2016年09月05日
ロシュ社の免疫チェックポイント阻害剤TECENTRIQ(atezolizumab)は特定の種類の肺がん患者さんを対象とした第III相国際共同治験において化学療法と比較し全生存期間を有意に延長
【参考資料】
当参考資料は、F. ホフマン・ラ・ロシュが2016年9月1日(スイス現地時間)に発表した英文プレスリリースを、戦略的アライアンスを締結している中外製薬が翻訳版として、皆様に提供させていただくものです。
従いまして、日本国内と状況が異なる場合があること、また、正式言語が英語であるため、表現や内容につきましては英文リリースが優先されますことをご留意ください。
英文プレスリリースは、下記URLよりご参照ください。
http://www.roche.com/media/store/releases/med-cor-2016-09-01.htm
Atezolizumab(RG7446)について
国内では、非小細胞肺がんを対象とした第II相国際共同治験ならびに第III相国際共同治験、非小細胞肺がんの術後補助療法の第III相国際共同治験、小細胞肺がんを対象とした第III相国際共同治験、膀胱がんを対象とした第III相国際共同治験、筋層浸潤膀胱がんの術後補助療法の第III相国際共同治験、腎細胞がんを対象とした第III相国際共同治験、および乳がんを対象とした第III相国際共同治験に参加しています。
2016年9月1日 バーゼル発
- TECENTRIQはPD-L1の発現状況にかかわらず全生存期間を統計学的に有意に延長
- 米国食品医薬品局(FDA)を含む各国の規制当局と試験成績を協議する予定
ロシュ社は本日、TECENTRIQの第III相国際共同試験であるOAK試験の結果が良好であったことを発表しました。本試験では、二つの主要評価項目を達成し、白金製剤ベースの化学療法施行中または施行後に病勢が進行した局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんにおいて、docetaxelによる化学療法と比較して統計学的に有意な、かつ臨床的に意味のある全生存期間(OS)の改善が認められました。TECENTRIQの有害事象はこれまでに観察されたものと一致していました。ロシュ社は、本試験の全ての成績を2016年中に開催される学会で発表する予定です。
ロシュ社の最高医学責任者兼国際開発責任者のSandra Horning博士は、「OAK試験の結果は、特定の種類の進行NSCLCに対して、TECENTRIQが新しい治療法となり得る可能性を裏付けるエビデンスの蓄積に加わります」と述べるとともに、「肺がんは全世界でがんによる死亡原因の第1位であり、本試験結果は進行NSCLC患者さんを大きく勇気付けるニュースとなります。我々は、TECENTRIQを治療選択肢として可能な限り迅速に患者さんに提供したいと願っています」と語っています。
FDAはTECENTRIQに対し、標準化学療法(白金製剤ベースの化学療法、EGFR遺伝子変異陽性またはALK陽性肺がんに対しては適切な分子標的療法)施行中または施行後に病勢が進行したPD-L1陽性NSCLC患者さんへの投与について、画期的治療薬に指定しました。ロシュが提出したNSCLCに対する生物製剤承認申請(BLA)は優先審査に指定されており、FDAは2016年10月19日までに承認の判断を行う予定です。ロシュ社は、早期および進行期の肺がん患者さんを対象としてTECENTRIQ単独または他の治療方法との併用について検討する、8種類の第III相臨床試験を実施しています。
OAK試験について
OAK試験は、白金製剤ベースの化学療法施行中または施行後に病勢が進行した局所進行または転移性NSCLC患者さんにおいて、TECENTRIQの有効性と安全性についてdocetaxelによる化学療法と比較した、オープンラベルランダム化多施設共同国際第III相臨床試験です。
・本試験の二つの主要評価項目は以下におけるOSです。
- 試験にランダム化された全ての患者さん[intent-to-treat(ITT)集団解析]
- PD-L1発現で選択されたサブグループ
・PD-L1の発現は、ロシュ社の診断薬部門が開発したSP142抗体をベースとした免疫組織化学染色法
(IHC)を用い、腫瘍細胞(TC)および腫瘍浸潤免疫細胞(IC)の両方で評価し、TC1/2/3および
IC1/2/3にスコア化されました。
・副次評価項目には奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)が含まれます。
1,225名の患者さんが登録され、3週間毎にdocetaxel(75mg/m2静注)またはTECENTRIQ(1,200mg静注)を投与される群に1:1でランダム化されました。TECENTRIQでの治療は、患者さんが臨床的ベネフィットを享受していると治験担当医師が評価している限り、または許容不能な有害事象が認められるまで継続されました。主要評価項目の解析はランダム化された最初の850名を対象に行われ、副次評価項目の解析は1,225名の全ての患者さんを対象に行われます。
非小細胞肺がんについて
肺がんは、世界中でがんによる死亡原因の第1位となっています。毎年、159万人が肺がんで死亡しており、これは世界中で毎日4,350人以上が死亡していることを意味しています。肺がんは主に、NSCLCと小細胞肺がんの二つのタイプに分けることができます。NSCLCは最も患者さんの数が多く、全ての肺がんの中で85%を占めています。
TECENTRIQ(atezolizumab)について
TECENTRIQは、TCまたはICに発現するPD-L1(programmed death ligand-1)と呼ばれるタンパク質を標的とし結合するように設計された開発中のモノクローナル抗体です。PD-L1は、T細胞の表面上に見られるPD-1、B7.1の双方と相互作用することにより、T細胞の働きを阻害します。TECENTRIQがこの相互作用を阻害することでT細胞が活性化され、がん細胞を効率的に検出し攻撃する能力を取り戻すことが可能となります。
TECENTRIQはFDAが承認した初めて、かつ唯一のPD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害剤であり、白金製剤ベースの化学療法施行中または施行後に病勢進行を認めた、または白金製剤ベースの化学療法による術前または術後補助化学療法を行い12カ月以内に病勢進行を認めた局所進行または転移性尿路上皮がん(mUC)患者さんの治療を適応症としています。TECENTRIQのこの適応症は、奏効率および奏効期間に基づき迅速承認されたものです。この適応症の承認の継続には、検証試験での臨床的有用性の証明が必要となります。
ロシュ社におけるがん免疫療法について
50年以上にわたり、ロシュ社は、がん領域における治療法の刷新を目標として医薬品の開発を行ってきました。今日、我々は人の免疫システムががんを攻撃することを活用する革新的な治療オプションの研究開発に一層の投資を行っています。
個別化がん免疫療法(PCI)について
個別化がん免疫療法(PCI)の目的は、患者さん個々の腫瘍に関連する特定の免疫生物学的なニーズに合わせた治療選択肢を提供することです。PCIの目的は、最大限の患者さんに優れた臨床ベネフィットの機会を与える治療戦略を提供することです。TECENTRIQの場合、バイオマーカーとしてのPD-L1の検討目的は、TCおよびIC上のPD-L1発現と、幅広いがん種において単独療法または併用療法でPD-L1発現と臨床ベネフィットの相関を探索することです。ロシュ社のPCI研究と開発プログラムには20種類以上の研究段階の候補品があり、そのうち10種類で臨床試験を行っています。
PCIは、ロシュ社が個別化医療へより幅広く取り組むための重要な要素になります。がん免疫療法に対するロシュ社のアプローチの詳細については、以下のリンクをご覧ください。
http://www.roche.com/research_and_development/what_we_are_working_on/oncology/cancer-immunotherapy.htm
ロシュ社について
ロシュ社は、人々の生活をより良くする最先端のサイエンスに基づいた医薬品ならびに診断薬の世界的なパイオニアです。
ロシュ社は、がん、免疫疾患、感染症、眼科および中枢神経系疾患において他社と一線を画した薬剤を保有する世界最大のバイオテクノロジー企業です。さらに、体外診断薬とがんの組織学的診断において世界のリーダーであり、糖尿病管理分野も牽引しています。ロシュ社は、医薬品事業と診断薬事業の双方を傘下に持つという大きな強みにより、個々の患者さんに合った最適な治療を目指すパーソナライズド・ヘルスケア(PHC)のリーダーであり続けています。
ロシュ社は1896年の創立以来、疾患の予防、診断そして治療において、より優れた方法を探求し続けることで、持続的に社会へ貢献しています。世界保健機関(WHO)が策定した必須医薬品リストには、人の生命を救うための抗生物質、抗マラリア薬および抗がん剤など、ロシュ社が創製した29の薬剤が記載されています。また、Dow Jones Sustainability Indexの「医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス企業」部門において、ロシュ社は7年連続で持続可能性のリーダーに選出されています。
ロシュ社はスイス・バーゼルに本社を置き、2015年では世界100カ国以上で約91,700人の社員を擁しています。ロシュ・グループは2015年に研究開発費として93億スイスフランの投資を行っており、売上は481億スイスフランでした。ジェネンテック社(米国)は、100%子会社としてロシュ・グループのメンバーとなっています。また、ロシュ社は中外製薬(日本)の株式の過半数を保有する株主です。さらに詳しい情報はwww.roche.comをご覧ください。
本プレスリリースに使用された商標等はすべて法律で保護されています。
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