マンガ「想像してみよう いろいろな気持ち」
5年生のハルト、なつき、アキラ、ふゆかの4人の登場人物の日常のストーリー。
昼休みの教室。4人が調理実習について話している。
ふゆか「調理実習、楽しみ~ お兄ちゃんの時はゆでたまごをつくったんだって」
ハルト「オレゆでたまご大好物!何をつけるか迷う。しょう油にしようかな?マヨネーズもいいな」
アキラ「ぼくは塩がいいな なつきは?」
なつき「あ、私も塩かな」
なつきが元気のない様子にアキラが気付く。
ハルト「アレルギー治ったから なつきも食べられるようになってよかったよな」
アキラ「なつきって食物アレルギーがあったの?」
アキラに食物アレルギーのことを聞かれてなつきが話し始める。
なつき「たまごアレルギーがあったんだけど 私の場合、今はゆでたまごやオムライスみたいにしっかり加熱しているたまごなら食べられるようになったの」
なつき「1年生までは、アレルギー用の給食だったから、みんなとちがうメニューだった。『なつきだけちがう給食でいいな』って言われたけど、みんなと同じものが食べたい、なんで私だけって思っていた。好ききらいでわがままって言われるのもいやだった」
(解説)食物アレルギーは、お医者さんの指導で、アレルギーの原因となる食品を少量ずつ毎日食べて治療したり、成長するにつれて自然にアレルギーの原因となる食品が食べられるようになる場合があります。
また、食物アレルギーを持っている人の学校給食では、アレルギーの原因となる食品をふくまない献立に変更したり、弁当を持参したりするなどの対応をします。(解説終わり)
なつきは、病院で少量ずつ食べる治療をした時に、急に呼吸が苦しくなったことがあって、アレルギーの症状を一時的にやわらげる注射の薬を保健室に預けている。
なつき「今もたまごは苦手。半熟のゆでたまごでアレルギーがおきたらどうしようとか、ちょっと心配」
なつきの話を聞いて、ふゆか、アキラ、ハルトは、なにかできないかを考え始める。
アキラ「ほかにもアレルギーを持っている人いるよな。給食で牛乳じゃなく麦茶の人とか」
アレルギーの原因となりやすい食品には、エビ、カニ、小麦、そば、たまご、牛乳、らっかせい、くるみ、果物のりんご、オレンジ、バナナ、キウイなどがある。
ハルトが、牛乳アレルギーを持っているクラスメイトの隣の席で牛乳をこぼした時のことを思い出す。
ハルト「前に、強く持ちすぎて、パックから牛乳が飛び出た時はあわてたぁ」
なつき「食物アレルギーは、食べなくてもさわっただけで、かゆくなったり、赤くなったりするんだよね…」
ふゆか「だから、こぼした牛乳をふいたりできないんだ。手伝いたくても手伝えないんだね」
なつき「遠足のおかしやお弁当のおかずを交換しないのも、知らないうちにアレルギーの原因になる食べ物を食べないようにするため」
アキラ「そういうことか」
ハルト「ついついおかし交換したくなっちゃうけど、おかし交換しなくても仲良くできるもんな」
家庭科の授業。
家庭科の先生「来週は、初めての調理実習。今日は、その準備をしましょう」
黒板には、料理名の「ゆで野菜サラダ」、ゆでる食材の「にんじん、じゃがいも、ブロッコリー、サヤインゲン、ソーセージ」と書いてある。
家庭科の先生「次に、調理実習で注意することについて考えましょう」
先生が意見を黒板に書いていく「包丁で手を切らないように注意する、協力する、あとかたづけまできちんとする、ふざけない、つまみ食いしない」
アキラが手をあげて発言「食物アレルギーの原因になる食材がないか、確認する!」
アキラの意見に、なつきがほっとした表情を見せる。
ハルト「さすがアキラ、それ重要!」
家庭科の先生「そうね。では食物アレルギーについてもう少し勉強しましょう」
調理実習の当日。
ハルト「待ちに待った調理実習。注意点を守って始めよう!」
ふゆか「アレルギーの注意点もね」
食物アレルギーの注意点
・アレルギーの原因となる食品をぬく
・代わりになる材料で調理する
・不注意で食物アレルギーの原因となる食品が混ざらないようにする
・調理器具や食器は分ける
・使われている食材がわからない食べ物をあげない、もらわない
・加工食品は、食品表示ラベルをよく読んで原材料などを確認する
・アレルギーの原因となる食品を残さないためにしっかりあらう
アキラがソーセージのラベルを確認している。
アキラ「ちゃんと食品表示を確認!これはたまごが入ってないソーセージだから大丈夫」
それぞれのグループが調理を始める。
実食タイム。
本日の献立 ゆで野菜サラダ(マッシュポテト、ブロッコリー、ニンジン、ミニトマト)、ソーセージ、小鉢(ホウレンソウ、おかか)、日本茶
なつき「調理実習って楽しい。実は、アレルギー反応がおきて、まぶたがはれたり、じんましんがでたらはずかしい、どうしようと思ってたの。授業も私のせいで止まっちゃうと、みんなに迷惑がかかるし。だから、もしも症状が出ても、がまんできるなら言わないつもりだった」
アキラ「言い出しにくいよな、でもはずかしいことじゃないよ」
ハルト・ふゆか「そう、はずかしいことじゃない!」
ふゆか「なんか変だと思ったら、絶対にすぐに教えてね。大切なのは早めの行動だから」
笑顔のなつき。
調理実習後の発表。
ふゆか「いろいろな食材があって、カラフルにできました」
アキラ「調理実習を通して、食物アレルギーのことを知ることができてよかったです。アレルギーを持っている人は、かゆくなったり変だなと思ったら、はずかしがらずにみんなに伝えてください」
ハルト「みんなも、友達がいつもと違うなと思ったら、すぐに先生に伝えましょう!」
(解説)まちがってアレルギーの原因となる食品を食べたり、さわったりして強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)がおきた場合には、先生や周囲の大人に伝えましょう。アレルギー反応についてくわしく知りたい人は、「食物アレルギーってどんな病気?」も見てね。(解説終わり)
なつき「授業で食物アレルギーの勉強をしたので、私のようにアレルギーを持っていても安心して実習ができました、学校がもっと楽しくなると思います」
なつきの笑顔にクラスメイトや先生たちも笑顔になる。
おわり。