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2023年10月18日

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バビースモ、網膜静脈閉塞症(RVO)に対する第III相臨床試験において、治療間隔を最大4カ月まで延長し、視力改善の維持を示す

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が10月10日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2023-10-10をご覧ください。

 ロシュ社は10月10日、網膜静脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症または半側網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対するバビースモ®(ファリシマブ)の治療間隔延長を評価した第III相グローバル臨床試験のBALATON試験およびCOMINO試験のトップラインについて、良好な長期の結果を発表しました1,2

 試験に割り付けられた後24週から72週まで、両試験のすべての患者さんに対して、個々の患者さんの治療に対する反応に応じて治療間隔を調整可能な投与レジメンを用いてバビースモが投与されました。バビースモの投与を受けた患者さんは試験の最初の24週時点で達成された視力の向上を維持しながら、治療間隔を最大4カ月まで延長したことが示されました。また、中心領域網膜厚(CST)を測定したところ、ベースラインから72週まで減少が維持されていることが示されました。網膜静脈閉塞症を対象とした第III相グローバル臨床試験において、個別化された投与レジメンを用いて視力と解剖学的改善が1年以上維持されたのは初めてです。いずれの試験においても、バビースモは概して忍容性が良好で、安全性プロファイルは過去の試験と同様でした。

 BALATON試験およびCOMINO試験の24週から72週までの詳細な結果は、今後開催される医学学会で発表される予定です。

網膜静脈閉塞症(RVO)について
 RVOは、網膜血管疾患による視力喪失において2番目に多い原因であるとされています。世界で2,800万人(主に60歳以上)が罹患していると推定され、重度かつ急性の視力喪失に至る可能性があります3,4。アンジオポエチン-2(Ang-2)のレベルはRVOで上昇し、Ang-2発現の増加は疾患の進行を促進すると考えられています5,6。RVOでは、静脈が閉塞して網膜の正常な血流が制限され、黄斑浮腫と呼ばれる虚血、出血、体液の漏出、網膜の腫れが生じ、通常、患部の眼に急性の無痛性の視力障害が生じます4,7,8。通常、RVOに伴う黄斑浮腫の治療は、抗血管内皮増殖因子製剤の硝子体内注射を繰り返し行います7。RVOには主に2種類あります。このうち網膜静脈分枝閉塞症は、世界で2,300万人以上が罹患し、網膜静脈の4つの小さな 「分枝」 のいずれかが閉塞すると発症します。網膜中心静脈閉塞症は、世界で400万人以上が罹患しており、眼の網膜中心静脈が閉塞すると発症します3,8

BALATON試験およびCOMINO試験について1,2
 BALATON(NCT04740905)試験およびCOMINO(NCT04740931)試験は、無作為化、多施設共同、二重遮蔽、第III相グローバル臨床試験であり、バビースモ(ファリシマブ)の有効性および安全性をアフリベルセプトと比較し評価しました。最初の20週間は、治験参加者を1:1の割合でバビースモ(6.0 mg)またはアフリベルセプト(2.0 mg)の月1回注射を6回受ける群に無作為に割り付けました。24~72週に、個別の投与間隔レジメンに従い、すべての治験参加者にバビースモ(6.0 mg)を最長4カ月間隔で投与しました。

 BALATON試験は、網膜静脈分枝閉塞症患者553例を対象として実施しました。COMINO試験は、網膜中心静脈閉塞症または半側網膜静脈閉塞症の患者729例を対象に実施しました。各試験の主要評価項目は、24週時点での最高矯正視力のベースラインからの変化量です。副次評価項目は、中心領域網膜厚(CST)の24週目までのベースラインからの変化量です。副次評価項目(24~72週時点)は、68週時点における治療持続性および0~24週時点のエンドポイントの継続です。

バビースモ(ファリシマブ)について
 バビースモは眼科領域において初めて承認を取得したバイスペシフィック抗体です9,10。アンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)を中和することにより、視力を脅かす多くの網膜疾患の原因である2つの経路を標的とし、阻害します。Ang-2とVEGF-Aは、血管構造の不安定化により、漏出を引き起こす血管を新たに形成し、炎症を起こすことで視力低下を引き起こすとされています。バビースモはAng-2とVEGF-Aが関与する経路を遮断することで、血管を安定させるよう設計されています11,12。バビースモは、新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)の治療薬として、米国、日本、英国、EUを含む世界80カ国以上で承認されています。その他の規制当局による審査は継続中です9,10,13,14

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

【出典】

  1. Clinical Trials.gov. A study to evaluate the efficacy and safety of faricimab in participants with macular edema secondary to branch retinal vein occlusion (BALATON) [Internet; cited October 2023]. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04740905.
  2. Clinical Trials.gov. A study to evaluate the efficacy and safety of faricimab in participants with macular edema secondary to central retinal or hemiretinal vein occlusion (COMINO) [Internet; cited October 2023]. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04740931.
  3. Song P, et al. Global epidemiology of retinal vein occlusion: a systematic review and meta-analysis of prevalence, incidence, and risk factors. J Glob Health. 2019;9:010427. Song P, et al. Global epidemiology of retinal vein occlusion: a systematic review and meta-analysis of prevalence, incidence, and risk factors. J Glob Health. 2019;9:010427.
  4. Moorfields Eye Hospital, United Kingdom National Health Service Foundation Trust. RVO [Internet; cited October 2023]. Available from: https://www.moorfields.nhs.uk/condition/retinal-vein-occlusion.
  5. Joussen et al. Angiopoietin/Tie2 signalling and its role in retinal and choroidal vascular diseases: a review of preclinical data. Eye. 2021;35:1305-1316.
  6. Regula JT, et al. Targeting key angiogenic pathways with a bispecific CrossMab optimized for neovascular eye diseases. EMBO Molecular Medicine. 2016;8:1265–88.
  7. Schmidt-Erfurth U, et al. Guidelines for the Management of Retinal Vein Occlusion by the European Society of Retina Specialists (EURETINA). Ophthalmologica. 2019;242:123-162.
  8. Campochiaro P. Molecular pathogenesis of retinal and choroidal vascular diseases. Prog Retin Eye Res. 2015;49:67-81.
  9. U.S. Food and Drug Administration (FDA). Highlights of prescribing information, Vabysmo. 2022. [Internet; cited October 2023]. Available from: https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2022/761235s000lbl.pdf.
  10. MHRA approves faricimab through international work-sharing initiative [Internet; cited October 2023]. Available from: https://www.gov.uk/government/news/mhra-approves-faricimab-through-international-work-sharing-initiative.
  11. Heier JS, et al. Efficacy, durability, and safety of intravitreal faricimab up to every 16 weeks for neovascular age-related macular degeneration (TENAYA and LUCERNE): two randomised, double-masked, phase 3, non-inferiority trials. The Lancet. 2022; 399:729-740.
  12. Wykoff C, et al. Efficacy, durability, and safety of intravitreal faricimab with extended dosing up to every 16 weeks in patients with DME (YOSEMITE and RHINE): two randomised, double-masked, phase 3 trials. The Lancet. 2022; 399:741-755.
  13. Chugai obtains regulatory approval for Vabysmo, the first bispecific antibody in ophthalmology, for neovascular age-related macular degeneration and diabetic macular edema [Internet; cited October 2023]. Available from: https://www.chugai-pharm.co.jp/english/news/detail/20220328160002_909.html.
  14. Roche data on file.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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