2001年にロシュと戦略的アライアンスを締結してから、最初の10年は、いわばファーストステージ。ドラッグラグの解消に向けて、海外で承認・販売されている数多くのロシュ導入品を国内の患者さんに少しでも早く届けることに注力してきました。
一方で、この間も、中外製薬は着々と、自社創製品を世界の患者さんに提供するため、グローバル開発の基盤づくりを進めてきました。
そして、前中期経営計画ACCEL 15と時を同じくして、「SA237」とnemolizumab(「CIM331」)の自社主導グローバル開発を決断。約3年をかけて力を注いできたこれらの開発はいずれも苦難の連続でしたが、グローバル臨床試験を成功裏に進め、製品価値の最大化につながる導出に成功しました。
アジア・米・欧にまたがるグローバル開発を中外製薬として初めて自社主導で実施することを通じ、多くのことを学ぶことができました。この間に、有望な自社創製品の早期PoC*1を速やかに取得することを目指し、TCR本部*2の創設をはじめ、CMO*3の起用や現地人財の採用などの海外拠点の強化を行い、グローバルでの開発体制を進化させました。
そして、I B I 18の中では、医療・経済価値証明プロセスの強化に注力しています。中外製薬がPoC段階までに資源を集中し、PoCデータに加えて、医療価値や経済価値の証明につながる付加価値を創出することができれば、導出先企業も薬剤の価値をこれまで以上に的確に評価することができますし、より効果的な第Ⅲ相臨床試験をスムーズに実施することも可能になります。
こうした考えから、現在、中外製薬は専門部署を立ち上げ、より早い段階での価値証明に向けた取り組みに邁進しています。今後の導出戦略においても、革新的な取り組みを通じて薬剤の価値を最大限に高めていくことで、グローバルでのトップ企業として、世界の患者さんに貢献していきたいと考えています。