2018年04月17日
血友病A治療薬「HEMLIBRA®」、
インヒビター非保有の血友病Aに対してFDAが画期的治療薬に指定
-中外製薬創製品に対し6回目の指定-
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:小坂 達朗)は、抗血液凝固第IXa/X因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体 血液凝固第VIII因子機能代替製剤「HEMLIBRA®」[米国一般名:emicizumab-kxwh](以下、HEMLIBRA)について、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)よりインヒビターを保有しない血友病Aに対して画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に指定されましたので、お知らせいたします。米国における開発・販売は、ロシュ・グループのメンバーであるジェネンテック社が実施しています。
上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康は「このたびHEMLIBRAに対し2つ目のBreakthrough Therapy指定がなされたことを大変嬉しく思います」と述べるとともに、「インヒビター保有の血友病Aに続き、インヒビター非保有の血友病Aの方々に対しても、当社で創製した新薬を通常よりも早く米国にてお届けできる見込みとなりました。ジェネンテック社と協働し、一日も早い適応拡大の実現に努めていきます」と語っています。
今回の指定は、血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有しない12歳以上の血友病Aの方々を対象に、HEMLIBRAの週1回または2週に1回皮下投与による出血抑制効果を検討した第III相国際共同治験 HAVEN 3試験(NCT02847637)に基づいています。
血友病Aは、血液凝固第VIII因子の欠乏もしくは機能異常により血液凝固反応が正常に進まず、重篤な出血症状が反復して生じる疾患です。近年、その出血傾向の抑制を目的とし、インヒビター非保有の血友病Aに対しては、血液凝固第VIII因子製剤を静脈内投与する定期補充療法が広く実施されています。HEMLIBRAは、当社独自の抗体改変技術を用いて創製されたバイスペシフィック抗体です。本剤は活性型第IX因子と第X因子に結合し、血友病Aで欠損または機能異常を来している第VIII因子の補因子機能を代替します1, 2)。HEMLIBRAは、HAVEN 3試験において出血頻度の有意な減少が確認され、皮下投与や投与頻度という利便性とともに、血友病Aの治療における新たな治療選択肢として期待されています。
中外製薬創製の医薬品でのBreakthrough Therapy指定としては、ALECENSA®(クリゾチニブ投与後に病勢進行が認められたALK陽性の非小細胞肺がん、ALK陽性の非小細胞肺がん一次治療)、ACTEMRA®(全身性強皮症、巨細胞性動脈炎)、HEMLIBRA(12歳以上で血液凝固第VIII因子のインヒビターを保有する血友病A患者さんに対する予防投与療法)に続く、3品目・6回目の指定となります。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
以上
【参考文献】
- Kitazawa, et al. Nature Medicine 2012; 18(10): 1570
- Sampei, et al. PLoS ONE 2013; 8: e57479
【参考情報】
Breakthrough Therapy(画期的治療薬)について
2012年7月に施行されたFDA Safety and Innovation Act(FDASIA)により導入された制度で、重篤または致命的な疾患や症状を治療する薬の開発および審査を促進することを目的としています。Breakthrough Therapyに指定されるためには、一つ以上の臨床的に重要な評価項目において、既存治療を上回る改善を示唆する予備的な臨床上のエビデンスが必要とされています。Breakthrough Therapy指定は、医薬品の開発および審査を促進する他のFDAの制度とは異なるものの、Fast Track指定の利点を全て享受できる制度です。
本剤の主な承認状況について
- 米国:
「血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する成人および小児の血友病A(先天性第VIII因子欠乏症)患者に対する週1回の皮下投与による予防投与療法」を効能・効果として、2017年11月に米国食品医薬品局より承認を取得し、販売しています(米国製品名:HEMLIBRA®、承認権者:ジェネンテック社)。 - 欧州:
「定期投与による血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する血友病A患者における出血予防」を効能・効果として、2018年2月に欧州医薬品庁より承認を取得し、販売しています(欧州製品名:HEMLIBRA®、承認権者:ロシュ社)。 - 日本:
「血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する先天性血液凝固第VIII因子欠乏患者(血友病A)における出血傾向の抑制」を効能・効果として、2018年3月に厚生労働省より製造販売承認を取得しています。
HAVEN 3試験結果ついて
2017年11月20日発表プレスリリース
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20171120151500_66.html
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