中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2018年12月06日

テセントリク®およびエヌトレクチニブが希少疾病用医薬品に指定

-それぞれ「小細胞肺癌」「NTRK融合遺伝子陽性の固形がん」に対する治療薬として-

 中外製薬株式会社[本社:東京、代表取締役社長 CEO:小坂 達朗](以下、中外製薬)は、抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク®点滴静注1200mg」[一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)](以下、テセントリク)および開発中のROS1/TRK阻害剤エヌトレクチニブが、それぞれ「小細胞肺癌」「NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形がん」を対象に、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けましたことをお知らせいたします。

 上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康は、「小細胞肺がんは進行が早く予後不良な、アンメットニーズの高い疾患です。テセントリクは免疫チェックポイント阻害剤として初めて1次治療に対する有効性が確認されており、新しい治療選択肢として治療に貢献できることが期待されています」と述べるとともに、「またエヌトレクチニブはNTRK融合遺伝子を有する固形がんに対して、がん種を問わず効果を示しており、次世代シーケンサーを用いた遺伝子診断と組み合わせることにより、新しい個別化医療の実現を目指しています」と語っています。

 テセントリクでは、国内で小細胞肺がんを対象とする国際共同第III相臨床試験(IMpower133試験)を含め、肺がんを対象に7本の臨床試験を実施中であり、他のがん種では12本の臨床試験を実施しています。エヌトレクチニブでは国内で国際共同第II相臨床試験(STARTRK-2試験)を実施しています。

【参考情報】

テセントリク®と化学療法の併用による一次治療は化学療法単独に比べ、進展型小細胞肺がん患者さんの生存期間の延長を示す(2018年10月25日発表プレスリリース)

https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20181025150000_778.html

ロシュ社が開発中のentrectinibはNTRK融合遺伝子陽性の固形がん患者さんにおいて腫瘍縮小効果を示した(2018年10月22日発表プレスリリース)

https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20181022160001_776.html

小細胞肺がんについて

 日本人における肺がんの年間罹患者数は114,550人(男性77,617人、女性36,933人、2014年予測値)と推計されています。また国内の死亡者数は73,838人(男性52,430人、女性21,408人、2016年予測値)であり、がんにともなう死亡原因の第1位となっています。肺がんは組織型により小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大別され、小細胞肺がんは全肺がんの約10~15%を占めます。小細胞肺がんは腫瘍の増殖能が高く、早期に広範な転移が生じることを特徴としています。

NTRK融合遺伝子陽性がんについて

 NTRK融合遺伝子とは、NTRK遺伝子(NTRK1NTRK2NTRK3、それぞれTRKA、TRKB、TRKCタンパク質をコードする)と他の遺伝子(ETV6LMNATPM3など)とが染色体転座の結果、融合してできる異常な遺伝子です。NTRK融合遺伝子から作られるTRK融合キナーゼにより、がん細胞の増殖が促進されると考えられています。NTRK融合遺伝子の発生は非常に稀ではありますが、成人や小児の様々な固形がんや肉腫等[虫垂がん、乳がん、胆管がん、大腸がん、消化管間質腫瘍(GIST)、乳児型線維肉腫、肺がん、唾液腺の乳腺相似分泌がん、悪性黒色腫、膵臓がん、甲状腺がん等]で確認されています。

希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)について

 医薬品医療機器等法に基づき厚生労働大臣から希少疾病用医薬品として指定を受け、優先的に審査される医薬品です。指定には、当該医薬品の用途に係る対象者数が本邦において5万人未満であること、重篤な疾病を対象とするとともに、代替する適切な医薬品または治療法がない、又は、既存の医薬品と比較して著しく高い有効性または安全性が期待される等、医療上の必要性が高いこと、対象疾病に対して当該医薬品を使用する理論的根拠があるとともに、その開発に係る計画が妥当であると認められることが必要とされています。

出典

  • 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」 from: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html. Accessed December 2018.
  • Govindan R, Page N, Morgensztern D, Read W, Tierney R, Vlahiotis A, et al. Changing epidemiology of small cell lung cancer in the United States over the last 30 years: analysis of the surveillance, epidemiologic, and end results database. J Clin Oncol. 2006 Oct 1;24:4539-44.
  • 日本臨床腫瘍学会/編 新臨床腫瘍学 改訂第5版:(南江堂)
  • Eilas DA. Small cell lung cancer: state-of-the-art therapy in 1996. Chest. 1997 Oct; 112: 251S-258S
  • Cocco E, Scaltriti M, Drilon A. NTRK fusion-positive cancers and TRK inhibitor therapy. Nat Rev Clin Oncol. 2018 Oct 17. doi: 10.1038/s41571-018-0113-0. [Epub ahead of print]

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
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