がん子宮けいがんってどんな病気?
監修:横浜市立大学医学部産婦人科学教室
教授 宮城 悦子 先生
教授 宮城 悦子 先生
がんとは、いろいろな臓器(ぞうき)におこる、命に関わる悪性の病気です。
子宮けいがんは、子宮けい部(子宮*の出口の近く)にできるがん。ほとんどの子宮けいがんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染(かんせん)が原因で発症する。HPV感染の予防にはワクチンがある。また、検診(けんしん)でがんが進行する前に見つけることができる。
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子宮の出口の近くにできるがん
子宮けいがんは、女性の子宮の出口の近くにできるがん。子宮は、おなかの中で赤ちゃんが育つところ。
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30~40代の女性が最も多い
- 子宮けいがんはほかのがんに比べて患者(かんじゃ)さんがわかい。
- 20代後半から患者さんが増え始め、30代以降(いこう)が多い。
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2クラスに1人くらいの割合
約75人に1人が一生のうちに子宮けいがんになる。これは、1クラス約35人の女子クラスとして考えると、2クラスに1人くらいの割合(わりあい)でがんになる人がいるということ。
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原因は、HPVの感染
- HPV(ヒトパピローマウイルス)は200種類以上のタイプがある。
- ほとんどの子宮けいがんは、がんになりやすいタイプのHPVの感染が長く続くことでおこる。
- HPVに感染しても、多くのウイルスは検査で見つからなくなるが、子宮けい部の細胞(さいぼう)にとどまることがある。ずっとウイルスがとどまり続けると、数年~数十年後にがんになることがある。
- タバコは、ウイルスがとどまり続ける原因のひとつ。
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20歳になったら検診を受ける
- 検診は、がんになる前の異常(いじょう)を見つけることができる。がんが進行する前に見つかれば、治る可能性が高まり、将来(しょうらい)赤ちゃんを産むことができる。
- 進行した子宮けいがんは、手術、くすりや放射線(ほうしゃせん)により治療(ちりょう)するが、赤ちゃんが産めなくなることもある。生理以外の出血やおりものの異常、おなかのいたみなどがあったら、保険証を持って産婦人科に行く必要がある。
- 日本では、子宮けいがん検診を20歳(さい)から受けることがすすめられている。
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HPV感染を予防できる
- がんになりやすいタイプのHPVの感染を予防するワクチンがある。
- 国は、小学校6年生から高校1年生の女子にワクチン接種をすすめている(無料)。
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは?
HPVは200種類以上のあるありふれたウイルスで、男性も女性も多くの大人が一生に一度は感染する。HPVの中には、がんの原因になりやすいタイプがある。HPVのタイプによって、がんの原因になったり、皮ふや性器に様々な形のイボをつくったりする。
産婦人科医 宮城先生からのメッセージ
日本では海外に比べてワクチンを受けている女子がとても少ないので、将来(しょうらい)、子宮けいがんの患者さんが減らないのではないかと、とても心配しています。ワクチンの重要性を知って、接種してほしいと思います。
お母さんには「ちゃんと検診に行っている?」と聞いてくださいね。自分も大人になったら、ワクチンを受けていても、ちゃんと子宮けいがんの検診に行きましょう。