中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。
2018年12月19日
ROS1/TRK阻害剤「エヌトレクチニブ」のNTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対する製造販売承認申請について
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:小坂 達朗)は、NTRK融合遺伝子陽性の固形がんを対象として開発中のROS1/TRK阻害剤エヌトレクチニブの製造販売承認申請を本日、厚生労働省に行いましたのでお知らせいたします。なお、エヌトレクチニブは先駆け審査指定制度対象品目、希少疾病用医薬品の指定を厚生労働省より受けております。
上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康は、「エヌトレクチニブは当社初の先駆け審査指定品目であり、非常に稀に存在するNTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対する国際共同試験において、がん種を問わず有効性を示すことが報告されています」と述べるとともに、「エヌトレクチニブと次世代シーケンサーを用いた遺伝子診断を組み合わせ、個々の遺伝子変異に応じて最適な治療を提供するという新たな個別化医療の進展に貢献できるよう、承認取得に向け取り組んでまいります」と語っています。
今回の承認申請は、オープンラベル多施設国際共同第II相臨床試験(STARTRK-2試験)および海外で実施した三つの第I相臨床試験(STARTRK-NG試験、STARTRK-1試験、ALKA-372-001試験)の統合解析結果に基づいています。有効性評価は、NTRK融合遺伝子陽性の固形がんの患者さん54名を対象として行い、安全性評価はこれら四つの試験に登録された355名で行いました。
【参考情報】
- ロシュ社が開発中のentrectinibはNTRK融合遺伝子陽性の固形がん患者さんにおいて腫瘍縮小効果を示した(2018年10月22日 当社発表)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20181022160001_776.html - Roche’s investigational personalised medicine entrectinib shrank tumours in people with NTRK fusion-positive solid tumours(2018年10月21日 ロシュ社発表)
https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2018-10-21.htm
なお、エヌトレクチニブは前治療後に疾患が進行または許容可能な標準治療がないNTRK融合遺伝子陽性の局所進行または遠隔転移を有する成人および小児固形がんに対し、2017年5月に米国食品医薬品局(FDA)より画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に、同年10月に欧州医薬品庁(EMA)よりPRIME(PRIority MEdicines)にも指定されています。
オンコロジー領域の国内トップ企業である中外製薬は、新たな治療選択肢となるエヌトレクチニブを患者さんおよび医療従事者に早期に提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります。
エヌトレクチニブについて
エヌトレクチニブは、ROS1融合遺伝子陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がん、またはNTRK1/2/3融合遺伝子陽性の局所進行または転移性固形がんを対象とした臨床開発中の薬剤です。エヌトレクチニブは、ROS1(c-rosがん遺伝子1)およびTRK(神経栄養因子受容体)ファミリーを強力かつ選択的に阻害する経口投与可能なチロシンキナーゼ阻害剤であり、脳転移巣への作用も期待されています。エヌトレクチニブは、ROS1およびTRKキナーゼ活性を阻害することにより、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制します。エヌトレクチニブは、乳がん、胆管がん、結腸直腸がん、婦人科がん、神経内分泌腫瘍、非小細胞肺がん、唾液腺がん、膵がん、肉腫、および甲状腺がんを含む広範囲の固形がんを対象に臨床試験が行われています。
NTRK融合遺伝子陽性がんについて
NTRK融合遺伝子とは、NTRK遺伝子(NTRK1、NTRK2、NTRK3、それぞれTRKA、TRKB、TRKCタンパク質をコードする)と他の遺伝子(ETV6、LMNA、TPM3など)とが染色体転座の結果、融合してできる異常な遺伝子です。NTRK融合遺伝子から作られる融合TRKにより、がん細胞の増殖が促進されると考えられています。NTRK融合遺伝子の発生は非常に稀ではありますが、成人や小児の様々な固形がんや肉腫等[虫垂がん、乳がん、胆管がん、大腸がん、消化管間質腫瘍(GIST)、乳児型線維肉腫、肺がん、唾液腺の乳腺相似分泌がん、悪性黒色腫、膵臓がん、甲状腺がん等]で確認されています。
以上
本件に関するお問い合わせ先:
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- mailto: ir@chugai-pharm.co.jp