中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2024年03月27日

  • 研究開発

FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル、PIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性、HER2陰性乳がんに対するAKT阻害剤カピバセルチブのコンパニオン診断として承認を取得

  • 進行性ホルモン陽性乳がんの約50%1,2,3で発現する3つの遺伝子変異(PIK3CA、AKT1またはPTEN)において、初のコンパニオン診断を追加
  • 8つのがん種、18の遺伝子、計27の薬剤に対するコンパニオン診断機能を保有

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイル」について、アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:堀井 貴史)が3月26日付けで国内における製造販売承認を取得したAKT阻害剤「トルカプ錠」(一般名:カピバセルチブ)とフェソロデックス(フルベストラント)の併用療法の適応となる、PIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)陰性の切除不能な進行・再発の乳がんに対するコンパニオン診断として、2月20日に厚生労働省より承認を取得しましたのでお知らせいたします。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルが、乳がんにおける3つの遺伝子変異(PIK3CA、AKT1またはPTEN)に対する治療薬カピバセルチブのコンパニオン診断として承認されたことを非常に嬉しく思います。HR陽性、HER2陰性の進行性乳がんの約半数1,2,3の患者さんが、コンパニオン診断により適切な治療方針の検討ができるようになります。今後も引き続き、コンパニオン診断の拡充により、患者さんの遺伝子変異の状況に基づいた個別化医療の高度化に貢献してまいります」と語っています。

 今回の承認は、FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルによりPIK3CA、AKT1、PTEN遺伝子変異を検出することで、PIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子変異を有するHR陽性、HER2陰性の進行性乳がんに対するカピバセルチブの使用について、適応判定の補助を可能にすることを目的としています。この特定の形態の乳がんに対するカピバセルチブとフルベストラントの併用療法の有効性・安全性は、国際共同第III相臨床試験であるCAPItello-291試験4にて検討され、2024年3月26日にアストラゼネカ株式会社が厚生労働省よりカピバセルチブの製造販売承認を取得しました。

 オンコロジー領域のリーディング企業である中外製薬は、包括的ゲノムプロファイリングの普及を通じ、がん領域におけるより高度な個別化医療を実現し、患者さんに貢献できるよう取り組んでまいります。

フルベストラント:アストラゼネカ株式会社が製造販売承認を有する乳がん治療剤「フェソロデックス」の一般名

電子化された添付文書情報 下線・太字部分が追加されました。

使用目的又は効果

  • 本品は、固形がん患者を対象とした腫瘍組織の包括的なゲノムプロファイルを取得する。
  • 本品は、下表の医薬品の適応判定の補助を目的として、対応する遺伝子変異等を検出する。
遺伝子変異等がん種関連する医薬品
活性型EGFR遺伝子変異 非小細胞肺癌 アファチニブマレイン酸塩、エルロチニブ塩酸塩、ゲフィチニブ、オシメルチニブメシル酸塩、ダコミチニブ水和物
EGFRエクソン20 T790M変異 オシメルチニブメシル酸塩
ALK融合遺伝子 アレクチニブ塩酸塩、クリゾチニブ、セリチニブ、ブリグチニブ
ROS1融合遺伝子 エヌトレクチニブ
MET遺伝子エクソン14スキッピング変異 カプマチニブ塩酸塩水和物
BRAF V600E及びV600K変異 悪性黒色腫 ダブラフェニブメシル酸塩、トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物、ベムラフェニブ、エンコラフェニブ、ビニメチニブ
ERBB2コピー数異常
(HER2遺伝子増幅陽性)
乳癌 トラスツズマブ(遺伝子組換え)
AKT1遺伝子変異 カピバセルチブ
PIK3CA遺伝子変異
PTEN遺伝子変異
KRAS/NRAS野生型 結腸・直腸癌 セツキシマブ(遺伝子組換え)、パニツムマブ(遺伝子組換え)
高頻度マイクロサテライト不安定性 ニボルマブ(遺伝子組換え)
高頻度マイクロサテライト不安定性 固形癌 ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)
腫瘍遺伝子変異量高スコア ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)
NTRK1/2/3融合遺伝子 エヌトレクチニブ、ラロトレクチニブ硫酸塩
RET融合遺伝子 セルペルカチニブ
BRCA1/2遺伝子変異 卵巣癌 オラパリブ
BRCA1/2遺伝子変異 前立腺癌 オラパリブ、タラゾパリブトシル酸塩
FGFR2融合遺伝子 胆道癌 ペミガチニブ

FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルについて
 FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルは、米国のファウンデーション・メディシン社により開発された、次世代シークエンサーを用いた包括的ながん関連遺伝子解析システムです。患者さんの固形がん組織から得られたDNAを用いて、324の遺伝子における塩基置換、挿入/欠失、コピー数異常および再編成などの変異等の検出および解析、ならびにバイオマーカーとして、マイクロサテライト不安定性(Microsatellite Instability: MSI)の判定や腫瘍の遺伝子変異量(Tumor Mutational Burden: TMB)の算出を行います。また、国内既承認の複数の分子標的薬のコンパニオン診断として、適応判定の補助に用いることが可能です。

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Howell S J, et al. Fulvestrant plus capivasertib versus placebo after relapse or progression on an aromatase inhibitor in metastatic, oestrogen receptor-positive, HER2-negative breast cancer (FAKTION). J Clin Oncol. 2022; 23:851-64.
  2. Hortobagyi G N, et al. Correlative Analysis of Genetic Alterations and Everolimus Benefit in Hormone Receptor-Positive, Human Epidermal Growth Factor Receptor 2-Negative Advanced Breast Cancer: Results From BOLERO-2. J Clin Oncol. 2016; 34:419-26.
  3. Millis S Z, et al. Landscape of phosphatidylinositol-3-kinase pathway alterations across 19784 diverse solid tumors. JAMA Oncol. 2016;2(12):1565-73.
  4. Turner N, et al. Capivasertib in Hormone Receptor-Positive Advanced Breast Cancer. NEJM. 2023; 388:2058-70.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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