中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。
2021年10月26日
アテア社による、COVID-19の外来患者を対象としたAT-527の第II相MOONSONG試験の最新情報およびトップライン結果の発表について
News Summary
本資料は、中外製薬が開発中のCOVID-19経口薬AT-527の創製元であるアテア社が10月19日(ボストン発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://ir.ateapharma.com/news-releases/news-release-details/atea-pharmaceuticals-provides-update-and-topline-results-phase-2をご覧ください。
アテア社は10月19日、COVID-19の外来患者を対象にAT-527を評価したグローバル第II相MOONSONG試験において、主要評価項目である軽症または中等症のCOVID-19患者の全体集団でのSARS-CoV-2ウイルス量のベースラインからの減少を達成しなかったことを報告しました。試験全体の約3分の2が軽症かつ重症化リスク因子のない患者でした。基礎疾患を持ち重症化リスク因子のある患者では、550mg投与群(規定のサブグループ解析)および1,100mg投与群(探索的サブグループ解析)とも、1日2回投与により、プラセボと比較して、投与開始後7日目に約0.5 log10のウイルス量の減少が認められました。
MOONSONG試験のトップライン結果およびAT-527の最新情報に加え、COVID-19を取り巻く環境の変化を踏まえ、アテア社はロシュ社と共同で、グローバル第III相MORNINGSKY試験の主要評価項目や対象患者集団などの変更の可能性を検討しています。
COVID-19の外来患者を対象としたMOONSONG試験のトップライン結果について
グローバル第II相MOONSONG試験は、軽症または中等症のCOVID-19成人患者を対象に、AT-527の550mg(コホートA、30名)および1,100mg(コホートB、30名)の1日2回投与と、プラセボ(40名)を比較し、抗ウイルス活性、安全性および薬物動態を評価する多施設共同二重盲検ランダム化プラセボ対照試験です。本試験の主要評価項目は、RT-PCR法によるSARS-CoV-2ウイルスRNA量のベースラインからの変化です。
トップライン結果では、軽症または中等症のCOVID-19患者の全体集団において、AT-527はプラセボと比較してSARS-CoV-2ウイルス量の明らかな減少を示さず、主要評価項目は達成しませんでした。本試験では基礎疾患が無い軽症患者が試験全体の約3分の2を占め、その平均年齢は37歳でした。また、試験の全体集団には、COVID-19に対するワクチン接種歴のある患者が含まれていました。
基礎疾患を持ち重症化リスク因子のある患者において、550mgおよび1,100mgの1日2回投与により、プラセボと比較して、投与開始後7日目に約0.5 log10のウイルス量の減少が認められました。
- 550mg(事前に規定されたサブグループ解析、コホートA):AT-527=7名、プラセボ=11名
- 1,100mg(探索的サブグループ解析、コホートB):AT-527=14名、プラセボ=7名
ウイルスの動態を評価したMOONSONG試験の結果には、ベースライン時の患者背景のほか複数の要因が影響していると考えられます。試験中の複数の変異株の出現、登録患者集団におけるワクチン接種の浸透、およびプラセボ患者集団の統合は、こうした要因に含まれている可能性があります。この統合したプラセボ患者集団は、ワクチンの接種状況(ワクチンの種類や投与量)が異なります。また、感染したCOVID-19の変異株が異なる可能性があります。
これまでの試験と同様に、AT-527の安全性と忍容性は概ね良好でした。MOONSONG試験では、有害事象を発現した患者の割合は、プラセボ群で20%、AT-527の550mg 1日2回投与群(コホートA)で20%、1,100mg 1日2回投与群(コホートB)で27%でした。薬剤と因果関係のない重篤な有害事象は、各群で3件ずつ認められ、それ以外の有害事象はすべてグレード1または2でした。主な有害事象は消化器関連の有害事象でした。軽度から中等度の悪心・嘔吐で投与中止に至った患者は、プラセボ群で3%、550mg 1日2回投与群(コホートA)で0%、1,100mg 1日2回投与群(コホートB)で17%でした。臨床検査値異常は、プラセボと比較して各投与群で臨床的に意義のある差は認められませんでした。
AT-527について
AT-527は、ヒトフラビウイルスやコロナウイルスを含む、一本鎖RNAのゲノムを有する複数のエンベロープウイルスに対し、in vitroおよびin vivoで抗ウイルス活性を示すプリンヌクレオチドの経口プロドラッグです。高い選択性を有し、RNAウイルスの複製に不可欠な酵素であるウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼを特異的に阻害するように設計されています。AT-527の抗ウイルス活性および安全性は、C型肝炎患者を対象とした第II相臨床試験およびSARS-CoV-2ウイルスを対象とした非臨床in vitro試験で確認されています。AT-527はいずれの国でも、いかなる効能・効果でも承認されていません。
参考情報
AT-527の国内開発は中外製薬が実施しており、日本からはMOONSONG試験には参加していません。
以上
本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部
- 報道関係者の皆様
- メディアリレーションズグループ
- Tel:03-3273-0881
- mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
- 投資家の皆様
- インベスターリレーションズグループ
- Tel:03-3273-0554
- mailto: ir@chugai-pharm.co.jp