くすりのヒミツ

くすりができるまで

新しいくすり(新薬)をつくるのには10年以上かかり、新薬づくりの成功率はなんと3万分の1と言われているんだ。そのくらい新しいくすりをつくるのはむずかしいことなんだね。では、どうやってくすりをつくるのだろう。

お店で見かけないくすりのヒミツ

くすりは、「一般用(いっぱんよう)医薬品」と「医療用(いりょうよう)医薬品」に分けることができる。
みんなはかぜをひいたり、おなかがいたくなったりしたら、薬局やドラッグストアにくすりを買いに行くよね。薬局やドラッグストアで自分で選んで買えるくすりのことは「一般用医薬品」というよ。
一方で、医療用医薬品は、患者(かんじゃ)さんそれぞれの病気や身体の状態にあわせてお医者さんが発行する処方箋(しょほうせん)にもとづいて販売(はんばい)されるくすりだから、店頭にはならんでいないんだ。中外製薬のくすりもすべて「医療用医薬品」だよ。だから中外製薬のくすりはドラックストアで見かけないんだね。

医療用医薬品にはどんな種類があるの?

医療用医薬品は、そのつくられ方から、「化学合成医薬品」と「バイオ医薬品」の大きく2つにわけることができる。
「化学合成医薬品」は化学合成技術を使ってつくられるくすりで、患者さんが服用しやすい錠剤(じょうざい)やカプセルのくすりになるよ。
もうひとつの「バイオ医薬品」は微生物(びせいぶつ)や動物細胞(さいぼう)の力を利用してつくったくすりをいうんだ。注射(ちゅうしゃ)や点滴(てんてき)で患者さんに使われているよ。「バイオテクノロジー」は、バイオロジ―(生物学)とテクノロジー(技術)が合体した言葉で、生物の持っている働きを人々のくらしに役立てる技術のことだよ。
さらに、「バイオ医薬品」のひとつに「抗体(こうたい)医薬品」というくすりがある。これは、異物からからだを守る役割を果たしている「抗体」の力を利用して、病気の原因となる分子(物質をつくる基本単位)の働きを止めるくすりだよ。

化学合成医薬品

いろいろな薬品を化学反応させてつくるくすり。患者さんが飲む、錠剤やカプセルのおくすりだよ。

バイオ医薬品

微生物や動物細胞の力を利用してつくるくすり。注射や点滴で患者さんに使われているよ。バイオ医薬品のひとつに「抗体医薬品」がある。これは、病原体などの異物からからだを守る「抗体」の力を利用したくすりなんだ。

抗体医薬品とは?

わたしたちのからだは、病原体が侵入(しんにゅう)すると、その病原体の目印にぴったりくっつく抗体をつくって、病原体を体内から取りのぞく。バイオ医薬品のひとつである抗体医薬品は、この抗体のはたらきを利用して治療するくすり。たとえばがんの治療では、がん細胞をピンポイントで攻撃(こうげき)するから、高い治療効果と副作用の軽減が期待できるんだ。