2017年12月21日

ALK阻害剤「アレセンサ®
ALK陽性非小細胞肺癌への一次治療として米国に続き欧州でも承認

-日米欧の3極で進行肺癌での使用が可能に-

中外製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、F. ホフマン・ラ・ロシュ社(本社:スイスバーゼル市、CEO:セヴリン・シュヴァン)がアレセンサ®に関して、欧州委員会より「成人のALK陽性の進行非小細胞肺癌(NSCLC)へのアレセンサ単剤での一次治療」について承認を取得したことをお知らせいたします。アレセンサは、2017年2月に「クリゾチニブに不応または不耐容のALK陽性の転移性(進行)NSCLC」として条件付き承認を取得していましたが、今回の一次治療での承認と合わせて二次治療についても完全承認となりました。

上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「2017年11月の米国での一次治療への承認に続き、今回、欧州でも一次治療に対して承認されたことは、中外製薬にとって大きな喜びです。ALK陽性の進行NSCLC患者さんにおいて、早期からアレセンサによる治療を受けることで予後の改善が期待できます」と述べるとともに、「日本で実施したJ-ALEX(JapicCTI-132316)試験に加え、海外で実施されたALEX試験(NCT02075840)の成績は患者さんに福音をもたらすことを示しました。アレセンサは、世界の多くの患者さんの治療に貢献できる薬剤になることを確信しています」と語っています。

今回の追加承認は、第III相国際共同治験であるALEX試験(NCT02075840)の成績に基づいています。
ALEX試験(NCT02075840)は、一次治療におけるアレセンサとクリゾチニブの有効性および安全性を比較した第III相臨床試験です。有効性については、治験参加医師判定で、クリゾチニブ投与群に対しアレセンサ投与群では、病勢進行または死亡リスクが53%低下しました(HR=0.47、95%CI:0.34-0.65、層別log-rank検定、p<0.001)。無増悪生存期間中央値は、独立評価委員会判定で、アレセンサ投与群では25.7カ月(95%CI:19.9-未到達)、クリゾチニブ投与群では10.4カ月(95%CI:7.7-14.6)でした。安全性については両群とも、これまでの報告と同様であり、新たな所見は認められませんでした。
また、中枢神経への転移および中枢神経病変の増悪は、クリゾチニブ投与群に対しアレセンサ投与群で84%低下しました(HR=0.16、95%CI:0.10-0.28、層別log-rank検定、p<0.001)。これは、中枢神経病変の病勢進行までの期間の解析に基づいています。中枢神経系で最初の病勢進行が認められた患者さんは、アレセンサ投与群で12%、クリゾチニブ投与群では45%でした。

アレセンサについて
アレセンサは、中外製薬が創製したALK選択性の高い経口ALK阻害剤です。非小細胞肺癌の約5%でALK融合遺伝子の発現が報告されています1)。この融合遺伝子が発現している細胞は恒常的にALKチロシンキナーゼ活性が上昇しており細胞増殖が制御されず、細胞が腫瘍化していると考えられています2, 3)。アレセンサは、このチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害することにより腫瘍細胞の増殖を阻害し、細胞死を誘導することで抗腫瘍効果を発揮します4)。さらに、アレセンサは、薬剤を脳から能動的に排出するポンプである血液脳関門で認識されません。このため、アレセンサは中枢神経系においても活性があり、脳転移に対しても有効性が確認されています。

海外では、アレセンサは米国、欧州、クウェート、イスラエル、香港、カナダ、韓国、スイス、インド、オーストラリア、シンガポール、台湾、タイ、リヒテンシュタイン、アルゼンチン、アラブ首長国連邦、サウジアラビアおよびトルコにて、「クリゾチニブに不応または不耐容のALK陽性の転移性(進行)非小細胞肺癌」を効能・効果とした承認を取得しています。あわせて、米国、欧州およびトルコでは、「ALK陽性の進行非小細胞肺癌(一次治療)」についても承認されています。

国内での効能・効果は「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」であり、販売名「アレセンサ®カプセル150mg」として、中外製薬が販売しています。なお、日本国内の用法・用量は、「通常、成人にはアレクチニブとして1回300mgを1日2回経口投与する」です。

1) 日本肺癌学会バイオマーカー委員会. 肺癌患者におけるALK遺伝子検査の手引き
2) Soda et al., Nature. 448: 561-566 (2007)
3) Takeuchi et al., Clin Cancer Res. 15: 3143-3149 (2009)
4) Sakamoto et al., Cancer Cell. 19: 679-690 (2011)

注:ALEX試験は、アレクチニブとして1回600mgを1日2回経口投与で行われており、国内用法・用量とは異なっております。

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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