中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2020年07月13日

初発の卵巣がん患者におけるテセントリクと化学療法とアバスチンの併用療法を検討したIMagyn050試験の結果について

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)は、初発のステージIII期又はIV期の卵巣がん(卵管がん又は原発性腹膜がん含む)に対しテセントリク®とパクリタキセル、カルボプラチン及びアバスチン®の併用療法を検討した第III相臨床試験IMagyn050試験において、主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS: Progression Free Survival)の延長が示されなかったことをお知らせします。

 本試験は、テセントリクとパクリタキセル、カルボプラチン及びアバスチン併用群は、プラセボとパクリタキセル、カルボプラチン及びアバスチン併用群と比較し、主要評価項目の一つであるPFSについて統計学的に有意な延長を示しませんでした。もう一つの主要評価項目であるOSについては、次に計画されている解析までフォローアップを継続する予定です。

 なお、テセントリクと化学療法とアバスチンとの併用における安全性は、これまでにそれぞれの薬剤で認められている安全性プロファイルと同様でした。IMagyn050試験の成績は、今後の医学系学会にて発表される予定です。

 代表取締役社長 COOの奥田 修は、「初発のステージIII期又はIV期の卵巣がんに対する治療として、新たな治療選択肢を提供することを目指し、テセントリクとパクリタキセル、カルボプラチン及びアバスチン併用を検討しましたが、PFSの延長が示せなかったことを大変残念に思います」と述べるとともに、「本試験のデータを詳細に解析し、得られた知見を今後の開発につなげていきます」と語っています。

IMagyn050試験について
 IMagyn050試験は、初発のステージIII期又はIV期の卵巣がん(卵管がん又は原発性腹膜がん含む)患者さんを対象に、パクリタキセル、カルボプラチン及びアバスチンとの併用下でアテゾリズマブとプラセボを比較する第III相多施設共同ランダム化試験です。本試験では、1,301名の患者さんが1:1の割合で、テセントリクとパクリタキセル、カルボプラチン及びアバスチン併用群と、プラセボとパクリタキセル、カルボプラチン及びアバスチン併用群のいずれかに割り付けられました。主要評価項目は、ITT解析集団及びPD-L1の発現が認められる患者さんにおける無増悪生存期間及び全生存期間です。

卵巣がんについて
 日本人女性における卵巣がんの年間罹患者数は10,900人(2019年予測値)、また死亡者数は4,800人(2019年予測値)と推計されています。1)卵巣がんは、卵巣原発の表層上皮性・間質性悪性腫瘍です。原発性腹膜がん、卵管がんは、卵巣がんと同様に骨盤腔内・腹腔内に発生し、その起源も卵巣がんと同様にミュラー管と考えられ2)、一般的な臨床的及び生物学的挙動も類似しています。卵巣がん患者さんの多くが、初回診断時点で既に播種性病変を伴い進行した状態であることが多く、その状況で治癒が得られる可能性は低いとされています。進行したStage III 卵巣がんの5年生存率は49.6%,Stage IV では31.8%とされています。3)

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

以上

出典

  1. 国立がん研究センターがん情報サービス「2019年のがん統計予測」 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html アクセス日:2020年7月
  2. David W. Kindelberger, et al. Intraepithelial Carcinoma of the Fimbria and Pelvic Serous Carcinoma: Evidence for a Causal Relationship. Am J Surg Pathol 2007;31:161–169
  3. 日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会報告 第60回治療年報(2012年治療開始例)http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=71/5/071050725.pdf アクセス日:2020年7月

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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