中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。
2022年09月29日
- 医薬品
- 研究開発
ペルツズマブとトラスツズマブの固定用量による配合皮下注製剤、HER2陽性乳がんおよび大腸がんに対し、国内で製造販売承認申請
- ペルツズマブおよびトラスツズマブ(パージェタおよびハーセプチンに含まれるモノクローナル抗体)について、固定用量による配合皮下注製剤を国内で承認申請
- HER2陽性乳がんを対象に実施した国際共同第III相臨床試験(FeDeriCa試験)等の成績に基づく申請
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体/抗悪性腫瘍剤パージェタ®[一般名:ペルツズマブ(遺伝子組換え)]および抗HER2ヒト化モノクローナル抗体/抗悪性腫瘍剤ハーセプチン®[一般名:トラスツズマブ(遺伝子組換え)]の固定用量による配合皮下注製剤RG6264について、HER2陽性乳がんおよびがん化学療法後に増悪したHER2陽性大腸がんを予定適応症として、本日、厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせいたします。
本剤は、パージェタおよびハーセプチンに含まれるモノクローナル抗体とボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の溶液が1本のバイアル中に含まれ、固定用量による投与が可能な配合皮下注製剤です。ヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼにより、抗体の浸透・吸収を促進すると考えられます。経過観察等を除く薬剤投与時間は、パージェタとハーセプチンの静注製剤を併用する場合、初回は約150分、2回目以降は60~150分(ハーセプチン投与後、パージェタを投与)を要したことに対して1,2,3)、臨床試験(FeDeriCa試験)におけるRG6264の投与時間は、初回は約8分、2回目以降は約5分を要しました。安全性は、FeDeriCa試験においてRG6264とパージェタおよびハーセプチンの静注製剤で同等であり、両群の有害事象として、脱毛、悪心、下痢、貧血が報告されています4。また、臨床試験(PHranceSCa試験)の評価対象となった85%(N=136/160)の患者さんにおいて、パージェタおよびハーセプチンの点滴静注製剤による併用より本剤が好まれたことが報告されています5。
中外製薬 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「HER2陽性の乳がんの標準治療であるパージェタおよびハーセプチンの併用療法について、配合皮下注製剤が申請できたことを嬉しく思います」と述べるとともに、「投与時間の短縮は、患者さんの利便性の向上や医療現場の負担軽減につながることが期待されます。新たな価値を患者さんや医療現場に一日でも早くお届けすべく、ロシュと協働し承認取得に向けて取り組んでまいります」と語っています。
今回の承認申請は、HER2陽性乳がんを対象にRG6264の薬物動態、有効性および安全性を評価した日本を含む国際共同第III相臨床試験(FeDeriCa試験)、同じくHER2陽性乳がんを対象に、RG6264の患者選好度および皮下投与の満足度を評価した海外第II相臨床試験(PHranceSCa試験)等の成績に基づいています。RG6264の日本における開発は中外製薬が実施しており、国内からFeDeriCa試験に参加しています。
【参考情報】
パージェタとハーセプチンの固定用量による配合皮下注製剤、HER2陽性乳がんにおいて両剤の静注製剤に対する血中濃度の非劣性を示す(2019年12月19日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20191219150000_925.html
FeDeriCa試験について4
FeDeriCa試験は、HER2陽性早期乳がんの患者さん500例を対象に、術前および術後薬物療法として化学療法と併用したパージェタとハーセプチンの配合皮下注製剤投与時の薬物動態、有効性および安全性を、化学療法と併用したパージェタとハーセプチンの静注製剤と比較検討した、多施設非盲検オープンラベルランダム化2群比較の国際共同第III相臨床試験です。本試験の主要評価項目は、反復投与時のパージェタの最低血中濃度です。副次的評価項目は安全性、反復投与時のハーセプチンの最低血中濃度、乳房および腋窩での病理学的完全奏効率等です。
PHranceSCa試験について5
PHranceSCa試験は、HER2陽性早期乳がんの患者さん140例を対象に、パージェタおよびハーセプチンの配合皮下注製剤に対する患者選好度および皮下投与の満足度を評価した海外第II相ランダム化臨床試験です。主要評価項目は、患者選好質問票(PPQ:Patient Preference Questionnaire)の回答に基づく、本剤に対する患者さんの選好度です。副次的評価項目は、本剤と、パージェタおよびハーセプチンの静注製剤に対する患者さんの満足度(TASQ:Therapy Administration Satisfaction Questionnaire)、治療継続期間における患者さんの本剤選択率等です。
パージェタについて
パージェタは、腫瘍細胞の増殖に関与するヒト上⽪増殖因⼦受容体2型(HER2)を標的とするヒト化モノクローナル抗体です。本剤とハーセプチンを併用することにより、HERシグナル伝達系をより広範囲に遮断することが可能になります。本剤は2013年に「HER2陽性の手術不能又は再発乳癌」を対象に発売され、2018年の「HER2陽性の乳癌における術前・術後薬物療法」に対する追加承認により、効能又は効果を「HER2陽性の乳癌」へ変更しています。加えて、2022年に「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応を取得しています。
ハーセプチンについて
ハーセプチンは、パージェタと同様、HER2を標的とするヒト化モノクローナル抗体です。本剤は2001年に「HER2過剰発現が確認された転移性乳癌」を対象に発売されました。その後、術後薬物療法に対する既承認および術前薬物療法の公知申請による追加承認により、2011年に「HER2過剰発現が確認された乳癌」へ効能又は効果を変更しました。その後2011年に「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進⾏・再発の胃癌」、2021年に「HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌」、2022年に「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」への適応を取得しています。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
[出典]
- European Medicines Agency. Summary of Product Characteristics for Herceptin. Available from: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/herceptin-epar-product-information_en.pdf (2022年9月確認)
- European Medicines Agency. Summary of Product Characteristics for Perjeta. Available from: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/perjeta-epar-product-information_en.pdf (2022年9月確認)
- US Food and Drug Administration. Prescribing Information for Herceptin. Available from: https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2018/103792s5345lbl.pdf (2022年9月確認)
- The Lancet Oncology. Fixed-dose combination of pertuzumab and trastuzumab for subcutaneous injection plus chemotherapy in HER2-positive early breast cancer (FeDeriCa): a randomised, open-label, multicentre, non-inferiority, phase 3 study. Available from: https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(20)30536-2/fulltext(2022年9月確認)
- European Journal of Cancer. Preference for the fixed-dose combination of pertuzumab and trastuzumab for subcutaneous injection in patients with HER2-positive early breast cancer (PHranceSCa): A randomised, open-label phase II study. Available from: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959804921002148?via%3Dihub (2022年9月確認)
以上
本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部
- 報道関係者の皆様
- メディアリレーションズグループ
- Tel:03-3273-0881
- mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
- 投資家の皆様
- インベスターリレーションズグループ
- Tel:03-3273-0554
- mailto: ir@chugai-pharm.co.jp