中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。
2021年08月10日
ポライビーとR-CHPの併用療法、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象とした第III相臨床試験において標準治療と比較して有意な改善を20年ぶりに示す
News Summary
本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が8月9日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2021-08-09.htmをご覧ください。
- ポライビーとR-CHP療法との併用を標準治療であるR-CHOP療法と比較した主要な第III相POLARIX試験において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の一次治療として、主要評価項目である治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)の延長を達成
- DLBCL患者さんの40%が一次治療後に再発するか難治性である現状において、PFSの延長は、新たにDLBCLと診断された患者さんにとって転換点となりうる
- 本試験データは速やかに各国の規制当局に提出され、今後の医学系学会で発表される予定
ロシュ社は8月9日、ポライビー®(ポラツズマブ ベドチン)とR-CHP療法[リツキサン®(リツキシマブ)、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾロンの併用と、R-CHOP療法[リツキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾロン]を比較した主要な第III相POLARIX試験で、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL: diffuse large B-cell lymphoma)に対し、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS: progression-free survival)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示したことを発表しました。安全性については、これまでに実施された臨床試験で認められた結果と同様でした。
患者さんと医療関係者のニーズにあわせた新しい治療選択肢を提供しDLBCLの治療の変革を目指していくロシュ社のコミットメントの一環として、このPOLARIX試験の結果は今後の医学系学会で発表され、各国の規制当局に提出される予定です。ロシュ社は本試験に参加した全ての治験医師および学術団体パートナー、患者さんに感謝の意を表します。
POLARIX試験について
POLARIX(NCT03274492)は、未治療のDLBCL患者さんを対象に、ポライビーとR-CHP療法(リツキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾロン)の併用とR-CHOP療法(リツキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾロン)の有効性、安全性および薬物動態を評価したランダム化第III相二重盲検プラセボ対照試験です。879人の患者さんを1:1の比で2群にランダム割り付けしました。
・ ポライビー+R-CHP+ビンクリスチンのプラセボを6サイクル投与後、リツキサンを2サイクル投与する群
・ R-CHOP+ポライビーのプラセボを6サイクル投与後、リツキサンを2サイクル投与する群
主要評価項目は、Lugano Response Criteria for malignant lymphomaに基づく治験責任医師評価によるPFSです。POLARIX試験は、The Lymphoma Study Association(LYSA)およびThe Lymphoma Academic Research Organisation(LYSARC)共同で実施しています。
LYSAおよびLYSARCについて
The Lymphoma Study Association(LYSA)はリンパ腫研究を国際的にリードする協働グループです。新薬のヒトにおける最初の臨床試験から、参照すべき治療戦略の策定を目的とするものまで、幅広い臨床試験を実施しています。LYSAは、4カ国(フランス、ベルギー、ポルトガル、イスラエル)に分布する120以上のケアセンターとのネットワークを有し、多数の研究チームと国際的に協働しています。
Lymphoma Academic Research Organisation(LYSARC)は、LYSAの実行機関であり、リンパ腫に関する国際的臨床研究プロジェクトを実施しています。
ポライビー(ポラツズマブ べドチン)について
ポライビーは、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC: antibody-drug conjugate)です。CD79bタンパク質は、一部の種類の非ホジキンリンパ腫(NHL: non-hodgkin lymphoma)に影響を与える免疫細胞であるB細胞の大部分に特異的に発現しており、新たな治療法開発の有望なターゲットとなっています1,2)。 ポライビーは、がん細胞の細胞膜上に発現する CD79bに結合し、抗がん剤の送達によりこれらのB細胞を殺傷し、正常細胞への影響を抑えると考えられています3,4)。 ポライビーは、シアトルジェネティクス社のADC技術を用いてロシュ社により開発されており、現在、数種類のNHLの治療薬として検討されています。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)について
DLBCLはNHLの中で最も多い病型で、NHLの約3分の1を占めます5)。DLBCLは進行の速い中悪性度のNHLです6)。一般的にはフロントラインでの治療に反応する一方で、約40%の患者さんが再発するか、難治性となるものの、その場合の救援療法の選択肢は限られており、生存期間も短いとされています6)。世界では毎年約150,000人がDLBCLと診断されると推定されています7)。
救援療法:主に造血器腫瘍において、治療の効果が得られない場合(治療抵抗性)、あるいは再発・再燃した場合に用いる治療を、救援化学療法もしくは救援療法と呼びます。がんの種類によって治療内容は異なりますが、その多くは複数の薬(抗がん剤など)を組み合わせた治療となります。救済療法、サルベージ療法と呼ばれることもあります8)。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
[出典]
- Dornan D, et al. Therapeutic potential of an anti-CD79b antibody-drug conjugate, anti-CD79b-vc-MMAE, for the treatment of non-Hodgkin lymphoma. Blood 2009; 114:2721-2729
- Pfeifer M, et al. Anti-CD22 and anti-CD79B antibody drug conjugates are active in different molecular diffuse large B-cell lymphoma subtypes. Leukemia 2015; 29:1578-1586
- Ducry L, Stump B. Antibody-drug conjugates: linking cytotoxic payloads to monoclonal antibodies. Bioconjug Chem. 2010; 21:5-13
- ADC Review. What are antibody-drug conjugates? https://adcreview.com/adc-university/adcs-101/antibody-drug-conjugates-adcs/ [インターネット:2021年8月確認]
- World Health Organization Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. IARC Press; 2008.
- Maurer JM, et al. Event-free survival at 24 months is a robust end point for disease-related outcome in diffuse large B-cell lymphoma treated with immunochemotherapy. J Clin Oncol 2014;32:1066-73.
- Globocan 2020. World Fact Sheet. http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf [インターネット:2021年8月確認]
- 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「救援療法」https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/kyuenryoho.html [インターネット:2021年8月確認]
以上
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