2017年02月17日

免疫チェックポイント阻害剤「アテゾリズマブ」の製造販売承認申請について

-「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する抗PD-L1抗体として初の国内申請-

中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治]は、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を対象として開発を進めておりました改変型抗PD-L1モノクローナル抗体「アテゾリズマブ(遺伝子組換え)」(一般名)の製造販売承認申請を本日、厚生労働省に行いましたのでお知らせいたします。

上席執行役員 プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「癌免疫療法は、世界中で癌治療の新たな潮流となっています」と述べるとともに、「免疫チェックポイント阻害剤のアテゾリズマブは、肺癌の治療薬で唯一の抗PD-L1抗体として米国で承認されています。私たちは国内でも本剤をいち早くお届けし、より良い治療の実現に貢献できるよう尽力してまいります」と語っています。

今回の申請は、国際共同第III相臨床試験(OAK試験)等の成績に基づいています。

OAK試験は、プラチナ製剤併用化学療法の施行中または施行後に増悪した局所進行または転移性非小細胞肺癌患者さんを対象にアテゾリズマブの有効性と安全性をドセタキセルと比較したオープンラベルランダム化多施設共同国際第III相臨床試験です。主解析は最初に登録された850名の患者さんで実施し、全生存期間(OS)を主要評価項目としました。

その結果、PD-L1の発現状況に関わらず、アテゾリズマブ群のOS中央値は13.8カ月(95%信頼区間:11.8-15.7カ月)、ドセタキセル群のOS中央値は9.6カ月(95%信頼区間:8.6-11.2カ月)であり、アテゾリズマブ群で統計学的に有意なOS延長が認められました[ハザード比:0.73(95%信頼区間:0.62-0.87)、P=0.0003(層別log-rank検定)]。

安全性については、OAK試験において両群で発現した有害事象はこれまでに報告されたものと同様でした。アテゾリズマブ群でドセタキセル群に比べ多く発現した有害事象は、筋骨格痛(10.5%対4.3%)、そう痒症(8.2%対3.1%)でした。

OAK試験の成績の詳細は、2016年10月13日のプレスリリースをご参照ください。
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20161013150000_156.html

日本では、2015年の肺癌の予測年間罹患者数は約134,000人(男性91,000人、女性43,000人)と推計されています。また、国内の年間死亡者数は約77,000人(男性55,000人、女性22,000人、2015年予測値)であり、癌にともなう死亡原因の第1位となっています*。

オンコロジー領域のトップ製薬企業である中外製薬は、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の患者さんおよび医療従事者に新たな治療選択肢となるアテゾリズマブを早期に提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります。

* 国立がん研究センターがん対策情報センター.2015年のがん統計予測(http://ganjoho.jp/

以上

アテゾリズマブについて
アテゾリズマブは、腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に発現するPD-L1(programmed death ligand-1)と呼ばれるタンパク質を標的としたモノクローナル抗体です。PD-L1は、T細胞の表面上に見られるPD-1、B7.1の双方と結合しT細胞の働きを阻害します。アテゾリズマブはこの結合を阻害することによりT細胞が活性化され、腫瘍細胞を効率的に検出し攻撃します。
アテゾリズマブ(海外販売名:Tecentriq®)は、米国食品医薬品局が承認したPD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害剤で、2016年5月に局所進行または転移性尿路上皮癌の二次治療、同年10月に白金製剤ベースの化学療法施行中または施行後に病勢が進行した転移性非小細胞肺癌に対する承認を取得しています。また、本年1月にシスプラチンによる化学療法が不適格な局所進行または転移性尿路上皮癌の一次治療に対し、優先審査品目に指定されています。

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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