスを提供するものと考えています」と述べるとともに、「エンスプリングは、国内で2021年9月より自己投与が認められ、在宅での治療が可能となりました。エンスプリングの価値をより多くの方々にお役立ていただけるよう、引き続き本剤の適正使用の推進に努めてまいります」と語っています。

 ピボタルな第III相臨床試験であるSAkuraStar試験およびSAkuraSky試験の中央値4年間の投与データでは、エンスプリングを投与したAQP4-IgG陽性のNMOSD患者のうち、各試験でそれぞれ73%と71%が投与192週(3.7年)後も無再発を維持し、90%と91%が重度再発のない状態を維持しました。エンスプリングの単剤投与および免疫抑制剤との併用投与のいずれの試験においても、二重盲検期間に認められた有効性は、より長期間維持されることが示されました。
※回復が見込める可能性が低く、永続的な障害に至る再発

 また今回の結果により、上記2試験の二重盲検期間で確認された安全性プロファイルが、最長7年間の投与期間においても同様に確認されました。有害事象および重篤な有害事象について、全投与期間中のエンスプリング投与群の発現率は、二重盲検期間中のエンスプリング投与群とプラセボ投与群と同様でした。新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 ロシュ社は、さらなる研究が必要なNMOSD患者を対象に、画像診断、バイオマーカーおよび臨床評価を用いて疾患活動性および進行を評価するため、多施設共同国際共同第IIIb相臨床試験であるSAkuraBONSAI試験を開始します。AQP4-IgG陽性のNMOSD患者[未治療例またはリツキシマブ(またはバイオシミラー)治療に対する効果不十分例]に対し、エンスプリングを2年間単剤投与し、核磁気共鳴画像法(MRI:magnetic resonance imaging)、光干渉断層撮影法(OCT:optical coherence tomography)等の臨床的測定法、血液および脳脊髄液のバイオマーカーを用いて評価します。

エンスプリングについて
 エンスプリングは中外製薬が創製した、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体で、当社独自のリサイクリング抗体技術を適用した初めての薬剤です。視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)の主な原因であるサイトカインのIL-6のシグナルを阻害することで、NMOSDの再発の抑制が期待されます。視神経脊髄炎(NMO:Neuromyelitis Optica)およびNMOSDの患者さんを対象とした2つの第III相国際共同治験において、免疫抑制剤によるベースライン治療との併用投与および単剤投与でそれぞれ主要評価項目を達成しました。これらの2試験は希少疾患であるNMOSDに対して行われた最も大規模な臨床試験の一つです。エンスプリングはこれまでに日本、米国、欧州、カナダを含む58カ国で承認されています。

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)について1
 NMOSDは、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、永続的な神経障害により、生涯にわたって著しい生活の質の低下が生じます。NMOSDの患者さんは、症状を繰り返す再発経過をたどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積されます。症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下を伴う疼痛などが現れます。症状の発生が致死的な結果となる場合もあります。NMOSDの70~80%の患者さんでは、病原性の抗体である抗アクアポリン4抗体が検出されており、抗アクアポリン4抗体はアストロサイトと呼ばれる中枢神経に存在する細胞を標的とし、視神経や脊髄、脳の炎症性脱髄病変に繋がることが知られています2-5。炎症性サイトカインであるIL-6は、NMOSDの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります6-10

 上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典

  1. 視神経脊髄炎(NMOSD)Online. https://nmosd-online.jp/ Accessed Oct 2021.
  2. Jarius S, Ruprecht K, Wildemann B et al. Contrasting disease patterns in seropositive and seronegative neuromyelitis optica: A multicentre study of 175 patients. J Neuroinflammation 2012; 9:14.
  3. Lennon VA, Wingerchuk DM, Kryzer TJ et al. A serum autoantibody marker of neuromyelitis optica: distinction from multiple sclerosis. Lancet 2004; 364:2106-12.
  4. Marignier R, Bernard-Valnet R, Giraudon P et al. Aquaporin-4 antibody-negative neuromyelitis optica: Distinct assay sensitivity-dependent entity. Neurology 2013; 80:2194-200.
  5. Takahashi T, Fujihara K, Nakashima I et al. Anti-aquaporin-4 antibody is involved in the pathogenesis of NMO: a study on antibody titre. Brain 2007; 130:1235-43.
  6. Chihara N, Aranami T, Sato W et al. Interleukin 6 signaling promotes anti-aquaporin 4 autoantibody production from plasmablasts in neuromyelitis optica. Proc Natl Acad Sci USA 2011; 108:3701-6.
  7. Kimura A, Kishimoto T. IL-6: regulator of Treg/Th17 balance. Eur J Immunol 2010; 40:1830-5.
  8. Lin J, Li X, Xia J. Th17 cells in neuromyelitis optica spectrum disorder: a review. Int J Neurosci2016; 126:1051-60.
  9. Takeshita Y, Obermeier B, Cotleur AC, et al. Effects of neuromyelitis optica-IgG at the blood-brain barrier in vitro. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2016; 4(1):e311.
  10. Obermeier B, Daneman R, Ransohoff RM. Development, maintenance and disruption of the blood-brain barrier. Nat Med 2013; 19:1584-96.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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