中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2024年02月08日

  • 医薬品
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クロバリマブ、発作性夜間ヘモグロビン尿症を対象に中国において世界で初めて承認を取得

  • 中外製薬創製の5つ目のグローバル製品としてクロバリマブが世界で初めて承認を取得
  • 当社独自のリサイクリング抗体®技術を適用した2つ目の製品であり、在宅投与も可能な4週1回皮下投与の医薬品として患者さんに対する利便性向上を期待
  • 補体阻害薬による治療歴のない発作性夜間ヘモグロビン尿症を対象に中国で行われた第III相臨床試験(COMMODORE 3試験)、およびグローバルで実施された第III相臨床試験(COMMODORE 2試験)等に基づく承認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、中外製薬創製の抗補体C5リサイクリング抗体クロバリマブ(中国語製品名:派圣凯®)について、補体阻害薬による治療歴のない発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH:paroxysmal nocturnal hemoglobinuria)の成人および青年患者(12歳以上)に対し、中華人民共和国 国家薬品監督管理局(NMPA:National Medical Products Administration)より承認されたことをお知らせいたします。承認申請は日本と台湾を除く地域でクロバリマブの開発を担うエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社(本社:バーゼル、CEO:トーマス・シネッカー)の中国法人が行いました。本剤に対する承認取得は中国が世界で1カ国目です。

 今回の承認は、補体阻害薬による治療歴のないPNH患者さんを対象に、中国で実施された多施設共同単群第III相臨床試験(COMMODORE 3試験)、およびランダム化非盲検国際共同第III相臨床試験(COMMODORE 2試験)等の結果に基づいています。

 クロバリマブは、中外製薬のリサイクリング抗体技術を用いています。一般的な抗体では、抗原に一回しか結合することができないのに対し、クロバリマブは繰り返し抗原に結合するよう改変することで、低用量で持続的な補体阻害が可能となり、4週ごとの皮下投与を実現しています。リサイクリング抗体技術を適用した治療薬の承認は、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders)に対する治療薬であるエンスプリング®に続き2剤目です。

【参考情報】
抗補体C5リサイクリング抗体クロバリマブ、発作性夜間ヘモグロビン尿症を対象に、中国当局が優先審査指定(2022年8月10日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20220810160000_1245.html

クロバリマブについて
 クロバリマブ(遺伝子組換え)は、中外製薬が開発したリサイクリング抗体技術を用いた抗補体C5リサイクリング抗体です。リサイクリング抗体は、抗原結合部位にpH依存性を持たせることで、1分子の抗体が繰り返し抗原に結合し、一般的な抗体に比べて長時間にわたり効果を発揮するようデザインされています。本剤は、補体系で重要な役割を担うC5を標的にすることで補体の活性化を制御するとともに、皮下注射による治療で患者さんおよび介護者の負担軽減をもたらすことが期待されています。クロバリマブは既存薬とは異なる部位でC5に結合することから、アジアで報告されている既存の抗体医薬品が結合しない特定のC5遺伝子変異を有する患者さん(日本人においてはPNH患者さんの約3.2%)において有効な治療選択肢となり得ます1,2
 現在、日米欧でPNHに対する新薬として承認申請中です。加えて、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS:atypical hemolytic uremic syndrome)の開発を行っており、海外ではロシュが鎌状赤血球症(SCD:sickle cell disease)、ループス腎炎に対して臨床試験を実施しています。

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)について
 PNHは、PIG-A遺伝子に後天的に変異が生じた造血幹細胞がクローン性に拡大することにより、自己補体による血管内溶血を生じる造血幹細胞疾患です3。ヘモグロビン尿、血栓症などPNH特有の溶血に起因する症状と、再生不良性貧血と同様の造血不全症状の二面性を持ちますが、症状は患者さんにより異なります。合併症として、慢性腎臓病、肺高血圧症等を併発する場合があります。

 上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Fukuzawa T, et al. Long lasting neutralisation of C5 by SKY59, a novel recycling antibody, is a potential therapy for complement-mediated diseases. 2017; Sci Rep 7, 1080.
  2. Nishimura J et al. Genetic variants in C5 and poor response to eculizumab. N Engl J Med. 2014 Feb 13;370(7):632-9.
  3. 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ.発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド 令和4年度改訂版.

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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