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2022年03月28日
- 医薬品
- 研究開発
パージェタとハーセプチンの併用療法、HER2陽性大腸がんに対する適応追加の承認を取得
- パージェタとハーセプチンの併用療法について、「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」に対する適応追加の承認を取得
- 大腸がんにおける新たな個別化医療のアプローチとして、HER2をターゲットとした治療薬の承認
- 化学療法歴のあるHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん(大腸がん)を対象とした国内第II相医師主導治験(TRIUMPH試験)の成績に基づく承認
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体/抗悪性腫瘍剤「パージェタ®点滴静注420 mg/14 mL」[一般名:ペルツズマブ(遺伝子組換え)](以下、パージェタ)および抗HER2ヒト化モノクローナル抗体/抗悪性腫瘍剤「ハーセプチン®注射用60、同150」[一般名:トラスツズマブ(遺伝子組換え)](以下、ハーセプチン)について、「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」に対して、適応追加の承認を本日、厚生労働省より取得しましたのでお知らせいたします。
代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「大腸がんには多くの有効な治療薬が存在しますが、近年の遺伝子研究により、標準治療では十分な効果が得られていない患者さんの存在が明らかになってきました1。こうした患者さんに対し、パージェタとハーセプチンによる併用療法を、個別化医療に基づく新たな治療選択肢として提供できることを大変嬉しく思います」と述べるとともに、「HER2陽性大腸がんは、大腸がん全体の1~5%を占める希少なサブタイプであり2、今回の承認は、このサブタイプに対して国内外で初めて個別化医療の道を開くものです。承認の基礎となった医師主導治験にご参加下さった患者さんとそのご家族、医療関係者の皆様をはじめ、承認をご支援くださった方々に改めて感謝申し上げます。大腸がんの治療に本併用療法をお役立ていただくべく、適正使用情報の提供に努めてまいります」と語っています。
今回の承認は、化学療法歴のあるHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん(大腸がん)30例を対象に、パージェタとハーセプチンの併用療法による有効性および安全性を評価した医師主導の国内第II相臨床試験(TRIUMPH試験)の成績に基づいています。主要評価項目は、治験担当医師判定により確定された客観的奏効割合であり、腫瘍組織でHER2が確認された患者群の29.6%、血液検体でHER2陽性かつRAS野生型が確認された患者群の28.0%に奏効が認められました。主な有害事象は、注入に伴う反応、下痢、食欲減退、悪心、口内炎および上咽頭炎でした。
なお、HER2タンパクの検出ならびにHER2遺伝子増幅度の測定は、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社の組織検査用キット「ベンタナ ultraView パスウェーHER2(4B5)」およびアボットジャパン合同会社のHER-2遺伝子キット「パスビジョン HER-2 DNAプローブキット」によって行います。いずれも、HER2陽性大腸がんにおけるパージェタおよびハーセプチンの適応判定を補助するコンパニオン診断薬として、一部変更承認をそれぞれ2022年3月17日、3月10日に取得しています。
電子化された添付文書情報(パージェタ) ※今回追加部分のみ記載
効能又は効果:がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
用法及び用量:がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌にはトラスツズマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)として初回投与時には840 mgを、2回目以降は420 mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
電子化された添付文書情報(ハーセプチン) ※今回追加部分のみ記載
効能又は効果:がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
用法及び用量:がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌にはペルツズマブ(遺伝子組換え)との併用でB法を使用する。
B法:通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)として初回投与時には8 mg/kg(体重)を、2回目以降は6 mg/kgを90分以上かけて3週間間隔で点滴静注する。
なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
パージェタについて
パージェタは、腫瘍細胞の増殖に関与するヒト上⽪増殖因⼦受容体2型(HER2)を標的とするヒト化モノクローナル抗体です。本剤とハーセプチンを併用することにより、HERシグナル伝達系をより広範囲に遮断することが可能になります。本剤は2013年に「HER2陽性の手術不能又は再発乳癌」を対象に発売され、2018年の「HER2陽性の乳癌における術前・術後薬物療法」に対する追加承認により、効能又は効果は「HER2陽性の乳癌」へ変更しています。
ハーセプチンについて
ハーセプチンは、パージェタと同様、HER2を標的とするヒト化モノクローナル抗体です。本剤は2001年に「HER2過剰発現が確認された転移性乳癌」を対象に発売され、2011年に「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進⾏・再発の胃癌」、2021年に「HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌」への適応を取得しています。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
出典:
- Nat Med. 2021 Nov;27(11):1899-1903. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34764486/(アクセス:2022年3月)
- Kato T, et al. J Clin Oncol 2016; 34(15s): Abstr#3591
以上
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