中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。
2022年06月30日
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ガルデルマ社、結節性痒疹を対象としたネモリズマブの第III相臨床試験において有効性と安全性の良好な結果を発表
News Summary
本資料は、中外製薬が創製したヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体ネモリズマブの海外導出先であるガルデルマ社が6月22日(ツーク発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
- 結節性痒疹(PN: prurigo nodularis)は、外見を損なう広範囲に及ぶ皮膚結節に加え、強い慢性のそう痒を特徴とする、発生頻度の稀な炎症性皮膚疾患
- 現在、承認された治療薬はない
- ネモリズマブは、PNの病態に関与する重要な神経免疫サイトカインであるIL-31のシグナル伝達を遮断するファーストインクラスのモノクローナル抗体
- 本試験において、2つの主要評価項目をいずれも達成。ネモリズマブ単剤投与は、成人PN患者における皮膚病変および痒みを有意に改善
- 本試験では、主要な副次評価項目もすべて達成、安全性プロファイルは第II相臨床試験の結果と同様
ガルデルマ社は6月22日、第III相臨床試験(OLYMPIA 2試験)において、すべての主要評価項目および主要な副次評価項目を達成し、ネモリズマブ単剤投与により、中等症から重症の結節性痒疹(PN: prurigo nodularis)の成人患者における皮膚病変および痒みが、プラセボと比較して有意に改善したことを発表しました。安全性プロファイルは、第II相臨床試験の結果と同様でした。
OLYMPIA 2試験は、PN患者540名を対象としたこれまでで最大規模の臨床開発プログラムを構成する試験の1つです。OLYMPIA2試験は、成人PN患者を対象に、16週間治療後のネモリズマブとプラセボの有効性、安全性、薬物動態および免疫原性を評価したピボタルな第III相臨床試験です。
ネモリズマブ単剤投与(コルチコステロイド外用剤またはカルシニューリン阻害剤外用剤を使用しない)群において、16週投与後、プラセボに対し臨床的に有意かつ統計学的に意義のある2つの主要評価項目の改善が認められました。
- IGA(Investigator's Global Assessment)スコアを用いた評価では、ネモリズマブ投与群の38%、プラセボ投与群の11%で皮膚病変の消失またはほぼ消失(p<0.0001)
- PP-NRS(Peak Pruritus Numerical Rating Scale)スコアで測定された痒みは、ネモリズマブ投与群の56%、プラセボ投与群の21%で4点以上軽減(p<0.0001)
また、本試験は主要な副次評価項目もすべて達成しました。試験データにより、ネモリズマブはかゆみ、皮膚病変、睡眠障害に対し早期に作用することが確認されました。本試験において、ネモリズマブは良好なリスク・ベネフィットバランスを示しました。
PNを対象としたネモリズマブの有効性を検証するもう一つの第III相臨床試験(OLYMPIA 1試験)が進行中であり、OLYMPIA 2試験と同様のデザインです。
ネモリズマブについて
ネモリズマブは、IL-31レセプターAに対するファーストインクラスのモノクローナル抗体であり、IL-31のシグナル伝達を遮断します。IL-31は、アトピー性皮膚炎や結節性痒疹(PN: prurigo nodularis)など体の広い範囲に厚い皮膚結節を有し、激しい痒みを伴う発生頻度の稀な慢性皮膚疾患における複数の疾患メカニズムに関与します。IL-31は、かゆみに関連する感覚神経を直接刺激し、炎症やバリア機能障害に関与すると同時に皮膚の構造細胞に直接作用し、免疫系と神経系を繋ぐシグナル伝達を行います。
ネモリズマブは、日本ではアトピー性皮膚炎に伴うそう痒において承認され、世界各国でアトピー性皮膚炎およびPNの治療薬として臨床開発中です。ネモリズマブは、PNに伴うそう痒の治療薬として2019年12月に米国食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)より、画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に指定されています。中外製薬株式会社が創製し、2016年にガルデルマとライセンス契約が締結され、同社により日本、台湾を除く全世界で開発されています。
OLYMPIA2試験について
OLYMPIA 2試験は、18歳以上のPN患者を対象に16週投与し、プラセボに対するネモリズマブ単剤療法の有効性と安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験です。プラセボに対し、ネモリズマブの薬物動態および免疫原性も評価しています。本試験には中等症から重症のPN患者274名が参加しています。
結節性痒疹(PN: prurigo nodularis)について
結節性痒疹は硬いドーム状又は疣状の結節と強い痒みをともなう慢性的な皮膚疾患であり、発生頻度は稀であるものの、患者さんの日常生活に支障をきたすおそれがあります1。PNは、米国では18〜64歳の成人10万人あたり推定72人で、主に中年女性およびアフリカ系の人々が発症しています2,3。
出典:
- Galderma. Data on File. Press Release. Galderma presents new nemolizumab data at EADV. 2021.
- Williams KA, Roh YS, Brown I, et al. Pathophysiology, diagnosis, and pharmacological treatment of prurigo nodu-laris. Expert Rev Clin Pharmacol. 2021;14(1):67-77. doi:10.1080/17512433.2021.1852080
- Huang AH, Canner JK, Khanna R, Kang S, Kwatra SG. Real-world prevalence of prurigo nodularis and burden of associated diseases. J Invest Dermatol. 2020;140(2):480-483.e4. doi:10.1016/j.jid.2019.07.697
以上
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