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新薬を生み出す仕事を誇る、誠実で温かな人。

臨床開発はエキサイティング。

古田は、大学院時代に医学部併設の現場で学んだ。「薬剤師という立場で半年ほど、臨床薬学研修を経験しました。実際に医局に入り、ある小学生の悪性リンパ腫の患者さんを受け持ちました。確実な治療法がない難病と闘う患者さんを、なんとか救える薬や治療法はないものかと真剣に考えたことは、自分にとって貴重な経験でした」。こうした体験をとおし、古田が強く思ったのは「研究するよりも、もっと医療現場の近くで働きたい」。臨床開発は研究との間に立ち、医療現場の近くで新薬開発のために力を注ぐ。現場はタフな毎日が要求される厳しいものだが、古田はそのエキサイティングな現場に魅力を感じながら、日々飛び回る。

仕事をしていて一番嬉しい瞬間はドクターからの「効いてるよ。患者さんが喜んでるよ」の言葉だ。ドクターとの関係づくり、長期にわたる臨床開発の現場を管理する苦労。数えればキリがないほど、困難の多い仕事だが、古田はあっさり「苦労は感じたことはない」と言い切る。「臨床開発の仕事は大変であたりまえ。1日でも早く患者さんに新薬を届けるのが使命。だから、その薬が承認されたときの感動はひときわ大きい。それに、高度な研究を行う国内トップクラスのドクターとともに新しい医薬品を世に出していくことはやりがいが大きい。それが実現することで、もっと喜んでくれる方が増えたら、といつも考えています」。

マーケティング・センス。

開発にはマーケティングの観点も必要だと古田は語る。「臨床試験において何人の患者さんに投与して、何人に効果が出たかという基本的なデータを収集するのはもちろん、その新薬の良さをどうアピールしていくか?といった承認後を見据えた観点も大切です。ドクターがこの新薬を使った治療方針を決めるという場面では、どんなデータが必要で、それはどんな解析をすれば出てくるのかなど、視野を広げさまざまな切り口で申請資料を作成していくことも大切なんです」。臨床開発は、新薬をいかにスムーズに承認申請に持ち込むかだけでなく、市販後の新薬の成長までを視野に入れて考える。古田はつねにそう心がけている。

何年もの時間を要する臨床開発の仕事。そんな臨床開発の大きな区切りといえば、“申請”、そして“承認”の場面だ。「何年も臨床試験を重ねデータを収集し、それら膨大なデータを何万枚もの申請資料としてまとめあげ申請します。その後も当局と照会事項のやり取りをしながら、承認まで持っていくのですが、そのやりとりも大変なんです。何十項目にも及ぶ照会事項の一つひとつに回答文書を作成し、決められた期限までに提出することを繰り返します。徹夜で回答作成したこともありました。その割には承認の報告は意外とあっさりしていて、「承認書」という書類を受け取るだけ。でもその時は、もうみんな大喜び。かかわったメンバー全員で祝杯を上げますね」。先日も新しい抗がん剤の申請の際、40人ほどの大所帯で祝杯を上げたそうだ。

じぶんが育てた薬。

「申請から承認までの期間をいかに短くするか。それが臨床開発のミッションだと考えています」と語る古田。そこには、よりよい薬をより早く患者さんに届けたい、という製薬メーカーらしい使命感がにじむ。「承認が下り、市場に出た薬が“売れている”と聞くのはやはり嬉しいですね。大げさなようですが、自分の子供というか、新薬には自分が育てた薬だという感覚を持っています。それに、医薬品としてモノになるかならないかは臨床試験を始める段階では分からない。試験を重ねることで“モノになるな、いい薬だな”とわかってくる。未知数だったものが形になっていく、その瞬間が楽しいんですね」。古田は臨床開発のプロセスのすべてを愛しているのだ。

古田の夢はこうだ。「現実離れした話ですが、万能の薬ができればいいなと思っています。医薬は着実に進歩している。この小さな進歩を一つひとつ積み重ねて、ひとりでも多くの患者さんを救える医薬品をこれからも開発していきたいのです」。そんな古田には、もうひとつ密かな夢がある。「息子と早くお酒が飲みたい。そして、願わくは息子が私と同じ仕事に就いて、仕事のことを話しながら飲み交わしたい」。実は、古田の父は病院薬剤師。古田はそんな父に憧れてこの道に進んだのだ。「この仕事は、子供に勧めたい仕事。以前は、医者になりたいと思ったこともありましたが、いまは臨床開発の仕事を選んでよかったと思っています」。

※本記事の内容は取材当時のものです。
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