2017年06月06日

アレセンサ®の第III相国際共同試験結果を米国臨床腫瘍学会で発表

-クリゾチニブと比較しPFSを延長させ、脳転移例でも病勢進行・死亡リスクを減少-

中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者さんを対象としてF. ホフマン・ラ・ロシュ社(本社:スイス バーゼル市、CEO:セヴリン・シュヴァン)が実施したアレセンサ®の第III相国際共同試験であるALEX試験の成績が、米国シカゴにて開催されている米国臨床腫瘍学会年次総会(The American Society of Clinical Oncology:ASCO)にて発表されることをお知らせいたします。発表はlate breaking演題として、6月6日(火)12:09-12:21(現地時間)のoral abstract sessionsで行われます。

演題番号LBA9008
Alectinib versus crizotinib in treatment-naive advanced ALK-positive non-small cell lung cancer (NSCLC): Primary results of the global phase III ALEX study.

上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「一次治療におけるアレセンサとクリゾチニブの有効性・安全性を直接比較したALEX試験において、アレセンサ投与による無増悪生存期間(PFS)の有意な延長に加え、脳転移病変の病勢進行または出現リスクが84%低下したこと、および忍容性が確認されたことは、患者さんの闘う勇気を後押しするものです」と述べるとともに、「アレセンサは国内のみでなく今後は海外でも、多くのALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者さんの治療に貢献するでしょう」と語っています。

ALEX試験は、一次治療におけるアレセンサとクリゾチニブの有効性および安全性を比較する国際共同第III相非盲検ランダム化比較試験です。ALEX試験には303名の未治療のALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者さんが登録され、アレセンサ投与群とクリゾチニブ投与群の2群に1:1で割付けられました。ALEX試験の主要評価項目は治験参加医師判定による無増悪生存期間、副次的評価項目は独立効果判定委員会判定による無増悪生存期間および中枢神経病変の病勢進行までの期間、奏効率、全生存期間、安全性等でした。

ALEX試験成績の概要

有効性

・治験参加医師判定では、クリゾチニブ投与群に対しアレセンサ投与群では、病勢進行または死亡リスクが53%低下しました(HR=0.47、95%CI: 0.34-0.65、層別log-rank検定、p<0.0001)。無増悪生存期間中央値は、アレセンサ投与群では最初のデータカットオフ日の段階では中央値に到達せず(95%CI: 17.7-未到達)、クリゾチニブ投与群では11.1カ月(95%CI: 9.1-13.1)でした。

・独立効果判定委員会判定では、クリゾチニブ投与群に対しアレセンサ投与群で病勢進行または死亡リスクが50%低下しました(HR=0.50、95%CI: 0.36-0.70)。無増悪生存期間中央値は、アレセンサ投与群では25.7カ月(95%CI: 19.9-未到達)、クリゾチニブ投与群では10.4カ月(95%CI: 7.7-14.6)でした。

・中枢神経病変の病勢進行リスクは、クリゾチニブ投与群に対しアレセンサ投与群で84%低下しました(HR=0.16、95%CI: 0.10-0.28)。

・全生存期間については、イベントの出現が1/4に留まっており、現時点では評価不十分です。

安全性

・グレード3-5の有害事象はアレセンサ投与群で41%、クリゾチニブ投与群で50%に発現しました。

・いずれの群でも安全性プロファイル上、新たな所見は認められませんでした。

アレセンサについて

アレセンサは、中外製薬が創製したALK選択性の高い経口ALK阻害剤です。非小細胞肺癌の約5%でALK融合遺伝子の発現が報告されています1)。この融合遺伝子が発現している細胞は恒常的にALKチロシンキナーゼ活性が上昇しており細胞増殖が制御されず、細胞が腫瘍化していると考えられています2, 3)。アレセンサは、このチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害することにより腫瘍細胞の増殖を阻害し、細胞死を誘導することで抗腫瘍効果を発揮します4)。さらに、アレセンサは、薬剤を脳から能動的に排出するポンプである血液脳関門で認識されません。このため、アレセンサは中枢神経系においても活性があり、脳転移に対しても有効性が確認されています。

現在、アレセンサは米国、クウェート、イスラエル、香港、カナダ、韓国、スイス、インド、欧州、オーストラリア、台湾およびシンガポールにて、「クリゾチニブに不応または不耐容のALK陽性の転移性(進行)非小細胞肺癌」を効能・効果とした承認を取得しています。国内では「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果、販売名「アレセンサ®カプセル150mg」として、中外製薬が販売しています。

日本国内の用法・用量は、「通常、成人にはアレクチニブとして1回300mgを1日2回経口投与する」です。

1) 日本肺癌学会バイオマーカー委員会. 肺癌患者におけるALK遺伝子検査の手引き
2) Soda et al., Nature. 448: 561-566 (2007)
3) Takeuchi et al., Clin Cancer Res. 15: 3143-3149 (2009)
4) Sakamoto et al., Cancer Cell. 19: 679-690 (2011)

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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