学ぼう SDGs

SDGsは、Sustainable Development Goals(サスティナブル・ディベロップメント・ゴールズ)の頭文字をとった言葉で、「持続可能な開発目標」という意味。だれひとり取り残されることなくすべての人が地球上でくらし続けていくために、2015年に国連サミットでたてられた具体的な17の目標を、2030年までに達成することを目指しているんだ。

ここからは17の目標について説明していこう。会社も目標を決めて、さまざまな取り組みを行っているよ。会社によって、つくっているものや提供(ていきょう)するサービスがちがうから、17ある目標のうち、とくに力をいれている目標も会社ごとにちがうんだ。「そうぞうLABO」を運営するくすりの会社、中外製薬の例も見てみよう。

目標1 貧困(ひんこん)をなくそう

2020年の発表によると、世界では、6人に1人が一日200円(1ドル90セント)未満で生活している¹⁾。このような「きわめて貧しい」くらしをしている人を2030年までになくすために、それぞれの国の基準で「貧しい人」を半分にしようと目標を立てているんだ。

目標2 飢餓(きが)をゼロに

2020年の報告によると、世界では、10人に1人がおなかいっぱいの食事ができていない²⁾。だから2030年までにだれでもいつも栄養のある食事ができるように、天候不順に強い品種の改良や、手間や時間をかけずに農産物を生産する仕組みづくりなどに取り組んでいるんだ。

目標3 すべての人に健康と福祉(ふくし)

世界では、病気になっても必要な治療(ちりょう)が受けられない人や生まれて間もない多くの赤ちゃんの命が失われている³⁾。治療ができないことが原因で命が失われることがないように、だれもが必要な医療を受けられることが重要だね。

中外製薬は、
どんなことをしているの?

くすりの会社にとって一番大切な役割(やくわり)は、人々が健康にくらせるように、くすりを開発して世界中の患者(かんじゃ)さんにとどけること。世の中にはまだ治療法がない病気がたくさんあるから、中外製薬ではそういう病気を治療できるように、新しいくすりを作るための研究を毎日行っている。また、同じ病気でも人によって体の状態や病気のタイプがちがうから、その人に一番合う治療ができるような取り組みも行っているよ。

中外製薬は他にもさまざまな活動を行っている。たとえば、日本では治療できる病気でも、海外では治療の環境(かんきょう)が整っていなかったり、病気に関する正しい知識が足りないなどの理由で予防や治療ができないことがあるんだ。そうした国で、病気の予防のための教育や健康診断(しんだん)、医療をきちんと受けられるようにするためのサポートを行っているよ。

また、妊婦(にんぷ)さんが安心して出産できる仕組みを整えるためのサポートも行っているんだ。

目標4 質の高い教育をみんなに

世界には、5人に1人の子どもが小学校に通えていない地域(ちいき)がある⁴⁾。2030年までに、世界中の子どもが無料で教育を受け、小学校中学校を卒業できるようにするのが目標なんだ。

目標5 ジェンダー平等を実現しよう

「ジェンダー平等」とは、ひとりひとりの人間が、性別(ジェンダー)にかかわらず、平等に責任や権利(けんり)や機会を分かちあい、あらゆる物事をいっしょに決めることができること。世界ではまだ、女の子であることで不利なことがある。これからは、女性に対するあらゆる差別をなくすのが目標なんだ。

中外製薬は、
どんなことをしているの?

働く人たちのちがい(性別、年れい、日本人か外国人か)などに関係なく、みんなが活躍(かつやく)できる環境を整えているよ。ことなる考え方やアイデアを持つ人同士が尊重(そんちょう)し合いながらいっしょに働く環境は、新しいことを生み出すためには重要だと考えているんだ。

目標6 安全な水とトイレを世界中に

日本にいると、いつでもきれいな水を使えるのは当たり前だと思っているよね。でも、世界の3分の1の人は水道設備がないくらしをしていて、トイレがない地域がまだまだあるんだ⁵⁾。2030年までに、安全な水とトイレをだれでも利用できるようにするのが目標なんだ。

中外製薬は、
どんなことをしているの?

水は飲み水やトイレだけではなく、いろいろなモノを作るときに必要不可欠だよね。もちろん、くすりを作るときにも水が欠かせない。くすりの会社では、使っている水の量を測ってむだづかいをなくしたり、工場や研究所からの排水(はいすい)が環境に影響(えいきょう)をあたえる原因にならないことを調べたりして、安全な水を守るための対策(たいさく)を行っているよ。

目標7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに

人々の生活や仕事、工場の生産にはエネルギーがなくてはならない。だから持続可能なエネルギーは世界の重要課題なんだ。2030年までに二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーを使ったり、エネルギー効率や環境(かんきょう)にやさしい技術の開発を目指しているんだ。

目標8 働きがいも経済(けいざい)成長も

働くことの目的は、お金をかせいで豊かになることだけではないんだ。働くことで、やりがいを感じたり、ほこりをもったりできることも大切なんだ。

中外製薬は、
どんなことをしているの?

働く人がイキイキとやりがいを感じて仕事をしたり、新しいことに取り組んだりできるような働きやすい職場づくりをしているよ。また、会社の中だけでなく、いっしょに仕事をしている他の会社の人も安心して働けるように、環境、健康・衛生(えいせい)、安全そして人権に配慮(はいりょ)することをよびかけているよ。

目標9 産業と技術革新(かくしん)の基盤(きばん)を作ろう

わたしたちの生活を支える電気や水道、道路や交通機関、病院や学校や公園などや、インターネットのことをインフラというんだ。質の高い、持続可能な、災害に強いインフラをつくることは、世界を豊かにする技術革新にとって不可欠だよ。

中外製薬は、
どんなことをしているの?

くすりをつくる会社にとっての基盤は、くすりをつくる新しい技術を開発すること。患者さんにより良いくすりをとどけられるように、大学などの研究者たちといっしょに研究をする協力体制をつくり、技術革新に取り組んでいるんだ。また、くすりを効率よく製造するための設備の導入もすすめている。

目標10 人や国の不平等をなくそう

国際社会の取り組みによって国と国の間の不平等は小さくなってきた。でも同じ国内の中でも豊かな人と貧しい人、男性と女性、障がい(しょうがい)がある人とない人の間には不平等があって、収入(しゅうにゅう)にも差がある。2030年までにルール(制度や法律:ほうりつ)を変えて、不平等をなくすのが目標だよ。

中外製薬は、
どんなことをしているの?

働く人たちが自分の能力を思いっきり生かしながら、おたがいの考えや意見、自分とちがうところをみとめ合う職場づくりを進めているよ。

目標11 住み続けられるまちづくりを

都市には、働く場所や便利なことがたくさんあるから、みんなが移り住んでくる。でも、人口が集中すると、家が足りなくなったり、家の設備が古いままになってしまうんだ。災害時の備えが不十分だったり、貧富の差ができて犯罪につながったりする問題もあるよ。2030年までに、災害に強く環境にやさしい、安全で安心できるまちづくりを目指しているんだ。

目標12 つくる責任、つかう責任

「すてる=ごみ」の問題なんだ。例えば、「食品ロス」って聞いたことある?世界で生産されている食品の3分の1がすてられている⁶⁾。ふだんの生活では、食べ物だけでなく色々なものを買っているよね。一人ひとりが、必要ないものを買っていないか、まだ使えるのにすてていないかを見直さないといけないね。会社も同じ。作りすぎたり、資源(しげん)のむだづかいをしたりしていないかに気を付けないといけないんだ。

中外製薬は、
どんなことをしているの?

くすりは人の健康に関わるものだから、患者さんが安心して使えるようにすることが大切だ。そのために、専門(せんもん)の部門の人たちが、高い品質を保ったり、安全にくすりをつかうための情報を提供するなどの取り組みを行っているよ。また、患者さんがいつも使っているくすりを心配せずに手に入れられるように、必要な量を安定して生産するように努めているんだ。
くすりを生産する時にも、工場で使う水などの節約やプラスチックを再利用するなど、地球の未来を守るための取り組みを進めているよ。

目標13 気候変動に具体的な対策(たいさく)

大雨、大型の台風、熱波(ねっぱ)やかんばつなどの自然災害が世界中で起こっている。原因は、地球の周りを取り囲む二酸化炭素などの温室効果ガスが増えて地球温暖化(おんだんか)が起こっているから。地球規模(きぼ)の課題だから、全世界で二酸化炭素を減らし、再生可能エネルギー利用に積極的に取り組まなければならないんだ。

中外製薬は、
どんなことをしているの?

気候変動への対策はとても重要だから、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出をゼロにできるよう、期限をきめ目標を立てて取り組んでいるよ。工場や研究所の省エネルギーだけでなく、発電する時に二酸化炭素を排出しない水力発電などのサステナブル電力への切りかえも行っているんだ。そのほかにも、会社の車をエコカーにするなど、温室効果ガスの排出量をおさえて、地球環境の保全に取り組んでいるよ。

目標14 海の豊かさを守ろう

現在、世界の人口が増え多くの人が魚を食べるようになり、魚のとりすぎという問題がある。海にすてられたプラスチックごみで生態系(せいたいけい)をこわされることも問題となっているんだ。これらを解決するため、国内および国際的なルール(法律)によって、海の生き物と環境を守っているよ。

目標15 陸の豊かさも守ろう

人口増加で森林の木を伐採(ばっさい)して農地にしたり、気候変動によって雨がふらないのが続いたりすると、土地が水を貯えることができなくなって砂漠化(さばくか)が進んでしまう。森林には多くの生物がいるから、かれらの生態系に影響をおよぼしているんだ。だから、世界では、生態系保護と森林管理、砂漠化に対する取り組みが行われているんだ。

中外製薬は、
どんなことをしているの?

生物の多様性を守るために、すべての工場・研究所からの排水検査を行って、地域の生態系に影響していないことを確認しているよ。他にも、森林を整えることで水源を保全する活動も行っているんだ。

目標16 平和と公正をすべての人に

今も世界のどこかで、争いがおきている。その影響で子どもたちは、暴力を受けたり、家族を失ったり、難民(なんみん)として国外に避難(ひなん)したりしている。争いをなくすには、だれもがルール(法律)を守り、ルールに反したら裁判(さいばん)で解決することが大切なんだ。

中外製薬は、
どんなことをしているの?

くすりをつくる会社として世の中の期待や要請(ようせい)に応えられるよう、社員が守るべきルールを作って、正しいやり方で仕事を進めるように取り組んでいるよ。そのために、定期的に社員に教育を行っているんだ。

目標17 パートナーシップで目標を達成しよう

開発途上(とじょう) にある国や地域は、自分たちの力だけでSDGs(持続可能な開発目標)を成功させるのはむずかしい。だから、国と国との協力が必要なのはもちろん、会社や市民団体、地域、学校や家庭などの世界中のあらゆる人が協力することがもっとも大切なんだ。

中外製薬は、
どんなことをしているの?

世界中のくすりの会社と協力して、病気の治療を十分に受けることができない所得が低い国に対して、病気の予防や治療に向けたサポート活動を行っているよ。

出典

¹⁾ 公益財団法人日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/news/2020/0223.html
2021年11月10日閲覧
²⁾ 公益財団法人日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/news/2020/0173.html
2021年11月10日閲覧
³⁾ 公益財団法人日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/special/19sum/
2021年11月10日閲覧
⁴⁾ UIS Fact Sheet No. 56 | September 2019
⁵⁾ 公益財団法人日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/news/2019/0093.html
2021年11月10日閲覧
⁶⁾ The State of Food Security and Nutrition in the World 2021