2018年03月23日

抗血液凝固第IXa/X因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体
「ヘムライブラ®皮下注」国内承認のお知らせ

血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する血友病Aに対して

中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:小坂 達朗)は、抗血液凝固第IXa/X因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体 血液凝固第VIII因子機能代替製剤「ヘムライブラ®皮下注30mg、同60mg、同90mg、同105mg、同150mg」[一般名:エミシズマブ(遺伝子組換え)]に関し、「血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する先天性血液凝固第VIII因子欠乏患者(血友病A)における出血傾向の抑制」を効能・効果として、本日、厚生労働省より製造販売承認を取得したことをお知らせいたします。

代表取締役社長 CEOの小坂 達朗は、「今回の承認により、日本でヘムライブラを血友病Aの方々へお届けできる日が近づいたことを非常に嬉しく思います」と述べるとともに、「ヘムライブラは、当社独自の抗体改変技術により、アンメットメディカルニーズの解決を目指したファーストインクラスの薬剤であり、臨床面および週一度の皮下投与が可能である点で血友病Aの方々とそのご家族に革新をもたらすと信じています」と語っています。

なお、本承認は、インヒビターを保有する血友病Aに対する二つの主要な第III相国際共同治験である、青年/成人を対象としたHAVEN 1試験(NCT02622321)、および小児を対象としたHAVEN 2試験(NCT02795767)の中間解析結果に基づいています。

ヘムライブラは、当社独自の抗体改変技術を用いて創製されたバイスペシフィック抗体です。本剤は活性型第IX因子と第X因子に結合し、血友病Aで欠損または機能異常を来している第VIII因子の補因子機能を代替します1, 2)。また本剤は、「血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する成人および小児の血友病A(先天性第VIII因子欠乏症)患者に対する週1回の皮下投与による予防投与療法」を効能・効果として、2017年11月に米国食品医薬品局より承認を取得し、販売しています(米国製品名:HEMLIBRA®、承認権者:ジェネンテック社)。さらに、欧州においても「定期投与による血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する血友病A患者における出血予防」を効能・効果として、本年2月に欧州医薬品庁より承認を取得しています(欧州製品名:HEMLIBRA®、承認権者:ロシュ社)。

血友病は、遺伝性の重篤な血液凝固異常症であり、止血が困難になったり、時には自然に出血したりします。血友病には、血液凝固第VIII因子を欠乏する血友病Aと第IX因子を欠乏する血友病Bが存在し、日本では、血友病Aが約5,000人、血友病Bが約1,000人と報告されています3)。血友病Aに対する現在の標準治療は第VIII因子製剤による補充療法であり、重症型の血友病Aの25~30%で、第VIII因子製剤中の血液凝固第VIII因子に対するインヒビターの発現が認められます4)。インヒビターは、投与された第VIII因子製剤中の第VIII因子を異物とみなし、攻撃、働かなくさせるために体内で作られる抗体です。インヒビターを保有する血友病Aの方では、第VIII因子製剤による治療が困難になる可能性があります。

承認条件

  • 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  • 日本人での投与経験が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
  • 市販直後調査を実施すること。

使用成績調査(全例調査)について
全症例を対象とした使用成績調査は約100例の登録を予定しています。得られた結果を評価し、新たな安全対策の必要性などについて検討します。本調査の解析結果については規制当局への報告と合わせ、関連学術集会・学会などで公表する予定です。

注:国内添付文書の【用法・用量】の記載について

<用法・用量に関連する使用上の注意>として、以下の通り記載されています。
本剤は、出血傾向の抑制を目的とした定期的な投与のみに使用し、出血時の止血を目的とした投与は行わないこと。

【HAVEN 1試験結果およびHAVEN 2試験の中間結果について】
2017年6月26日発表プレスリリース
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20170626140000_104.html

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

以上

【参考文献】

  1. Kitazawa, et al. Nature Medicine 2012; 18(10): 1570
  2. Sampei, et al. PLoS ONE 2013; 8: e57479
  3. WFH Annual Global Survey 2016.:
    http://www1.wfh.org/publications/files/pdf-1690.pdf
  4. Gomez K, et al. Key issues in inhibitor management in patients with haemophilia. Blood Transfus. 2014; 12: s319–s329.

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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