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2024年10月31日
- 医薬品
- 研究開発
テセントリク、希少な節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型に対し適応拡大申請
- 再発または難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(ENKL)に対する医師主導の国内第II相臨床試験の成績に基づく申請
- 標準的な薬物療法が確立されていない、予後不良な再発または難治性のENKLに対し、承認されれば、テセントリクは国内初の免疫チェックポイント阻害剤となる見込み
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク®点滴静注」[一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)](以下、テセントリク)について、再発または難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(ENKL:extranodal natural killer/T-cell lymphoma, nasal type)に対する適応拡大の申請を、本日、厚生労働省に行いましたので、お知らせいたします。
代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「悪性リンパ腫の一つで、主に鼻に発症する希少なENKLは、進行期では初回治療後約6割の方が再発し、再発すると標準治療がなく、予後不良であることが知られています。良好な有効性を示したがん免疫療法であるテセントリクを、ENKLの新たな治療薬として患者さんに1日でも早くお届けできるよう、承認取得に向け取り組んでまいります」と語っています。
今回の承認申請は、再発または難治性のENKLに対するテセントリクの有効性および安全性を評価した国立がん研究センター中央病院をはじめとする医師主導の国内第II相臨床試験であるATTACK試験の成績に基づいています。13例中7例で奏効が確認され、奏効割合は、53.8%(95%信頼区間:25.1~80.8%)で主要評価項目を達成しました。安全性については、これまでの他の悪性腫瘍で確認された既知のプロファイルと同様でした。
オンコロジー領域のリーディング企業である中外製薬は、革新的な医薬品によりがん治療におけるアンメットメディカルニーズを充足し、患者さんおよび医療関係者に貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。
ATTACK試験について1
ATTACK試験(NCCH1903、jRCT2031190177)は、再発または難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型の患者さんを対象に、テセントリクの有効性と安全性を評価した、国立がん研究センター中央病院をはじめとする医師主導の多施設共同非盲検単群国内第II相臨床試験です。本試験には14名の患者さんが登録され、有効性・安全性が検討されました。主要評価項目は、独立評価委員会判定による奏効割合です。副次評価項目には、無増悪生存期間、全生存期間、安全性が含まれています。
ATTACK試験は、国立がん研究センター中央病院が産学共同で希少がんの治療開発を推進するMASTER KEYプロジェクトの副試験として実施されています。
節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型について
節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(ENKL:extranodal natural killer/T-cell lymphoma, nasal type)は、鼻腔に多く発症する悪性リンパ腫の一つで、小児から成人まで年齢にかかわらず発症することが知られています2,3,4。日本では、悪性リンパ腫(年間発症数約36,000人)の中で、ENKLは約0.68%と稀です5。進行期では初回治療後約6割の方が再発します6,7。再発または難治性のENKLは予後が不良で、標準治療は確立されていません。
テセントリクについて8
テセントリクは、腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に発現するタンパク質であるPD-L1(Programmed Death-Ligand 1)を標的とする免疫チェックポイント阻害剤です。PD-L1は、T細胞の表面上に見られるPD-1、B7.1の双方と結合しT細胞の働きを阻害します。テセントリクはこの結合を阻害しT細胞の抑制状態を解除することで、T細胞による腫瘍細胞への攻撃を促進すると考えられています。国内では、2018年4月に発売し、非小細胞肺がんをはじめ4つの適応症(進展型小細胞肺がん、非小細胞肺がん、乳がん、肝細胞がん)で承認を取得しています。2024年3月に、胞巣状軟部肉腫に対する適応拡大申請をしています。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
出典
- Makita S, et al. Phase 2 study of anti-PD-L1 antibody atezolizumab in patients with relapsed/refractory extranodal natural killer/T-cell lymphoma: NCCH1903/ATTACK study. European Hematology Association 2024 (Abstract: P1170)
- Swerdlow SH, et al. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues WHO Classification of Tumours, Revised 4th Edition. International Agency for Research on Cancer.
- Makita S, et al. Clinical Features and Current Optimal Management of Natural Killer/T-Cell Lymphoma. Hematol Oncol Clin North Am. 2017;31(2):239-253
- R Suzuki, et al. Prognostic factors for mature natural killer (NK) cell neoplasms: aggressive NK cell leukemia and extranodal NK cell lymphoma, nasal type. Ann Oncol. 2010;21(5):1032-40
- Reiji M, et al. Epidemiology and secular trends of malignant lymphoma in Japan: Analysis of 9426 cases according to the World Health Organization classification. Cancer Med. 2018;7(11):5843-5858.
- M. Yamaguchi, et al. Phase II study of SMILE chemotherapy for newly diagnosed stage IV, relapsed, or refractory extranodal natural killer (NK)/T-cell lymphoma, nasal type: the NK-Cell Tumor Study Group study. J Clin Oncol, 29 (2011), pp. 4410-6.
- Xin Li, et al. DDGP versus SMILE in Newly Diagnosed Advanced Natural Killer/T-Cell Lymphoma: A Randomized Controlled, Multicenter, Open-label Study in China. Clin Cancer Res. 2016 Nov 1;22(21):5223-5228.
- テセントリク点滴静注840mg・1200mg. 電子化された添付文書(2024年7月改定、第7版)
以上
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