2017年02月21日

ALK阻害剤「アレセンサ®」が欧州で承認を取得

-日米欧の3極で使用が可能に-

中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治]は、F. ホフマン・ラ・ロシュ社(本社:スイス バーゼル市、CEO:セヴリン・シュヴァン)がALK阻害剤「アレセンサ®」について欧州委員会(European Commission:EC)より、「クリゾチニブに不応または不耐容のALK陽性の進行非小細胞肺癌」に対し条件付き承認を取得したことをお知らせいたします。

上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「中外製薬が創製したアレセンサは、2014年7月に世界に先駆けて日本で承認されました。このたびのECによるアレセンサの承認により、本疾患を罹患しているEU各国の患者さんにも希望をもっていただけると確信しています」と述べるとともに、「我々は、各国でアレセンサがALK陽性NSCLCの治療に貢献できることに大きな喜びを感じています」と語っています。

欧州承認の基となった第I/II相臨床試験の概要は以下のとおりです。

・NP28761試験は、クリゾチニブ投与後に病勢進行が認められたALK陽性NSCLC患者さん87名を対象とし、アレセンサの有効性と安全性を検討する北米で実施されたシングルアームオープンラベル多施設共同第I/II相臨床試験です(2014年10月24日:データカットオフ)。

・NP28673試験は、クリゾチニブ投与後に病勢進行が認められたALK陽性NSCLC患者さん138名を対象とし、アレセンサの有効性と安全性を検討したグローバルで実施されたシングルアームオープンラベル多施設共同第I/II相臨床試験です[2014年8月18日:主治医評価、安全性のデータカットオフ、2015年1月8日:独立評価委員会(IRC)の最新のデータカットオフ]。

・いずれの試験も、患者さんはアレセンサを1回600mg 1日2回、経口投与されました。また、主要評価項目はIRC判定による奏効率(ORR)でした(RECIST基準)。主な副次的評価項目は、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性でした。

・有効性のパラメーター

  NP28761試験(N=87) NP28673試験(N=138)
IRC判定 治験参加医師判定 IRC判定 治験参加医師判定
ORR(%)
(95%信頼区間)
52.2
(39.7-64.6)
52.9
(41.9-63.7)
50.8
(41.6-60.0)
51.4
(42.8-60.0)
DOR中央値(月)
(95%信頼区間)
14.9
(6.9-NE)
15.2
(11.2-24.9)
PFS中央値(月)
(95%信頼区間)
8.0
(6.3-12.6)
8.9
(5.6-12.8)

・アレセンサの安全性プロファイルは、これまでに行われた臨床試験の成績と一致していました。

・一般的なGrade 3以上の有害事象は血中CPK上昇8%、ALT上昇6%、AST上昇5%、呼吸困難3%でした。

アレセンサは、中外製薬が創製したALK選択性が高い経口のALK阻害剤です。NSCLCの約5%でALK融合遺伝子の発現が報告されています1)。この融合遺伝子が発現している細胞は恒常的にALKチロシンキナーゼ活性が上昇しており細胞増殖が制御されず、細胞が腫瘍化していると考えられています2, 3)。アレセンサは、このチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害することにより腫瘍細胞の増殖を阻害し、細胞死を誘導することで抗腫瘍効果を発揮します4)。さらに、アレセンサは、薬剤を脳から能動的に排出するポンプである血液脳関門で認識されません。このため、アレセンサは中枢神経系において活性があり、脳転移に対しても有効性が確認されています。

中外製薬は、欧米をはじめとした海外でのアレセンサに関する権利をロシュ社に導出しています。現在、アレセンサは米国、クウェート、イスラエル、香港、カナダ、韓国、スイス、インド、および欧州にて「クリゾチニブに不応または不耐容のALK陽性の進行(転移性)非小細胞肺癌」を効能・効果とした承認を取得しています。

国内では「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果、販売名「アレセンサ®カプセル150mg」として、中外製薬が販売しています。

1) 日本肺癌学会バイオマーカー委員会. 肺癌患者におけるALK遺伝子検査の手引き
2) Soda et al., Nature. 448: 561-566 (2007)
3) Takeuchi et al., Clin Cancer Res. 15: 3143-3149 (2009)
4) Sakamoto et al., Cancer Cell. 19: 679-690 (2011)

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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