2017年11月21日

免疫チェックポイント阻害剤「アテゾリズマブ」、
非小細胞肺癌患者さんを対象としたIMpower150試験において
化学療法と比較し無増悪生存期間を有意に延長

中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、改変型抗PD-L1モノクローナル抗体「アテゾリズマブ」に関し、化学療法未施行のステージIV非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんを対象とした第III相臨床試験であるIMpower150試験において、アテゾリズマブ併用レジメン群(アテゾリズマブおよびカルボプラチン、パクリタキセル、ベバシズマブ併用)が化学療法併用レジメン群(カルボプラチンおよびパクリタキセル、ベバシズマブ併用)と比較し、主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に延長したことをお知らせいたします。もう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)については、十分なイベント数に達していないものの期待が持てる結果であり、2018年の上期に次の解析結果が判明する予定です。また、アテゾリズマブ併用レジメン群の安全性プロファイルはこれまでに各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、当該併用レジメンにおける新たな安全性の懸念は認められませんでした。本試験の結果は、本年12月にスイス・ジュネーブで開催される欧州臨床腫瘍学会 腫瘍免疫学シンポジウム(ESMO Immuno Oncology)にて発表される予定です。

上席執行役員 プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「肺癌は日本人において3番目に多い癌種1)であり、とりわけステージの進行した非扁平上皮NSCLCに対するアンメットメディカルニーズは未だ満たされていません。本試験において、化学療法と比較し、アテゾリズマブ併用によるPFSの優位性が確認できたことは非常に喜ばしいことです」と述べるとともに、「本試験では今後の解析において、OSの延長について検証する予定です。生存期間の延長を示すことで、癌患者さんへのさらなるベネフィットを示す薬剤となる結果を待ち望んでいます」と語っています。

IMpower150試験について
化学療法未施行のステージIV非扁平上皮NSCLC患者さんを対象に、アテゾリズマブの化学療法との併用レジメンにおける有効性と安全性を化学療法併用レジメンと比較検討した、オープンラベルランダム化多施設共同第III相臨床試験です。

  • 主要評価項目は、ALK又はEGFRの遺伝子変異患者を除くITT(Intent to treat)解析集団ならびにT細胞活性調整因子(Teff)の遺伝子発現により層別化した集団におけるPFSおよびITT解析集団のOSです。今回の解析は、B群対C群でのみ統計学的な比較を行っています。
  • 本試験の試験デザイン
    1,202名の患者さんを以下のA~C群に1:1:1の割合でランダム化し、各群の投与レジメンに従い3週に1回間隔で薬剤を投与しました。なお、アテゾリズマブによる治療は、患者さんが臨床的ベネフィットを享受していると治験担当医師が評価している限り、または許容不能な有害事象が認められるまで継続されました。
    A群 アテゾリズマブ(1,200mg静注)+カルボプラチン(AUC 6)+パクリタキセル(200mg/m2静注)
    B群 アテゾリズマブ(1,200mg静注)+カルボプラチン(AUC 6)+パクリタキセル(200mg/m2静注)+ベバシズマブ(15mg/kg静注)
    C群 カルボプラチン(AUC 6)+パクリタキセル(200mg/m2静注)+ベバシズマブ(15mg/kg静注)

アテゾリズマブについて
アテゾリズマブは、腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に発現するPD-L1(programmed death ligand-1)と呼ばれるタンパク質を標的としたモノクローナル抗体です。PD-L1は、T細胞の表面上に見られるPD-1、B7.1の双方と結合しT細胞の働きを阻害します。アテゾリズマブはこの結合を阻害することで、T細胞の抑制状態を解除させ、そのT細胞が腫瘍細胞を攻撃することを促進させると考えられています。
アテゾリズマブ(海外販売名:TECENTRIQ®)は、PD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害剤です。米国においては、2016年5月に局所進行または転移性尿路上皮癌の二次治療に対して迅速承認、同年10月に白金製剤ベースの化学療法施行中または施行後に病勢が進行した転移性非小細胞肺癌に対して、承認されています。また、本年4月にシスプラチンベースの化学療法が不適格な局所進行または転移性尿路上皮癌の一次治療に対しても、迅速承認されています。欧州においては本年9月に局所進行または転移性尿路上皮癌の二次治療及び白金製剤ベースの化学療法施行中または施行後に病勢が進行した転移性非小細胞肺癌、シスプラチンベースの化学療法が不適格な局所進行または転移性尿路上皮癌の一次治療に対して承認を取得しています。国内では本年2月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌について、厚生労働省に承認申請を行っています。

1)国立がん研究センターがん対策情報センター.2015年のがん統計予測(http://ganjoho.jp/

以上

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本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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