活動レポート
菌の呼吸?人工イクラを作ってみよう
2023年7月25日、南流山児童センターの副館長、山川幸子さんをお招きして、中学生を対象とした実験教室を開催しました。今回の実験教室では、生物の基本単位である細胞の中で行われている「代謝」という生命現象を理解するため、酵母と呼ばれる微生物の代謝の一つである「呼吸」をバイオリアクターという手法を用いて観察しました。
実験に使った材料・実験方法
バイオリアクターとは、生物の代謝を見るための「反応容器」のことですが、今回はアルギン酸カルシウムの粒を自分たちで作り、それを利用しました。このアルギン酸カルシウムの粒は赤く着色するとサケの卵であるイクラに似ていることから、「人工イクラ」とも呼ばれています。実験では人工イクラの中に酵母(イースト)を封じ込め、栄養となる砂糖水に浸した場合と栄養にはならない人工甘味料の水に浸した時の呼吸の違い(泡のでき方)を観察しました。
実験で分かったこと
アルギン酸ナトリウムの水溶液をスポイトで塩化カルシウム溶液に垂らすと、水滴の表面が水に溶けないアルギン酸カルシウムに瞬時に変わります。この特性を利用して、丸い粒(人工イクラ)を作りました。同様に、酵母を溶かしこんだアルギン酸ナトリウム水溶液を用いて酵母入りの人工イクラを作製しました。酵母が入った人工イクラを砂糖水と人工甘味料の水に入れ、そのまましばらく置いておくと、砂糖水の中の人工イクラだけ呼吸による泡が観察されました。
今回の実験から、酵母の呼吸は砂糖のような栄養があるときに起こることがわかりました。しかし、砂糖水に入れても泡が観察できなかった結果も半数ほど見られました。その理由について「人工イクラに入れる酵母が少なかった」とか「人工イクラがとても小さかった」などの考えや意見が出されました。
パンやビールなど酵母を使った食品は身近にたくさんありますが、これらは酵母の「呼吸」という生きる力をうまく利用していることを学ぶことができました。