中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2021年05月24日

テセントリク、特定の早期肺がんに対して無病生存期間の延長を示した主要な第III相臨床試験のデータをASCOにて発表

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が5月20日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2021-05-20.htmをご覧ください。

 ロシュ社は5月20日、第III相IMpower010試験の中間成績を発表し、腫瘍細胞でPD-L1が1%以上発現しているII期~IIIA期の非小細胞肺がん(NSCLC:non-small cell lung cancer)の手術および化学療法を実施した後のテセントリク®(アテゾリズマブ)による治療が、支持療法(BSC:best supportive care)と比較して、再発または死亡のリスク(無病生存期間、DFS:disease-free survival)を34%低下させたことを初めて示しました(ハザード比:0.66、95%信頼区間:0.50~0.88)。DFS(中央値)はBSC群の35.3カ月に対し、テセントリク群は未達でした。

 無作為化されたII期~IIIA期の全患者を対象とした、より広い集団の解析では、追跡期間(中央値)32.2カ月の時点で、テセントリク群は再発または死亡リスクを21%低下させました(ハザード比:0.79、95%信頼区間:0.64~0.96)1。この集団において、テセントリクはDFS(中央値)を7カ月延長しました(42.3カ月対35.3カ月:BSC群)1。テセントリクの安全性は、これまでに認められている安全性プロファイルと同様であり、新たな安全性上の懸念は示されませんでした。IMpower010試験の一連の試験成績は、2021年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会にて6月6日(日)(8:00~11:00、米国東部標準時)に開催される肺がんの口頭演題セッション(Abstract #8500)で発表予定です。

 IB期を含むITT(intent-to-treat)集団全体のDFSは解析時点では統計学的に優越性が検証されず、また全生存期間(OS:overall survival)についても中間解析時点では解析に必要なイベント数に達しなかったため、これらの評価項目については、計画されている次回の解析時までフォローアップが継続されます。無作為化された試験全体集団において、有害事象はテセントリク群で92.7%、BSC群で70.7%に認められました。グレード3または4の事象は、テセントリク群で21.8%、BSC群で11.5%でした。グレード5の事象は、テセントリク投与群で0.8%に認められました。また想定していた通り、化学療法後に最大1年間のテセントリクの投与により、BSC群と比較して有害事象の発現数が増加しました。

IMpower010試験について
 IMpower010試験は、UICC第7版で定義されるIB期~IIIA期の非小細胞肺がん(NSCLC)で、手術後に最大4サイクルのシスプラチンを含む補助化学療法を受けた患者さんを対象に、支持療法(BSC)と比較してテセントリクの有効性と安全性を評価する多施設共同非盲検無作為化グローバル第III相臨床試験です。本試験では、1,005名の患者さんをテセントリク群(最大16サイクル投与)とBSC群に1:1で割り付けました。主要評価項目は、II~IIIA期のPD-L1陽性集団、II~IIIA期の全集団およびIB~IIIA期のITT集団それぞれにおける主治医判定による無病生存期間(DFS)です。主要な副次評価項目には、IB~IIIA期のITT集団全体における全生存期間(OS)が含まれています。

有効性の成績

PD-L1 ≥1%のII~IIIA期無作為化されたII~IIIA期ITT
テセントリク群
(n=248)
BSC群
(n=228)
テセントリク群
(n=442)
BSC群
(n=440)
テセントリク群
(n=507)
BSC群
(n=498)
DFS(中央値、月) 未達 35.3 42.3 35.3 未達 37.2
層別ハザード比
(95%信頼区間)
0.66(0.50~0.88) 0.79(0.64~0.96) 0.81(0.67~0.99)
層別log-rank P値
(両側)
0.004 0.02 0.04

*閾値に到達せず

安全性の成績

テセントリク群BSC群
全有害事象 92.7% 70.7%
グレード3または4の有害事象 21.8% 11.5%
治療関連のグレード5の有害事象 0.8% 該当せず
治療中止に至った有害事象 18.2% 該当せず

非小細胞肺がんについて
 日本人における肺がんの年間罹患者数は130,000人(男性86,800人、女性 43,100人、2020年予測値)と推計されています。また国内の死亡者数は75,600人(男性53,200人、女性22,300人、2020年予測値)であり、がんにともなう死亡原因の第1位となっています2。肺がんは組織型により小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大別され、非小細胞肺がんは最も患者数が多く、全肺がんの約85%を占めます3

テセントリクの国内承認状況について
 2018年4月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として販売を開始し、同年12月に「化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する用法・用量の追加について承認を取得しています。また、2019年8月に「進展型小細胞肺癌」、同年9月に「PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」、同年11月に「化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する用法・用量の追加、2020年9月に「切除不能な肝細胞癌」に対する承認、同年12月に「化学療法未治療のPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する用法・用量の追加に対する承認を取得しました。

参考情報
 テセントリクの国内開発は中外製薬が実施しており、日本からもIMpower010試験に参加しています。

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典

  1. Wakelee HA, et al. IMpower010: Primary results of a Phase III global study of atezolizumab versus best supportive care after adjuvant chemotherapy in resected Stage IB-IIIA non-small cell lung cancer (NSCLC)
  2. 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html. アクセス日:2021年5月
  3. American Cancer Society: What Is Lung Cancer? https://www.cancer.org/cancer/lung-cancer/about/what-is.html. アクセス日:2021年5月

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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