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2022年07月12日
- 医薬品
- 研究開発
後天性血友病Aに対するへムライブラの国内第III相臨床試験(AGEHA試験)の主要解析結果を国際血栓止血学会で発表
- 後天性血友病Aに対する用法・用量及び投与終了基準のもと、本疾患に対するへムライブラの良好なリスク・ベネフィットバランスが示唆された
- 本データに基づき、本年6月にへムライブラの後天性血友病Aに対する国内適応追加承認を取得
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社創製の抗血液凝固第IXa/X因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体 血液凝固第VIII因子機能代替製剤へムライブラ®[一般名:エミシズマブ(遺伝子組換え)]について、後天性血友病Aを対象に実施した国内第III相臨床試験(AGEHA試験)の主要解析結果が、英国・ロンドンで開催中の第30回国際血栓止血学会(ISTH:International Society on Thrombosis and Haemostasis)において、7月11日(現地時間)に発表されたことをお知らせいたします。ヘムライブラは、本データに基づき、「後天性血友病A患者における出血傾向の抑制」に対し、6月20日に国内で適応追加の承認を取得しています。
代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「AGEHA試験は、ヘムライブラの後天性血友病Aにおける初めての前向き臨床試験です。出血コントロールの手段が限られてきた同疾患に新たなエビデンスを提供し、国内における承認を基礎づける根拠となりました。本試験によりヘムライブラの後天性血友病Aにおける出血抑制効果が示唆されるとともに、皮下投与による投与方法が患者さんの治療負担の軽減につながりうるものと評価されたことを嬉しく思います」と述べるとともに、「独自の抗体エンジニアリング技術を駆使して生み出されたヘムライブラは、血友病A治療のパラダイムシフトを目指した中外製薬の挑戦の結晶です。引き続き、独自のサイエンス力と技術力を核に、患者さんに真に必要とされる医薬品の創出に向け、イノベーションを徹底的に追求していきます」と語っています。
AGEHA試験は、後天性血友病Aを対象にヘムライブラを皮下投与した際の安全性、有効性、薬物動態および薬力学を検討する、複数コホートよりなる多施設共同単群国内第III相臨床試験です。主要解析には、登録時点で免疫抑制療法を開始予定又は実施中の後天性血友病Aの成人12例(コホート1)が含まれました。参加者は1日目に6mg/kg(体重)、2日目に3mg/kg(体重)を皮下投与、8日目から1回1.5mg/kg(体重)を1週間の間隔で皮下投与されました。本試験では、ヘムライブラの投与終了基準が設定されました。第VIII因子活性が50IU/dL超であることが確認され、かつ直近の治療を要した出血に対する最後の血液凝固因子製剤投与から72時間超が経過していた場合に本剤の投与を終了することとされました。
ヘムライブラ投与後の有効性評価期間(期間中央値44.5日、範囲:8-208日)において、治療を要した出血が12例中2例(16.7%)で認められ、すべての参加者で治療を要する大出血は認められませんでした。年間出血率は以下の通りでした。
【AGEHA試験 年間出血率】
有効性評価期間 | ヘムライブラ投与前* | ヘムライブラ投与後** |
---|---|---|
治療を要した出血(回/年) | 35.6 (24.91-49.42) |
3.2 (0.69-9.01) |
大出血(回/年) | 66.4 (51.41-84.44) |
0.0 (NA-3.69) |
全出血(回/年) | 77.0 (60.80-96.27) |
6.9 (2.76-14.30) |
- * 評価期間中央値:68.0日(範囲:17-168日)
- ** 評価期間中央値:44.5日(範囲:8-208日)
有害事象の総数は78件であり、12例中全例で認められました。4例で重篤な有害事象が認められ、いずれも治験薬との関連性は認められませんでした。ヘムライブラに関連する有害事象は、12例中3例(25%)で認められました。そのうち1例では無症候性の深部静脈血栓症が認められましたが、発見から1週間後に消失が確認されました。なお、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。
ヘムライブラについて
ヘムライブラは、当社独自の抗体エンジニアリング技術を用いて創製されたバイスペシフィック抗体です。本剤は活性型第IX因子と第X因子に結合し、活性型第IX因子による第X因子の活性化反応を促進することで、血友病Aで欠損または機能異常を来している第VIII因子の補因子機能を代替します1,2。本剤は、2017年11月に米国食品医薬品局(FDA)より血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する成人および小児の血友病A(先天性血液凝固第VIII因子欠乏症)における予防投与療法に対し世界で初めて承認されました。本邦では、2018年3月に承認され、その後、インヒビター非保有の先天性血友病Aに対しても適応が拡大されています。現在、インヒビター保有・非保有の先天性血友病Aに対して、あわせて世界110カ国以上で承認されています。
後天性血友病Aについて
後天性血友病Aは後天的に血液凝固第VIII因子に対する阻害物質(インヒビター)が出現し、その結果、第VIII因子活性が著しく低下して、突発的な皮下出血や筋肉内出血などの出血症状を呈する疾患であり、重篤な出血もまれではありません。その本態は膠原病や悪性腫瘍、分娩などを背景に第VIII因子に対する自己抗体が産生される自己免疫疾患です3,4。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
出典
- Kitazawa, et al. Nature Medicine 2012; 18(10): 1570
- Sampei, et al. PLoS ONE 2013; 8(2): e57479
- Franchini M, Veneri D. Acquired coagulation inhibitor-associated bleeding disorders: an update. Hematology 2005;10:443-9.
- Cohen AJ, Kessler CM. Acquired inhibitors. Baillieres Clin Haematol 1996;9:331-54.
以上
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