マンガ「想像してみよう いろいろな気持ち」
5年生のハルト、なつき、アキラ、ふゆかの4人の登場人物の日常のストーリー。
5年1組の教室。
4月のある日、アキラが転校生としてやってくる。
クラスメイト「転校生だ!」
クラスメイト「大人っぽい」
ひじの内側をかきながら自己紹介をするアキラ。
アキラ「…アキラです。好きなことは読書、ゲーム。きらいなのは、暑い夏と乾燥する冬です」
なつきの心の声(あれ…この子…)
ふゆかが後ろの席のなつきに話しかける。
ふゆか「ねえねえ、あの子、ポロシャツ似合ってる!ポケットのハンカチもおしゃれだね」
なつき「あ…うん…」
自己紹介をして、なつきのとなりの席につくアキラ。
アキラの耳たぶが切れているの気がつくなつき。
放課後の教室
ふゆかがアキラに声をかける。
ふゆか「ねぇ、アキラくん。わたし、ふゆか!アキラくんおしゃれだね!だれが洋服選んでいるの?ママ?自分?お姉ちゃんとか」
ふゆかのマシンガントークにおどろくアキラ。耳のうしろやひじの内側をかいている。
アキラ「えっと…」
ふゆか「ファッション雑誌とか読む?ダンスとか好き?前の学校では…」
なつき「ふゆか…アキラくん、こまってるよ」
ふゆか「えーそう?ごめん~」
なつき「わたしはなつき。クラス委員なの。わからないことがあったら何でも聞いて」
なつき「ところで…アキラくんて もしかして…」
ハルトが勢いよくアキラのところへやってくる。
ハルト「オレ、ハルト!よろしく!サッカー好き?」
手にしているサッカーボールをアキラに見せるハルト。
アキラ「まあ…好き…かな…」
すると続々とクラスメイトが集まってくる。
口々に「家どこ?」「遊ぼう」「何の教科が好き?」というクラスメイト。
少しとまどうアキラ。
ハルト「アキラ!帰る前にみんなでサッカーしようぜー!」
校庭を指さすハルト。
アキラは外を見て、切れている耳に手をやる。
アキラは少し考えて、迷いながら「うん、いいよ。」
みんなと校庭に向かう
クラスメイトが男子も女子もみんなでサッカーをしている。
アキラがセンスの良い動きを見せる。
アナウンスの声「下校時刻になりました。校庭で遊んでいる児童は帰りましょう――」
サッカーボールを手にして、教室へもどろうとするハルトたち。
ハルト「アキラ、すげえうまい!サッカークラブとかに入ってた?めっちゃいい動きだな!」
アキラ「クラブは無理だから…でも、サッカーは好きで、家でいつもやってるんだ」
ハルト「家でサッカー?なにそれ?どういうこと?庭がめっちゃ広いの?」
後ろを歩いていたふゆかが、アキラのひじの内側に血がにじんでいるのを見つける。
ふゆか「アキラくん、そこ!血が出てるよ!」
ハルト「マジか?さっきオレがぶつかったからかな。保健室行こうぜ!」
アキラ「え…いや…これは…」の声はかき消される。
ハルトとふゆかが強引にアキラを保健室に連れていく。
なつきもついていく。
保健室のドアを勢いよくあける。
ふゆか「せんせー、たいへん!」
ハルト「アキラ、けがしたみたいで血が出てるんだ!」
アキラの様子を見る養護教諭。
養護教諭「かいて血が出ちゃったのね」
アキラ「はい…」
養護教諭「薬をぬるから、手をあらってらっしゃい。」
手をあらって自分でくすりをぬるアキラ。
なつき「アキラくんて、もしかしてアトピー性皮ふ炎?」
アキラ「うん、よく気がついたね。」
ふゆか・ハルト「アトピー性皮ふ炎⁉」
なつき「耳たぶが切れているし、ひじの内側もかいていたから、そうかなって思って…。わたし、小さいころアトピーだったの。かゆいのってつらいよね。」
アキラ「ぼくは赤ちゃんのころからアトピーがひどくて…皮ふがあちこちかゆくなるんだ」
ふゆか「赤ちゃんのころから?」
ハルト「先生、アトピー性皮ふ炎ってどんな病気なんですか?」
養護教諭「そうね…みんなには知っておいてもらったほうがいいかな。ね、アキラくん」
うなずくアキラ。
養護教諭「かゆみのあるしっしんが良くなったり悪くなったりをくり返す病気なの。症状は人それぞれで、赤くなったり、小さなぶつぶつができたり、カサカサしたり、皮ふが厚くなったり、かさぶたができたり…」
養護教諭「同じ人でも季節によって程度がちがったりするの」
アキラ「ぼくは汗をかく夏と乾燥する冬に症状が悪化するんだ」
ふゆか「それって…つらいじゃん…」
なつき「どんな時にかゆくなるんですか?」
養護「そうね、いろいろあるわね。」
養護教諭「汗や乾燥がダメだったり、ペットや食事のバランス、睡眠不足や気持ちも関係したり…本当にいろいろあるのよね…」
ふゆか「治るんですか?」
養護教諭「正しい治療 ①お薬をぬったり飲んだりする ②汗をかいたら肌を清潔にしてくすりやクリームをぬる ③こまめなそうじ を行うことで症状が出にくい状態にはなるわね!」
アキラ「ぼく、サッカーをしたら、かゆくなるのわかってたんだ」
アキラの回想「前はおとなしくしていた…そうすればかゆくはならないから…低学年のころにね、自分でケアがうまくできずに悪化することが多くて…外遊びとか…すごくがまんしてた」
アキラ「でも、それじゃ楽しくない。これからはいろんなことに挑戦したいんだ。だから、今は症状のコントロールをがんばってる。ちゃんと薬をぬっているし、汗をかいたら清潔にしてる!」
アキラ「今日は…転校初日で緊張したり、サッカーで汗かいて、ちょっとかゆくなったけど…みんなとサッカーできて、本当に楽しかった!」
ハルト「アキラ!またサッカーやろうぜ!」
ふゆか「え?だってまた悪化しちゃうよ…汗かいたら」
ハルト「だから、みんなでアキラが楽しくサッカーできるように考えるんだよ」
ふゆか「あー、なるほど!いいね!それ、やろ!」
なつき「先生、またアトピーについて、質問してもいいですか?」
養護教諭「ええ、もちろんよ!」
休日の公園。
ハルト「準備OK?」
アキラ「汗をかいても、だいじょうぶなように」
バッグには、薬、タオル、着がえが入っている。
ふゆか「準備万端だねー」
なつき「汗は大敵だもんね」
アキラ「家に帰ったら、すぐにシャワーを浴びてさっぱりするんだ」
みんなでサッカーをして遊ぶ。
数日後、アキラの家。
ハルト、ふゆか、なつきがハルトの家に遊びに来る。
部屋が整然ときれいで、本がたくさんある。
ふゆか「アキラくんのお部屋、めっちゃ整理整とんされている~きれい~」
ハルト「本がいっぱいあるなぁ。これ全部読んだの?すげえ」
なつき「あ。このシリーズ、わたしも持ってる!おもしろいよね」
アキラ「さ、ゲームしよう!」
アキラ「ゲームで、サッカーのイメージトレーニングしてるんだ。手加減しないよ」
ハルト「あ、家でサッカーって、ゲームのことか!よ~し」
サッカーのゲームでハルトとアキラが真剣勝負。
なつき「どっちが勝つかなぁ」
ふゆか「がんばれー二人ともー」
試合終了。アキラが勝つ。
ハルト「アキラ、めっちゃ強い」
なつき「ハルトの負けだねぇ」
ふゆか「わたしもやりたい!」
ハルキ「いやいや、お願い、もう1回!オレとやって。リベンジだー」
アキラ、笑って「今度は4人でやろう!」
わいわい盛り上がる4人。
おわり。