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2021年04月16日
皮下投与によるcasirivimabとimdevimabの抗体カクテル療法が、予防目的の第III相臨床試験で症候性COVID-19の発症リスクを81%減少
News Summary
本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が4月12日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2021-04-12.htmをご覧ください。
ロシュ社は4月12日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者との家庭内における濃厚接触者を対象に、casirivimabとimdevimabの抗体カクテル療法によるCOVID-19の発症リスクと負担の軽減を評価した第III相臨床試験(REGN-COV 2069試験)の良好な結果を確認しました。本試験は米国国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)と共同で実施され、主要評価項目*および主要な副次評価項目を達成しました。casirivimabとimdevimabの皮下投与により、試験開始時に感染していなかった人の、症状を伴う感染(症候性感染)の発症リスクが81%減少したことが示されました。また、casirivimabとimdevimabによる治療を受けたものの症候性感染を発症した人は、平均1週間以内に症状が消失したのに対し、プラセボ群では症状が消失するまでに3週間かかりました。新たな、あるいは重篤な安全性シグナルは認められませんでした
*29日までにSARS-CoV-2の症候性感染が生じた人の割合
このプラセボ対照二重盲検第III相臨床試験では、過去4日以内にSARS-CoV-2陽性と判定された人と同居し、かつ、抗SARS-CoV-2抗体が体内に存在しないもしくはCOVID-19の症状がない人を対象に、casirivimabとimdevimabの有効性を評価しました。ベースラインでSARS-CoV-2に感染しておらず、casirivimabとimdevimab(1,200 mg)またはプラセボのいずれかを単回皮下投与した1,505人を対象としました。
加えて、本試験は複数のコホートが設定され、新たに感染が確認された無症候性患者204名を、casirivimabとimdevimab(1,200mgの単回皮下投与)またはプラセボに無作為に割り付け、抗体カクテル療法を評価しました。当該コホートにおいて、casirivimabとimdevimabは、症候性COVID-19に進行するリスクを全体で31%減少させました。
本試験の詳細な結果は、速やかに規制当局と共有する予定です。リジェネロン社は米国食品医薬品局(FDA)と新しいデータを共有し、ロシュ社とリジェネロン社は欧州医薬品庁(EMA)をはじめとした世界各国の規制当局と協働していきます。
本抗体カクテル療法については、入院患者を対象とした英国のオープンラベル第III相RECOVERY試験をはじめ、外来患者や一定の条件を満たす入院患者など、さまざまな条件でCOVID-19に対する評価を行う臨床試験が進行中です。2021年4月時点で、25,000名以上がcasirivimabとimdevimabの臨床試験に参加しています。
有害事象はREGEN-COV(casirivimabとimdevimab)群の20%(1,311名のうち265名)、プラセボ群の29%(1,306名のうち379名)に発現し、重篤な有害事象はREGEN-COV群の1%(10名)、プラセボ群の1%(15名)に発現しました。29日間の有効性評価期間中、COVID-19による入院または救急外来の受診は、REGEN-COV群では0名、プラセボ群では4名でした。注射部位反応はすべてGrade 1~2で、REGEN-COV群の4%(55名)、プラセボ群の2%(19名)に発現しました。いずれの群においても、有害事象による試験中止は認められず、死亡例(REGEN-COV群:2名、プラセボ群:2名)においてCOVID-19または治験薬との因果関係は認められませんでした。
REGN-COV 2069試験について
REGN-COV 2069試験は、SARS-CoV-2感染者との家庭内における濃厚接触者に対する症候性感染の予防を目的に、casirivimabおよびimdevimabの有効性と安全性を評価する複数コホートからなる二重盲検ランダム化プラセボ対照第III相臨床試験です。
casirivimabおよびimdevimabについて
casirivimabおよびimdevimabは、2種類のモノクローナル抗体のカクテルであり、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2による感染防止を目的として、リジェネロン社によって創製されました。創薬過程においては、ヒト免疫機能を持つよう遺伝子組換えされた、リジェネロン社独自のVelocImmune®マウスによって産生された何千もの完全ヒト抗体と、COVID-19から回復した患者から同定された抗体が評価されています。
2種類の強力なウイルス中和抗体であるcasirivimabおよびimdevimabは、ウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合部位に互いに非競合的に結合することで、SARS-CoV-2に対して中和活性を示し、ヒトの集団で発生したスパイクタンパク質に変異を持つウイルス株に対しても効果を示すことが期待されます1。
casirivimabおよびimdevimabの抗体カクテル療法は、いずれの国においても承認されていません。
参考情報
casirivimabおよびimdevimabの抗体カクテル療法の国内開発は中外製薬が実施しており、日本からはREGN-COV 2069試験には参加していません。
VelocImmune®は、法律により保護されています。
出典
1.Alina Baum, Benjamin O Fulton, Elzbieta Wloga, et al. Science 2020 Aug 21;369(6506):1014-1018.
以上
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